2005/07/20

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾


NY国連フォーラムの皆さんこんにちは。

 ラトガーズ大学の大学院の長田です。小谷さん、非常に興味深い投稿、ありがとうございました。ぼくは軍事問題は専門ではありませんが、いくつか思ったことを書かせていただきます。

1.阿部信泰国連事務次長のアメリカの核使用に対する態度についての評価ですが、アメリカ社会の軍事力行使一般と核使用についての認識はどのくらい楽観できるものなのか、疑問を感じました。その理由の一つはアメリカは軍事力のいわば「アウトソーシング」、一種の傭兵化を進めていることです。徴兵制を廃止して以後のアメリカ軍兵士の出身階層が貧困層に偏ってきていること、民間軍事会社(PMF)の利用を進めていることなどを思うと、アメリカのマジョリティが戦争を自身の負担としてとらえる動機は弱まっているのではないか、と思いました。ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツなど戦場に行ったことがない人々がイラク戦争を決定した、ということが、将来のアメリカの、戦場での現実を知らないタカ派による軍事力の乱用と疲弊を示唆しているように思われますが、どうでしょうか。ブッシュ政権は小型核兵器の使用についての研究も決定していますよね。また、多くのアメリカ人は依然として日本への原爆投下を正当化しています。原爆はアメリカの科学技術と物量の優位に基づく軍事的優越のシンボルとしてアメリカ人には受け止められぁw)€トいるように思います。

 要するに、アメリカ人の大半は自分達は戦場に行くことはないし、科学技術と物量で優越しているアメリカは原爆を落とす側で落とされる側ではない、という認識が強固で、そこには核の保有と使用を放棄する契機が弱い。これがどう変わるか、どう変えるかが鍵だと思います。

2.こうしたアメリカ側の認識は、核の小型化と小規模集団による核自爆テロの危険性が国民レベルで感じられてようやく変化するかも知れませんね。自分が死んでもいいと思っている相手にはアメリカの核抑止は効かないですから。情報化と共に大量破壊兵器の知識もオウムのサリンガスの知識のように必然的に非国家アクターに広まるでしょうが、その時一番狙われるのがアメリカだと思います。

3.核廃絶後の核抑止体制と安全保障体制について、軍縮関係者はどのようなビジョンがあるのか興味を感じました。もし国家が核を持たない世界秩序が実現するとしたら、核兵器保有の防止と懲罰は現在よりも一層厳格かつ迅速になる必要があると思いますがどうでしょうか?

 現行の国連システムやコンセンサス方式では迅速な対応は難しいでしょうから、通常軍備による一部の国家の連合が今以上に介入の度合いを強めることになるのではないでしょうか。「民主国家」の連合が戦争を抑止する、ということでしょうか。

 また、テロ組織を排除できない破綻国家へのてこ入れと介入のレベルも高まる必要があります。核にあふれた世界は危険ですが、核のない世界も厄介に思われます。

4.日本の役割ですが、自国の教訓とアメリカの認識のギャップをどうやって埋めるか、日本側からアメリカ側への原爆投下についての認識をどう改めさせるかについて、フォーラムの皆さんはどのような意見をお持ちでしょうか?

 日本は安保同盟の活動の一環として大量破壊兵器問題での意見交換を行って、核がアメリカに対して使われる危険性への認識をアメリカ側に喚起していくことはできると思います。

 以上です。長文失礼しました。


Tatsuya Nagata
PhD Student in Global Affairs,
Center for Global Change and Governance,
Rutgers, The State University of New Jersey, Newark

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