2005/03/25

出先機関ないし交渉者の役割

皆様

一連のメールのやり取りを拝見していて、交渉者とは何か出先の役割とはについてご説明する必要があるように感じております。80年代に日米貿易摩擦華やかなりし時に、外務省の先輩が日米交渉を「共同努力」(joint efforts)と呼んでおりました。そしてその意味がお互いに国内の代表すべき立場(constituency)を背景に持っている日米の交渉者同士が何が落としどころになるのかを共同で探り合って妥協点を見いだすことを指しているのを仕事を通じて理解しました。交渉者とはお互いの立場を主張するだけのつばぜり合いを最前線で行う人達であるだけのように思っている人も世間にはいるかも知れませんが、それであったら交渉者の存在意義はあまりないのです。それぞれの国の将来のあり方まで視野に入れて現実の制約の中で何が最もプロダクティブな落としどころであるかを相手方とさぐり合い、その次には国内を説得するという役割を果たすのが交渉者だと思います。

援助をめぐる議論についても言えることですが、出先からみれば国際援助世論の動向の趨勢とその背景にある考え方が本部からみているより良く分かるのは当然だと思います。他方で、本部からみれば諸外国にはすぐには理解できない諸般の事情があってそれを背景とした国としての対処方針が出てくるのだろうと思われます。出先の仕事は、こうした狭間に立って、本部にはドナー・コミュニティの動きを色眼鏡なしに分析・評価して伝え、諸外国に対しては日本が何を考えているのかを分かりやすく伝えることであろうかと思います。その過程では、本国からみれば諸外国の言いなりになっている腰抜けのように思われるかも知れないし、諸外国からみれば頭の固い保守的なコンコンチキのように思われることがあるかも知れません。しかし、それは交渉者の宿命のようなものであり、そういう誤解を両方向から受ける怖れが皆無であるような仕事ぶりであっては、交渉者の存在意義は乏しいと私は考えております。

OECD代表部 松永大介
Daisuke Matsunaga, DAC delegate for Japan
tel: 33-(0)1-53-76-61-21
fax: 33-(0)1-45-63-05-44

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