2005/06/02

世銀はどこへいくのか?

NY国連フォーラム、DC開発フォーラムの皆さん、ユニセフの久木田です。


昨日、日本政府国連代表部他主催で、Towards an Inclusive Approach to the Millennium Development Goalsと題するシンポジウムがNYのミレニアム・ホテルで開催されました。基調講演をJoseph Stiglitzが行いましたので、その一部をわたしのコメントも加えて報告いたします。さして新しい論を展開したわけではありませんが、時宜を得た話で、「成長か貧困か」という点から皆さんと議論できればと思い、エコノミストでもない私が報告をいたします。

Stiglitzはご存知のように、2001年にノーベル経済学賞を受賞し、世銀のチーフ・エコノミストをした後、現在はコロンビア大学の教授をしています。彼が「本日はお日柄もよろしいようで」と切り出したので、何かと思えば、6月1日は世銀の総裁がWolfensohnからWolfowitzに変わる日で、しかも最近の内部評価で、世銀が「保健や教育に金を使いすぎた、経済インフラにもっと投資すべき」だという議論が出たので、成長か貧困かの話をするにはちょうどよいという訳です。

この話、Wolfowitzが新総裁に指名されたときからうわさされていた、世銀の振り子が経済中心に戻っていくということの延長で、私も気にしていたことです。実は3月にユニセフの新事務局長のAnn Venemanが世銀を去るWolfensohnに会うときに用意したブリーフィングに書いた最初の点が、彼は人間開発のポートフォリオを5年間で三倍にし、ミレニアム開発目標を中心にすえ、世銀をHumaneにしたということでした。それゆえに、国連と世銀の間がずっと近くなり、近年両者の協力関係は飛躍的に増大していると書いたのでした。しかし、Wolfowitzの世銀がどう変わるのか、特に人間開発の分野がどうなるのかは大変気になるところです。


成長に焦点を絞るべきかそれとも貧困か?

さて、Stiglitzはもちろん、成長が必ずしも貧困をなくさないと言う論を展開しました。トリックル・ダウンはうまくいかないこと、成長へのフォーカスは貧富の格差を広げ、貧しい人々を苦しめることが多いこと、それゆえ不安定な世界をつくり、さらに貧困を推し進めてしまう。貧しい人々に優しい成長政策をとるべきだ。大きな社会的、経済的なリターンのある教育や保健の支援をすべきだ。失業者を増やさないようにし、社会の不安定化を避けるべきだ。「極端な」緊縮政策・貿易の自由化・市場開放を避けるべきだ。これまですでに、「ワシントン・コンセンサス後のコンセンサス」 Post Washington Consensus Consensusができている。Conditionalityを減らし、Selectivityを増やすべきだ。分配に配慮し、Comprehensive Approachをとるべきだ。市場は大切だが極端に依存すべきでない。政府の役割、コミュニティー、人間開発の重要性を考慮すべきだ。



援助に焦点を絞る危険性は?

この点について彼は、援助は増やすべきだという議論をしました。援助は万能薬ではないが、援助がなければMDGsは達成できない。正しいフォーカスをすると同時に援助の量をもっと増やすべきだ。貿易上の特権を貧しい国に与えるべきだ。知的所有権の問題を見直すべきだ。武器の取引をやめるべきだ。最後に、先進国は熱帯雨林の保持にお金を払うべきだ、と締めくくりました。


国連からも世銀がどうなっていくのか気になるところです。皆さんどうお考えですか?

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