2005/08/10

7月1日勉強会議事録(第三弾)

国連邦人職員会・国連日本政府代表部合同勉強会
新たな援助潮流への日本の貢献を目指して―JICAの課題と挑戦(第三弾)
JICA理事 小島誠二

質疑応答

(質問)JICAはどう変わったか? 外務省とJICAとの関係如何? JICAが独立
行政法人化したことで、外務省、各省庁、JICAとの関係はどう変わったか?
意思決定に際して、JICAの独立性はどうなったか?
(回答)案件の採択までは政府。実施はJICA。実施の仕方、つまり投入量と成
果の見積もりはJICAの仕事。JICAの在外事務所も参加する現地タスクフォース
ができていて、そこでの議論が案件の採択に大きな役割を果たすようになって
きている。JICAの在外事務所の推薦に基づく案件の採択率が高くなっている。
各省庁が関わることになっている制度は別として、実態はそのように変わって
きている。

(質問)実施のフレキシビリティについてお聞きしたい。予算の単年度制はど
うなっているか? 繰越は認められているか? 本部から在外主導へという場
合、在外事務所が独自に使える予算が増えたかどうか? UNDPでは現地でカン
トリー・プログラムを行う場合、現地の事務所長が決めないと進まない。
(回答)単年度制度に変化はない。ただし、ローリングプランを導入して予測
性を高めている。イギリスのNGOの調査によると、日本のODAは「予測性が高
い」と途上国に評価されている。在外主管案件については原則として在外事務
所が責任をもって行う。各省庁との関係等があって本部でやらざるを得ないも
のを除いて、在外事務所が行う。一定規模を超えると理事会での審議を経る
が、それ以外は在外事務所で実施できる。繰越は行われるが、それを減らそう
というのがJICAの取り組み。ただし、一定額の繰越は出てこざるを得ない。予
算は、まず地域部に配布されて、それが課題部や在外事務所に流れる。

(質問)国際機関との連携。この2、3年、JICAと世銀で連携を深くしたらいい
のではと感じている。世銀をみていると、英国のDFIDなどとは深い関係を持っ
ている。そこまでいかなくても他の国際機関と連携を強化する予定はあるか?
(回答)制度化された協議は過去3年間くらい途絶えていたが、今まさに世銀
や地域開発銀行、国連との連携を進めている。昔はプロジェクト・レベルでの
連携が中心であったが、今後はもっと政策レベルでの連携と調整が必要。
PRSPの作成・モニタリング、MDGsの実現等について、世銀は大きな影響力を有
しており、そういうところと一緒に仕事をしないと効果的・効率的な援助を行
うことができない。最近の債務削減の議論、国際開発協会(第二世銀、IDA)
増資のうちの30%のグラント化等については、JICAとしても関心を有してい
る。国際機関もJICAの意見・方向性を知りたいのではないか。ODAの基本理念
である人間の安全保障、capacity development等について、できる限り多くの
ドナーや途上国と共有していきたい。人間の安全保障という言葉を使うかどう
かは別にして、世銀もそのコンポーネント、アプローチ方法を共有しているよ
うである。

(質問)MDG達成への努力。MDGsの一つに人権があり、rights-basedアプロー
チを導入するのがUN内で進んでいる。ダムを建設するについても人権への配慮
や計画への参加の確保が必要。北欧やカナダではrights-basedアプローチを採
用しているが、JICAではどうか。
(回答)そのように呼ぶかどうかはどうかは別として、JICAの体制はそれに近
いものと思う。すなわち、環境社会配慮ガイドラインを2004年度から導入し、
プロジェクト案件が途上国の環境に悪影響を生じさせないよう外部の有識者の
参加も得た審査委員会で検討する体制をとっている。ジェンダーについては特
別なユニットを設けていて、ジェンダーと開発との関係を特別に見ている。マ
イノリティについてはどうですかという疑問があろうが、マイノリティに対す
る配慮は社会配慮に含まれる。北欧と実態において差はないと思うし、あって
はならないと思う。環境社会配慮を行うに際し、追加的な労力が必要となり、
JICAが色々な圧力に晒されることにもなろうが、環境社会配慮は必要である。

(質問)平和構築について。紛争予防。UNでも取り組みを進めようとして難し
いところ。業績の評価が必要だが、それが難しい。JICAではどうか。
(回答)JICAでは紛争後の復旧・復興支援は色々と実施しているが、紛争予防
の実績はあまりない。ただし、紛争後に、再発を予防する視点を入れた開発・
復興を実施するということは重要。JICAは貧困削減に資するプロジェクトに取
り組んでいるが、貧困削減が紛争防止に資するかどうかについては意見が分か
れる。和解の促進などについては、JICAとしても貢献できるのではないかと考
えている。緒方理事長も南アでそういうことを目的としたセミナーに参加し
た。異なる民族の人たちが一緒の職場で働けるような機会を設けることが考え
られる。しかしながら、JICAが直接紛争予防に関わることは難しい。強いて言
えば、ガバナンスの問題として、関わることができるかも知れない。地方政府
の強化や法整備(土地所有権の概念を確立すること)などが紛争防止に資すると
すれば、JICAとしても、その限りにおいて紛争防止に関わることができるだろ
う。やはり関与は間接的になる。紛争そのものに関わるツールとしては、紛争
のアセスメント調査があるが、JICAとしては、むしろ、紛争後、再発防止のた
めに何が開発援助でできるかを考えていきたい。

