2005/07/20

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾・パート2

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾 ┃
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●阿部信泰国連事務次長 (軍縮局担当)●


ーーー昨日送信されたパート1からのつづきーーー


2.国連への外務省からの出向者として

Q.日本の政府関係者が国連の要職を務めることの利点は何だと思われますか?この分野に限らず政府職員を国連に送り込むことによって日本は自国の意図を反映できるのでしょうか?

A.軍縮の関係の交渉というのは基本的には政府間の交渉ですから、軍縮問題について議論をしたり理論を組み立てたりしているのは政府関係者が多いんですね。もちろんアメリカのように民間の研究機関が発達していてそこで研究している人もいますけど、そういう人も大体は政府で軍縮もやって時々研究機関にきてやっています。政府からまったく離れて知識や技術を身につけるのは非常に難しいので、国連も軍縮関連の担当者はそういう人材のいる所からリクルートしているわけですね。私もそういう意味で採用されたわけですけれども、一旦国連に入りますと国連のために働くわけであって日本政府のためではないので、私もそういう心掛けで仕事をしています。

日本から来てここで軍縮を担当をして割とやり易いのは、日本の軍縮問題に関する方針は国連の主流の考え方に近いからなんですよ。あんまり心の葛藤もなく悩まずにできるということは恵まれていますね。これが基本的に国連の主流とは違う方針の国から来た人だと非常に難しいと思うんです。いくら建前は国連としてやるといっても頭で切り替えないといけないですしね。

3.被爆60年、世界状況の激変、国際社会にとっての脅威

Q.広島・長崎の被爆者や戦争体験者の世代の高齢化を念頭に現在、軍縮・核不散分野で国際社会が直面する脅威に、国際社会は具体的にいかなる措置を取るべきだとお考えですか?

A.軍縮というのは兵器によってどんな悲惨な目に遭うかを知ることが出発点なので、原爆であれば被爆の結果を残し、世界のできるだけ多くの人に知ってもらう、特に政治に携わったり世界の指導者になる人には是非ともよく理解して政策を決めてもらうことが必要なんです。ですからNPT再検討会議でも日本からだいぶNGOの方が来られたし、展示もしましたね。ああいうことで条約の議論をする人々にも実際どういうことなのかよく理解してもらうことが非常に大事なので、この軍縮局もかなり精力的に世界各地のNGOや研究機関とも常に連絡をとって、いくつか協力してプロジェクトを進めています。それは今後とも続ける必要があります。

被爆体験世代が少なくなっている今、広島・長崎等でいろいろ文献にしたり画像にしたり記念館に展示したりと努力をしていますが、なかなか工夫しないと難しいのです。特に今は核実験は各国もうやめてますが、原爆水爆実験は当初は大気圏内でやっていたんですね。大きなキノコ雲ができて、しかも放射線物質が落下し望ましくなかったんですが、それによって人々はみな核兵器がどんなに恐ろしい物か目に見えていたわけです。ところがあれがその後禁止されて地下に潛ってしまって、今はインド・パキスタンなんかが実験しても地震が起こるだけですね。それ以上のことは人々は理解できない。そうなってくると、どれだけの害があるかを理解してもらう工夫をいかにするのかが非常に大事です。

それを踏まえた上で核を減らし核拡散防止をしなくてはならないのですが、9・11後はテロリストが核を使うんじゃないかと非常に危機感が高まっています。あるいは北朝鮮がNPTから脱退して核計画を進めているということがわかった段階で、またはイランに核疑惑が持ち上がった時に、拡散を止めなきゃいけないと。ところが拡散防止を今回の会議で議論しようとしてもなかなか各国はそれに乗ろうとしない。なぜかというと、軍縮がそもそも進んでないじゃないかという議論があって、それが進まないならば不拡散の努力にはこれ以上協力できないという国があるからなのです。

そういう議論は当初から予想されていたので、事務総長のメッセージの中に二つの問題両方に取り組むべきこと、しかもどちらかを片方の人質にとってはならないことをちゃんと入れたんですけどね、実際会議ではまさにそういう状況になってしまった。それが失敗の基本的な原因です。事務総長は今後ともこれを克服すべきだと訴え続けます。おそらく極端な国を除いたほとんど多くの国はそうはいっても核拡散を止めなきゃいけない、そのために協力すべきだと考えているし、核兵器保有国も増やすべきではないという考え方はあるのですが、それを明確に約束しなさいと迫られると皆ちょっと待って下さいとなるんです。そこをもう少し常識論に戻して、もう少し素直に努力できる環境をつくり直すというのが重要です。

(パート3につづく)

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