2005/07/20

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾・パート1

NY国連フォーラムの皆様

このたび、「国連フォーラム・インタビューシリーズ」という新企画を立ち上げました。第一弾は長文のため、4つのパートに分けて4日間にわたりお送り致します。

同インタビューシリーズが、フォーラムのディスカッションのきっかけになれば幸いです。

NY国連フォーラム幹事小谷瑠以

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾 ┃
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小谷瑠以:ニューヨーク在住 コロンビア大学


●阿部信泰国連事務次長 (軍縮局担当)●

略歴:あべ・のぶやす 1945年、秋田県生まれ。東京大学法学部中退後、67年外務省入省。軍備管理・科学審議官や在ウィーン国際機関代表部大使、駐サウジアラビア特命全権大使を歴任し、2003年7月、日本人としては5人目となる国連事務次長に就任。

国際社会の第一線で国連に関連するお仕事をされている方にインタビューする今シリーズ。記念すべき第一弾は、現在NY国連本部軍縮局にてご活躍の阿部事務次長に今日の軍縮・核不散分野について5月に約一ヶ月間開催された2005年核兵器不拡散条約運用会議(以下、NPT再検討会議)の結果も交えてお話を伺った。

私は阿部局長がトップを務める軍縮局にてこの夏インターンをしており、NPT再検討会議にも携わる事ができた。

核兵器不拡散条約は、アメリカ、ロシア(旧ソビエト)、イギリス、フランス、中国の5ヶ国を核兵器国、その他を非核兵器国と定め、究極的核兵器廃絶を目標としてこの2つのグループの役割分担を明記した多国間条約である。核兵器国は、核兵器の供与や開発製造の支援などが禁止され、核軍縮の義務が課されている。締約国である非核兵器国は核保有の権利を放棄し国際原子力機関(IAEA)の査察などを受けるかわりに、原子力の平和的利用の権利が与えられている。現在188ヶ国が締約しているこの条約は、1970年に発効されて以来、軍縮・核不拡散の礎として重んじられ、1995年5月には無期限延長が決定した。しかしこの条約の運用を検討する5年に一度の今会議は、3つの主要委員会全てにおいて実質事項に関する合意文書を作成する事が出来ず、事実上決裂した。

今会議では、本来は開会前に決定されるべき議題が、会議開始後の10日目にやっと決まった。この異常な遅れは、エジプトなどの非同盟諸国と西側諸国との意見対立の結果である。最終的には非同盟諸国が求めた論点が含まれない議題が同意され、それと共に非同盟諸国が幅広い議論が出来るよう示唆した議長宣言が出された。しかしその宣言の表現をめぐってもかなりもめ、その後も他の手続き事項がなかなか決定せず、結局実質審議が始まったは会議開始から18日目。更にそれからも私が担当した第一委員会では、各国の演説、作業文書の紹介、はたまた非難応酬で1日半が潰れた。この為実質論議及び最終文書の文言調整に当てられた時間は、第一委員会の例を挙げるとほぼ3日と極めて限られてしまった。第一委員会は委員長修正案を含む報告書に「合意出来なかった」と明記した上で本会議に報告し、会議の正式文書として提出し、表面上は決裂を回避した形をとれたが、他の委員会はそれさえも出来なかった。

ここまで最悪な会議は滅多にないと言われるほどの結果だったが、阿部局長は一貫して『この分野でやっていくには基本的に楽観的でないといけない』との立場を堅持されている。以下、同局長にさまざまな分野の問題についてお考えを伺った。

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1.軍縮局長の職務と役割

Q.通常の一日の業務の流れについて具体例を交えてお話しいただけますか?

A.今日を例として言いますと、まず出勤したら着信メールをチェックし、緊急を要するものから処理を始めます。それから今日は午前中1時間ほど事務総長室で政策委員会がありまして、そこで先月ほとんど成果なく終わったNPT再検討会議の結果をふまえて、9月の首脳レベル会議に向けて事務総長にいかに働きかけてもらうかを提言したり、他の参加者と一緒に議論したりしたんですね。これはいわば私の事務総長に対する政策的なアドバイスをする仕事の一つです。

それが終ってすぐ、軍縮局のスタッフと来年開かれる「検証に関する政府専門家会議」の出席者について相談をしました。これも一つの軍縮局の大事な仕事で、軍縮局が開く国連の会議、あるいは専門家の会議などをどのように組織するか計画を錬るんです。それが終ってすぐ地下の会議室で「国連小型武器トレーシングOEWG第3回会合」の議論を議長の隣でフォローしました。私はできるだけ会議に顔を出して動きを確認しながら、会議の大きな流れについて議長と相談します。

昼食後は会合にもう一度行きまして、会議がどうなっているかを見て4時にオフィスに帰ってきてから、国連軍縮局の軍縮センターの移転について、フィンランドの大使と相談する為にお会しました。基本的には軍縮センターといっても非常に小さな事務所で、独立維持は非常に経費もかかるしたいへんなので、アフリカセンターをトーゴから国連の事務所があるナイロビへ、現在ニューヨークにあるアジア太平洋センターをバンコクへ統合した方が能率的だということで、今検討しています。但し反対も出てくるでしょうし、意見調整をしようということで各国大使と相談しているわけです。

Q.大きな行事がある場合はどうでしょうか?NPT再検討会議での具体的な任務と役割は何でしたか?

A.NPT再検討会議のように非常に重要な会議になると私も一日中会議場にいます。そうすると先ほどお話したような局の運営の仕事は10時前か昼休みあるいは6時以降にします。期間中、会議そのものの事務局長は軍縮局ジュネーブ事務所のザレスキー氏を任命しまして、議長の隣にずっと座って議長をサポートして頂きました。その反対側に座って会議の全体の大きな流れについて議長と時々相談をするのが私の中心的な仕事でした。その他に、事務総長が初日に挨拶をしたんですけれど、会議が始まる前に事務総長室と議論をして、事務総長にこうこうこういう問題を取り上げてほしいと呼びかけてもらうよう用意をしたんですね。これも軍縮局の大事な仕事で、事務総長が会議やマスコミの前に出て軍縮問題について話すという時に、どういうプレゼンテーションをしてもらうかについて議論しアドバイスします。

(パート2につづく)

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フォーラムに参加されている皆様からのご意見・感想等をお待ちしております。

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