(質問)再来週、安保理のテーマ別会合で紛争と人道援助、平和構築といった
分野のディベートがある。アフガニスタンやイラクでの国軍の解体、新しい国
での国軍の創出などミリタリー絡みの問題、Disarmament, Demobilization and Reintegration (DDR)、法と秩序、シビリアンポリース、などを含む広い
課題。一部はPKOでもバイの援助でもやられていると思うが、総じて、日本は
あまり手を出さないという方針でやってきた。その結果、日本の実績は薄い。
JICAでどこまで取り組めるか。JICAの中でどのように検討されているか?こう
した分野へのJICAの取り組み姿勢や問題意識はどうなっているか?
(回答)難しい分野。JICAは警察の訓練を行っている。イラクの警察官を隣国
で訓練したり、退役軍人を再トレーニングしている。また、法整備支援等は行
っている。DDRの前の方は、難しい。JICAの中でイシュー別(課題別)検討を
行っており、平和構築についてどこまで肉薄できるか、ガイドラインを改訂
中。また、できることはできるだけ早くやるようにしている。このことは、
DDRの各コンポーネントを切れ目なく実施するためにも必要である。クリエイ
ティブに考えなければ行けないと思っている。
(質問)JICAと自衛隊の間で、将来的に平和構築分野でいろいろ連携できるの
か? あるいは警察との間は? 常任理事国になれるかどうかは別として、将
来的にこうした分野で日本としてはもっと踏み込んで必要があると個人的に考
えているが、JICAの役割は?
(回答)警察とは従来、連携関係がある。自衛隊との組織的連携はない。緊急
援助隊では自衛隊と従来共同して行っているが、平和構築分野ではない。取り
組むかどうかは政府が検討することではあるが、各国の取り組みや、こんなや
り方が可能ではないか、というアイディアをJICAとして出すことは可能であ
る。

(コメント)アジア開発銀行やUNDPにいて、政策と実施との関係については、
はたして連携すべきかと思っている。融資をしている組織と技術協力をする機
関で政策と実施とは異なり、またバイとマルチとでも政策・実施ともに異な
る。政策と評価は一緒にすべきだが、実施とは異なるのではと思う。学問的に
も面白いテーマではないか。政策は理解できないといけないが、立案まで実施
主体がやらなくていいのではないか。

(質問)JICAからマルチの機関へ人を派遣していると思うが、マルチから
JICAへの人の派遣はあるのか?
(回答)今のところ、UNHCR及びユネスコからは実績がある。ただし、世銀や
ADBなど融資機関からの出向はない。受け皿として、むしろ国際協力銀行
(JBIC)が適当かも知れない。UNDPからの実績はない。
(コメント)UNDPからの派遣、考えてみたい。
(回答)歓迎する。

(質問)アフリカ援助について。アフリカへの増強に対して、どこを削るのか?
(回答)JICA予算全体が増えれば、他の地域への予算額は変化しない。割合と
いう意味で言えば、アジア等の減少が考えられる。アジアの中所得国向けの円
借款が減っていけば、それに応じて、技術協力の割合が減っていくということ
があり得るかもしれない。中米は別として、南米の中所得国に関しては減って
いくことがあり得る。

(質問)バイでアフリカ向けを増やすというとき、歴史的にも経済的にも関係
が薄いアフリカに対して、日本の国益という観点で、国民向けの説明はどうな
っているか。
(回答)英国のブレア首相は「アフリカは良心の傷」、つまり人道支援の対象
だと言っている。アフリカを救うことは、世界が取り組まなければならない課
題になってきていると思う。それを無視して日本が国際社会で重要な地位を占
めることは難しいのではないか。それを国益と呼ぶかどうかは別として、国際
社会が一緒になって取り組まなければならない課題に、日本も取り組むべきで
あるということである。

(質問)途上国側には日本の経済発展の秘訣を知りたいというニーズがある。
技術協力に責任を有する政府でなく、商社・日本企業がそれを果たしてきたと
いう意見もあるが、JICAが果たした役割は何か?
(回答)民間企業等が貿易・投資を通じて果たしてきた役割の重要性は言を俟
たないが、日本のODA
も、民間による貿易・投資の環境を整備するため重要な役割を果たしてきてお
り、JICAもインフラ整備、技術移転等を通じてしかるべき貢献を行ってきたと
思う。

(質問)小泉首相が対中国ODA、そろそろ卒業と発言。どのような方針か?
(回答)円借款及び無償資金については結論が出ている。あとは技術協力をど
のレベルで行うかという話。中国には貧困が残っている。環境問題は日本に影
響をすぐ及ぼす。私見では、しかるべきレベルの技術協力は将来も続けること
が国益に適う。

(以上)

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Yuka Nagashima (Ms.)
Human Security Unit
OCHA, United Nations

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