2005/08/10

7月1日勉強会議事録(第二弾)

国連邦人職員会・国連日本政府代表部合同勉強会
新たな援助潮流への日本の貢献を目指して―JICAの課題と挑戦(第二弾)
JICA理事 小島誠二

4.JICA改革とは何か?

(1)第一弾として16年度は、まず現場主義の促進。中期計画では本部から在
外へ200人を異動する予定。56の在外事務所から、30の重点事務所を指定し
て、プロジェクトの形成から評価までを在外主導で行い(在外主管案件)、本
部はこれの支援に徹するという方式を導入した。また6つの地域支援事務所を
設立して、プロジェクト形成支援や会計等の管理業務支援を行うようにしてい
る。
(2)その他、1994年に出された人間の安全保障の概念を現場に適応できるよ
うにする。7つの視点を導入し、案件を人間の安全保障の視点からチェックす
る。モデル案件を導入する。典型的な人間の安全保障案件を形成し、共有す
る。
(3)効果・効率性。ODAでは何十年も言われてきたことだが、数値化して評
価することが新しい。また、迅速性はこれまであまり言われていなかったこ
と。ウォルフェンソン前世銀総裁が世銀に来て最初に言ったことが「スピー
ド」だったのは興味深い。津波等の自然災害への対応や紛争後の開発への切れ
目のない支援に当たって要請される。通常業務でも、ローリングプランを作る
こと等によって、迅速性を高めることは重要。変化が早い国際社会への迅速な
対応を重視する体制を目指している。
(4)17年度については、研修員受け入れ体制の強化。DAC等の様々な場で、
特に技術協力はサプライドリブンだと言われ続けている。日本の技術協力につ
いてはそのような批判はあまり当たらないのではないかと思うが、研修員受け
入れについて、途上国のニーズに一層合致したものにしていく必要がある。途
上国のニーズと受け入れ体制のマッチングを向上させたい。JICAのその他の活
動、典型的には技術協力プロジェクトへの統合、もっと言えば、プログラムへ
の統合を進めたい。
(5)もう一つ、NGO、大学等の市民団体との連携を図る。先ほどUNDPとの幹
部と話していたが、UNDPとの競合があるとすればCivil Society
Organizations (CSO)だと言っていた。JICAとしては、むしろこれらの組織と
の一層の連携を進めたい。
(6)調査研究、人材育成の強化。JICAの強みは現場を持っていること。
1954年以来の主としてアジアでの知識・経験の蓄積がある。今も積み重ねられ
ている。それがエピソードとしては語られても、十分、概念化・体系化・理論
化されてこなかった。現場から帰ってくる職員、専門家、その他の援助関係者
から情報を得て、調査研究の中で蓄積することを目指している。国際協力総合
研修所を中心にやっていこうとしている。

5.JICAは日本のODA全体の中でどのような位置を占めるか?

(1)JICAは「技術協力をするところ。ODAの実施機関」と言われる。それは
その通りであるが、実際には、技術協力と資金協力、さらには政策と実施とは
なかなか区別することが難しい。現場からのフィードバックがないと政策の立
案・改訂はできない。政策は政府、実施はJICAという仕分けになっているが、
一緒に考え、実施していかないと、うまくいかないのではないかと個人的には
感じている。
(2)一般会計ODA予算の20%くらいがJICA予算。技術協力は外務省(JICA)
以外にも多くの府省が担当。大雑把に言って外務省(JICA)が半分を、その他
府省が残り半分を担当。
(3)開発調査は、その結果が無償資金協力や円借款に繋がる技術協力。資金
協力との典型的な連携の例。

