2004/12/25

南々協力のための国連デー記念行事の報告

UNDPニューヨークの粒良麻知子です。クリスマス、いかがお過ごしでしょうか。

先日ご案内しました、「第1回南々協力のための国連デー:南々協力を通じたMDGsの達成」記念行事が12月20日(月)に国連本部で開催されました。ゼフリン・ディアブレUNDP副総裁の祝辞とワンガリ・マータイ女史の基調講演の内容を簡単にご報告させていただきます。なお、各スピーカーの講演内容は以下のウェブサイトに掲載されています。
http://tcdc.undp.org/

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1)ゼフリン・ディアブレUNDP副総裁
これまでは二国間協力が主流であった南々協力は、近年、地域内での多国間協力が進んでいる。また、IBSA(India、Brazil、South Africa)のように地域を越えたよりダイナミックな南々協力も出てきている。1970年代に始まって以来、南々協力は南北関係を補完するものと捉えられてきたが、先進国は、途上国への支援(援助額増加、市場の開放、技術移転など)を一層強化していく必要がある。

また、G77議長のAbdulaziz Al-Nasserカタール大使も、南々協力では多国間協力がトレンドであると述べた。

2)ワンガリ・マータイ女史の基調講演
A.平和構築・持続的な資源管理・民主的ガバナンスのリンケージ
マータイ女史が今年ノーベル平和賞を受賞したことにより、平和構築・持続的な資源管理・民主的ガバナンスのリンケージに着目した包括的なアプローチが再び注目されるようになった。資源が持続的、公平なやり方で管理・共有されなければ、また、政府が民主的で人権・環境に配慮しなければ、平和は脅かされる。これは3つ足の椅子のようなもので、足がひとつでも欠けると崩れてしまう。この3つが確保された時に国際社会の支持も得られる。

B.グリーンベルト運動
マータイ女史が1977年から始めたグリーンベルト運動の開発アプローチは、村の女性でも容易に理解し、実践できるステップにまとめられている。プロジェクトを実施する女性たちは、MDGsの達成のために活動しているわけではなく、自分たちが生活していく上での基本的ニーズが何かを明らかにし、それを満たすために活動しており、その結果としてMDGs達成に貢献している。グリーンベルト運動は植林活動であるが、これを通じて、女性のエンパワメントが進められている。また、成人女性のみならず、男性や子供も参加している。

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アフリカにおける資源管理と紛争予防の関係、植林活動を通じて人々のキャパシティを強化するというアプローチについて、これまで具体的な成果をあげてきたマータイ教授のメッセージには説得力がありました。本イベントに参加された方はどのような感想をお持ちになりましたか。

皆様、よいクリスマス&年越しを。
粒良麻知子

2 Comments:

At 12:22 AM, Blogger Team UN Forum said...

粒良さん、皆さん、ユニセフの久木田です。

クリスマスがあけないうちにインド洋の地震と津波の連絡が入り、コメントが遅くなりました。

私もワンガリ・マータイさんの分かりやすく力強い話を楽しく聴きました。会場には各国代表部だけではなく、多くのNGO関係者が参加していましたね。マータイさんの話の中で印象深かったのは、この運動を通してMDGなどまったく知らない人々がMDGsを達成していくという点でした。

彼女の話には私も共感することがたくさんありました。原則として、自分のコントロールできる範囲での変革から始めること、グループを形成することで女性を徐々に家から解放し、集団の持つダイナミクスを利用してエンパワーしていく、それを大きな運動として展開していくことなどです。私も独立前後のナミビアで三年間、参加型開発のモデルを作っていた頃に、タンザニアやケニアの事例から学び、同じようなプロセスを実施していましたが、彼女は植樹を中心に大規模な運動として展開していったのだと思うと大変うれしく思いました。

彼女の講演原稿にある10のステップとその説明は、参加型開発の原則をよくとらえていて、意識改革とアニメーションからはじめ、グループの形成、共同作業の展開、周辺コミュニティーや自治体との交渉・連携など、フレイレや、グラミーン、BRACの戦略などと共通するところがあります。彼女が言っていたように、アフリカでは木がよく育つので、変革のシンボルとして大きな役割を果たし、五年もすれば景色が変わり、10年もすれば男たちもその経済的価値に色めき立つというのは本当だと思いました。

もうひとつ、彼女が最後に何度も繰り返した言葉がありました、アフリカに変革をもたらすには、consciously, deliberately, persistently, patiently, and with renewed commitment をもって活動を続けていかなければならない、ということです。まったくその通りだと思いました。開発の話もマクロ経済の話ばかりだとどうもピンとこないのですが、彼女の話には実践を通しての現実味とその信念に基づいた姿勢を通して聴衆をエンパワーしてくれるものがありました。

案内どうもありがとうございました。

久木田

 
At 2:41 AM, Blogger Team UN Forum said...

柴田祐作です。

http://groups.yahoo.co.jp/group/nyunforum/messages/70?viscount=-2&expand=1
で投稿してくださった粒良さん、久木田さん、ありがとうございました。

粒良さん:

> 1)ゼフリン・ディアブレUNDP副総裁
> これまでは二国間協力が主流であった南々協力は、近年、
> 地域内での多国間協力が進んでいる。また、IBS(India、
> Brazil、South Africa)のように地域を越えたより
> ダイナミックな南々協力も出てきている。1970年代に始ま
> って以来、南々協力は南北関係を補完するものと捉えられ
> てきたが、先進国は、途上国への支援(援助額増加、市場
> の開放、技術移転など)を一層強化していく必要がある。
>
> また、G77議長のAbdulaziz Al-Nasserカタール大使も、
> 南々協力では多国間協力がトレンドであると述べた。

