2005/02/20

バングラデシュでのMDGs関連行事に出席して考えたこと

DC開発フォーラム、NY国連フォーラム、バングラデシュ・モデルの皆様

在バングラデシュ日本大使館の紀谷です。ご無沙汰しております。今年は開発関連の国際会議が相次いで開催され、当地にもその動きが伝わってきています。

2月16日、ダッカのシェラトン・ホテルで(1)国連ミレニアム・プロジェクト報告書(1月にNYで発表されたもの)、(2)バングラデシュ・ミレニアム開発目標(MDGs)進捗報告書(バングラデシュ政府・国連共同作成)、(3)バングラデシュMDGs調査報告(世銀作成)の発表会が行われました。
http://www.lcgbangladesh.org/mdgs/

これは、当地の国連常駐調整官事務所が中心になって準備した企画で、リスナー国連常駐調整官(UNDP常駐代表)が司会を務めました。

バングラデシュ政府からは、シディキ首相府首席秘書官、アーメド計画委員会総合経済局次官など事務方トップクラスが出席しての力が入ったものでした。この両名は、貧困削減戦略文書(PRSP)策定の中心人物でもあります。

その他、国連ミレニアム・プロジェクトの起草メンバーの一人であるBRAC大学のムスタック・チョードリー氏、世銀副代表、外交団や報道関係者も出席しました。(大使館からは、堀口駐バングラデシュ大使と私が出席しました。)

ちょうど前日より2日間にわたり、国連ESCAP・UNDP・ADB共催のMDGs調査報告技術会合が開催されたこともあり、3報告書の概要説明に加え、ESCAPが作成したアジア大洋州MDGsの現状に関するビデオが流されたり(とても良い出来でした)、ダッカ市内の中学生8人がMDGsの8目標についてベンガル語・英語で将来の夢を語ったり、大きな紙に皆でバングラデシュMDGs達成を約する署名をするなど、様々な演出がありました。

バングラデシュで日々開発の課題の大きさ、難しさに直面していると、必ずしも楽観的な気持ちではいられません。しかし、アジア大洋州の途上国の人たちも共に同じ目標に向かって取り組んでいるのだ、開発は自国だけでなく世界の途上国共通の課題なのだ、というメッセージは、バングラデシュ人にとっても大いに励まされるものだったように思いました。MDGsのような啓発活動(アドボカシー)は、先進国のみならず、途上国でも有益と感じた次第です。

シディキ首相府首席秘書官からは、(1)自分としては、MDGsは貧困に関する十分に練られた文書であると理解しており、これはPRSPによって包括的に具体化されなければならない、(2)MDGsは南アジアの文脈に合わせてSDGs(南アジア開発目標)に修正されるべきであり、SDGsの最新報告は次回SAARC首脳会議に提出される、(3)バングラデシュにおけるMDGs実現のために、必要経費の算定や資金の手当てを行う必要があるが、このためにはODAと政府資金の双方を活用しなければならず、私見ではあるがODAは大規模インフラや科学技術、政府資金は社会分野の経常経費を担うのが良い、(4)先進国の貿易障壁の撤廃も重要であり、また日本の対バングラデシュ債務救済は貧困削減に向けられるよう工夫され感謝している、(5)海外直接投資が重要、(6)モニタリングのためのデータ拡充が不可欠、(7)第8目標(特に先進国の責務)は誰が監視するのか、(8)最終的には政府の主体性が重要であり、ガバナンスの改善が鍵となる等の発言がありました。同秘書官のように、政府部内の取り組みの中核となる人たちを、皆で盛り立てていかなければならない!と強く感じました。

MDGsのような世界的目標が、各途上国でどのように受けとめられているかは様々ではないかと思いますが、バングラデシュでは、政府の人たちも折に触れて「MDGの達成」に言及しています。現在協議中のPRSP案でも、第一章にMDGsの現状を説明する項目があり、ドナーも常にMDGsの状況を見ているのが現状です。MDGsとPRSPの担当部局は一緒で、その両者を整合的に推進していこうという体制になっています。

日本では、MDGsをめぐる議論が国連改革の動きと連携してきたこともあって、MDGsに対する関心が最近急速に高まってきているように思います。

2001年10月、古田外務省経済協力局長(当時)は、MDGsと日本のODAに関する政策演説を行いました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/un/mdgs_kk.html
2003年8月のODA大綱ではMDGsに特段の言及はないようですが、今月初めに発表されたODA中期政策では、冒頭近くにMDGsに言及しています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/chuuki/pdfs/
本年2月10日、ミレニアム・プロジェクト報告書に関する国連総会非公式意見交換で、大島賢三国連大使が、MDGsに対する日本の基本スタンスを表明する演説を行いました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/17/un_0210.html

日本はMDGsにどのように取り組むべきかについては、これまで様々な議論があったように思いますが、ごく最近までは、日本がMDGs的アプローチを先頭に立って推進するというよりは、若干距離を置いてきたように思います。英国国
際開発省(DFID)のように、MDGsを組織目標として掲げるのには抵抗があるかもしれませんが、日本として、MDGsに結果として貢献していると述べることに加えて、このような目標設定型の枠組みの構築・推進に更に建設的に関与できれば良いのではないかと思います。

DC開発フォーラムでは、2002年6月のブラウンバッグランチ(BBL)で、この点につき戸田隆夫JICA米国事務所次長(当時)より問題提起がなされ、それを踏まえて同11月には国際開発ジャーナルに寄稿されました。「日本はこれ以上傍観者であってはならない。MDGs自体にいろいろ問題点、あるいは改善すべき点があることは当然として、それをあげつらうのみでは埒があかない。国際潮流への建設的な参画を通じて、MDGsをよりよきものにするための議論を進めると同時に、MDGsのようなものを、日本のODAを改革する機会としてとらえた議論がより一層深められるべきである」といった当時の問題意識は、引き続き有効ではないかと感じております。
http://www.grips.ac.jp/forum/pdf02/pm13.pdf
http://www.developmentforum.org/idj0211.htm

バングラデシュでのミレニアム開発目標(MDGs)進捗報告書に対しては、日本からも草案に対して昨年秋にコメントを行いました。途上国の現場からも、MDGsをはじめとする開発パートナーシップに、建設的な関与を進めていきたいと思います。

来週のワシントン出張の機会に、「国際開発イニシアティブを途上国現地での開発援助にどう生かすか-MDGs、PRSP、調和化・整合化と日本の役割-」とのテーマで、2月22日(火)にDC開発フォーラムのBBLでプレゼンテーションを行う予定です。DC開発フォーラム・メーリングリスト(devforum)参加者には、ワシントン在住者が多いことと思いますところ、もしお時間がありましたら、上記の論点も含め、皆様と議論させていただければ幸いです。
http://www.developmentforum.org/

大変長い投稿になりましたが、終わりまで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。本メールはDC・NYフォーラム関係者、バングラデシュ関係者の双方に送付させていただきましたところ、重複して配信された方にはお詫び申し上げます。ご意見等ありましたらご投稿いただければ幸いです。

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在バングラデシュ日本大使館 紀谷昌彦
Embassy of Japan in Bangladesh
Plot # 5&7, Baridhara, Dhaka, Bangladesh
Tel: +880-2-8810087
Fax: +880-2-8826737
E-mail: kiya@kiya.net
Website: http://www.bd.emb-japan.go.jp/

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