(4)二国間ODAの地域別実績。アジア重視だが、その割合は下がっている。
JICAの場合もそうである。JICAの場合はアフリカの割合が増えている。ただ
し、円借款が出にくいので政府全体ではそうとも言えない。2005年度でJICA予
算の20%がアフリカ向け。政府は今後3年でアフリカ向け援助倍増を明らかに
したが、JICAがどの程度増やしていくかについて、まだ結論は出されていな
い。
(5)特徴的なのは、中南米、大洋州の割合が高いこと。大洋州ではJOCV、中
南米は日系移民とのつながりによると思われる。中長期的には、その割合は減
少するのではないかと予想される。
(6)ODA関係者の数。政府その他の関係者のうち、半数以上をJICA職員が占
めているのではないか。アフリカに行くと、その比率はもっと高くなる。約
8割がJICA関係者と聞いたことがある。JICAは人の面で重要な位置を占める。

6.新しい援助潮流の中でJICAはどうしようとしているか?

(1)率直に言うと、技術協力というのは一番対応しにくい部分があるのでは
ないかと思う。戦略、基本方針を持って、事業を進めることが大事。国別事業
実施方針、地域戦略というものを作りながら事業を行うこと。また、アフリカ
の重視。それに応じた予算配分・人員配分を行うこと。
(2)二番目として、各ドナーが個々別々の目標・戦略をもって援助するので
はなく、共通の目標をもって、その達成に努力することが大切。ミレニアム開
発目標(MDGs)については、JICAとして何をすべきであるかを検討し、そのた
めの努力を行ってきた。お手元のパンフレットには、MDGsの実現と人間の安全
保障、capacity development及びインフラ整備とがどのような関係にあるかが
説明してある。なお、JICAとしても、インフラを重視しており、ガバナンス、
貧困、インフラを総合的に捉えたアプローチをとっていきたい。この点につい
ては、UNDPとも議論をしている。
(3)Poverty Reduction Strategy (PRS)体制への参加。第二世代が始まりつ
つある。UNDPは色々な考えをもっている。PRSPの作成及びその評価・モニタリ
ングの課程にJICAとしてできるだけ関与していきたい。アフリカでは、まだま
だ手薄だが、大使館と比べれば多くのJICA関係者が在勤しており、援助調整の
専門家もいるので、セクター別ドナー会合などの場にできるだけ出ていって、
意見を発信していきたい。
(4)新しい援助モダリティへの対応。効果的な援助の実施に向けてJICAとし
て何ができるか。一般財政支援についての政府方針とは別に、例えば、公共財
政管理のための技術協力は行っていきたい。
(5)ローカル・リソースの活用、すなわち現地調達や現地コンサルタントの
活用を進める。
(6)その他、プログラム化を推進して、プロジェクトが総体として効果が発
揮でき、持続可能な結果が得られるようしていきたい。
(7)専門家には、省庁推薦の専門家と公募による専門家とがあるが、最近で
は公募による者が約1700人のうち約700人を占めている。
(8)JICAが国際援助コミュニティに対して何が貢献できるか。バーグ報告
(1993年。UNDPが外部委託により作成)には技術援助に対する問題点の指摘と
解答が書かれている。自分も、読んでみて、違和感を覚えた。一番違和感を覚
えた点は「専門家・カウンターパート・モデル」は破綻していると批判されて
いた点。少なくともアジアにおける日本の技術協力では、破綻していないので
はないかと思った。途上国のオーナーシップ尊重による共同案件形成、利害関
係者間での合意形成、専門家・カウンターパートによる信頼関係、既存の組織
の活用、そういったことが日本の技術協力では行われてきたと考える。アジア
での経験がそのまま使えるわけではないにしても、アフリカ支援にも活かせる
のではないか。また、南南協力はそのための手段を提供することができるので
はないか。
(9)近年、重要とされるイシューに対し、いっせいにドナーが走っていく傾
向が見られる。日本として、重要と考えるセクター・課題に対して一貫した支
援を行い、援助コミュニティ全体としてバランスが保たれるようにすることも
必要なのではないか。

<質疑応答に続く>
--
--------------------------------------
Yuka Nagashima (Ms.)
Human Security Unit
OCHA, United Nations

0 Comments:

Post a Comment

<< Home


Click Here