先進国の援助は、NGOなども含めて大きく変わらなければならないということですね。良い勉強になります。

> 2)ワンガリ・マータイ女史の基調講演
> A.平和構築・持続的な資源管理・民主的ガバナンスのリ
>   ンケージ
> マータイ女史が今年ノーベル平和賞を受賞したことによ
> り、平和構築・持続的な資源管理・民主的ガバナンスのリ
> ンケージに着目した包括的なアプローチが再び注目される
> ようになった。資源が持続的、公平なやり方で管理・共有
> されなければ、また、政府が民主的で人権・環境に配慮し
> なければ、平和は脅かされる。これは3つ足の椅子のよう
> なもので、足がひとつでも欠けると崩れてしまう。この3
> つが確保された時に国際社会の支持も得られる。

もう、先進国と開発途上国との区別がつかなくなった、というより、逆転現象もおきているといった印象を持ちます。

> B.グリーンベルト運動
> マータイ女史が1977年から始めたグリーンベルト運動の開
> 発アプローチは、村の女性でも容易に理解し、実践できる
> ステップにまとめられている。プロジェクトを実施する女
> 性たちは、MDGsの達成のために活動しているわけではな
> く、自分たちが生活していく上での基本的ニーズが何かを
> 明らかにし、それを満たすために活動しており、その結果
> としてMDGs達成に貢献している。グリーンベルト運動は植
> 林活動であるが、これを通じて、女性のエンパワメントが
> 進められている。また、成人女性のみならず、男性や子供
> も参加している。

これを読むと、日本よりも努力の姿勢は進んでいるように思われます。緒方さんも、シンポジウム「安全保障の今日的課題」
http://www.asahi.com/sympo/anzen/03.html
で以下のようにおっしゃっています。

“(人間の安全保障の枠組み)は必ずしも開発途上国であるとか、Failed States(破綻国家)といわれる、体制が崩壊して国家の体をなさない国だけに当てはまるものではなく、すべての国に当てはまる枠組みであると思うのです。日本の場合を見ても、統治と自治というものが、実際ほんとうに働いているのだろうか。上からの保護、下からの能力強化というものが、ほんとうに機能して、いいガバナンスが行われているのか。これを考えていただなければならないと思います。”

久木田さん:

> 会場には各国代表部だけではなく、多くのNGO関係者が参
> 加していましたね。マータイさんの話の中で印象深かった
> のは、この運動を通してMDGなどまったく知らない人々が
> MDGsを達成していくという点でした。
>
> 彼女の話には私も共感することがたくさんありました。原
> 則として、自分のコントロールできる範囲での変革から始
> めること、グループを形成することで女性を徐々に
> 家から解放し、集団の持つダイナミクスを利用してエンパ
> ワーしていく、それを大きな運動として展開していくこと
> などです。私も独立前後のナミビアで三年間、参加型開発
> のモデルを作っていた頃に、タンザニアやケニアの事例か
> ら学び、同じようなプロセスを実施していましたが、彼女
> は植樹を中心に大規模な運動として展開していったのだと
> 思うと大変うれしく思いました。
>
> 彼女の講演原稿にある10のステップとその説明は、参加
> 型開発の原則をよくとらえていて、意識改革とアニメーシ
> ョンからはじめ、グループの形成、共同作業の展開、周辺
> コミュニティーや自治体との交渉・連携など、フレイレ
> や、グラミーン、BRACの戦略などと共通するところがあり
> ます。彼女が言っていたように、アフリカでは木がよく育
> つので、変革のシンボルとして大きな役割を果たし、五年
> もすれば景色が変わり、10年もすれば男たちもその経済的
> 価値に色めき立つというのは本当だと思いました。
>
> もうひとつ、彼女が最後に何度も繰り返した言葉がありま
> した、アフリカに変革をも
> たらすには、consciously, deliberately,persistently,
> patiently, and withrenewed commitment をもって活動を
> 続けていかなければならない、ということです。まったく
> その通りだと思いました。開発の話もマクロ経済の話ばか
> りだとどうもピンとこないのですが、彼女の話には実践を
> 通しての現実味とその信念に基づいた姿勢を通して聴衆を
> エンパワーしてくれるものがありました。

とても勉強になりました。

私はメッセージNo.39で自己紹介したように
http://groups.yahoo.co.jp/group/nyunforum/message/39
> 愛・地球博では、
> 緒方さんを主役にする「地球平和フォーラム」
> http://www.expo2005.or.jp/jp/N0/N2/N2.1/N2.1.114/
> 平和へのハーモニー~地球市民フォーラム~
> http://www.expo-people.jp/projectlog/details/project_details.php?pid=23
> 文化・文明の遺伝子「ミーム」フォーラム
> http://www.expo-people.jp/projectlog/details/project_details.php?pid=101
> などに関わっております。

これから日本の市民は世界に対してどういう責任を果たして行けば良いかのメッセージを発信しようとしているのですが、原点に戻って考え直さなければだめだと言うことが、良く分りました。

http://groups.yahoo.co.jp/group/nyunforum/message/61
で発言していらっしゃる、
> JICAの理事長室で緒方の補佐役を務めている鈴木規子です。

鈴木さん、
先日はご多忙中、理事長の貴重な時間を割いていただき、大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

私たちにできることは、せいぜい、以下のような「国内世論形成への働きかけ」のお手伝いにも足りない程度かもしれません。

> 常任理事国入り実現のための努力は、もちろん国連外交や
> 各国ベースでの外交上の働きかけが重要なことは当然です
> が、それをきちんと裏打ちする日本国内における予算上の
> 手当てや、それを促す国内世論形成への働きかけ
> が同様に忘れてはならない視点と考えます。

それだけでも、やらせていただければありがたいと思います。

よろしくご指導ください。皆様。

 

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