2005/08/23

ニジェールの飢餓と教訓

田島さん、

ユニセフの久木田です。

私もニジェールの今回の人道危機について、大きな関心があります。アナン事務総長が訪問していることもあり、いろいろな報道がありますが、どうしてもっと早く当該政府と国際社会の対策が取られなかったのかという疑問は残ります。ユニセフでもニジェールのためのアピールを出して、支援を求めました。危機報道のおかげであっという間に必要額が各国政府から拠出されました。民間からの支援も大変早かったようです。ただ、危機は依然として続いていますし、同様の問題は西アフリカの周辺最貧国にも存在していて、現在そちらのアピールに対する支援を各国に依頼しているところです。

ニジェールのMSFが、国連の対応が遅く、非効率的で、栄養不良の影響をもっとも受けやすい五歳未満の子どもに支援が届いていないと報告しています。アナン事務総長もMSFの現場を視察し、大統領や首相にも会っていますが、政府の「危機はない」という説明と現場の状況にははっきり相違があるようです。G8であれだけアフリカといっておきながら、対応が遅いと言うのも奇異な感じがします。

私は、飢餓の専門家ではありませんが、食料や水の安全保障・子どもの健康と栄養などの観点から関わったことがあります。島田さんがおっしゃるとおり、早期警戒システムを確立する必要があると思います。私も、1990年代初頭に南部アフリカで大干ばつがあったときにナミビアの地方のコミュニティー開発を担当していましたので、早期警戒システムの確立にも関わりました。作物の出来具合、穀物の貯蔵レベル、穀類の価格と流通、現金収入や年金の有無、家畜の保持、水の確保、など、コミュニティー全体としてのCoping Mechanismや各家庭での対応力崩壊時期の予測など、たくさんの指標をモニターしながら対応を考えていく必要があります。大きな編んだかごの中のアワやヒエがそこをつき、種もみも食い尽くして、現金もなく、最後の手段のやせ細った牛を売ることになった家庭の心細さは、今思い起こしても悲しいものです。

女性が戸主の家庭、妊婦と乳飲み子を抱えた女性、老人、村でも特に貧しい家庭などに優先的に食料や現金が行き渡るようにして、弱い人々が崩れるのを防ごうとするのですが、コミュニティー全体の助け合いのCoping Mechanismも働かなくなると、国内避難の移動が始まります。ナミビアにいたときは、政府も国連機関も援助国も、独立したばかりの国をなんとか危機回避させたいと一生懸命で、乗り切ることができまし
た。ニジェールの状況は、慢性的な貧困と対応不足のために危機的な状況が訪れて、やっと世界に注目されたのだと思います。

残念なのは、そういう状況がアフリカをはじめ世界のあちこちにあるということと、それが繰り返されているということです。週末に「ホテル・ルワンダ」という映画を家族で見ました。国連と国際社会の役割、メディアの役割、宗主国の責任と役割、群集心理と恐怖放送、暴力と安全保障、いろいろと考えさせられました。レッスンはたくさんあったのに、実施していないことがたくさんあります。

根本的な問題の解決には、途上国コミュニティー(特に子どもと女性)のエンパワーメントと先進国の人々と政府の態度変容を大きく進める必要がありますね。

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