2005/10/17

国連でインターン:UNDP東ティモールから

コロンビア大学大学院(SIPA)の清水です。今回は、「国連でインターン」シリーズ第1弾として、私が今年7月4日~8月12日に行ったUNDP東ティモール事務所でのインターンシップをご紹介したいと思います。

1.インターンシップへの応募から獲得まで

私は現在、コロンビア大学SIPAの国際関係修士課程で、経済・政治発展(Economic & Political Development)を専攻しています。紛争後の平和構築・復興支援に関心があり、またインターンを行うことが大学院の卒業要件でもあるため、この夏この問題に関われる機関、特に現場でインターンを行えないかと考えました。

私の在籍するSIPAはキャリアサービスが充実しており(異議のある同級生もいるかもしれませんが…)、就職説明会等が頻繁に開催されています。私は開発援助に携わる国際機関、NGO、シンクタンク等の説明会に出席したり、インタビューを行ったり、先輩や教授等にアドバイスをいただきながら、UNDP東ティモール事務所を始めいくつかの国際機関に応募しました。

日本における職員の採用方法と、国際機関や欧米型の企業の採用方法の最大の違いは、後者においてはウェブサイトなどを通じた公式の採用チャンネルのみで正規職員なりインターンとして職を得ることは稀であり、内部の職員や外部の有識者からの推薦などの、いわゆる「コネ」で採用されることが多いということだと思います。ただし、ここでいう「コネ」は、日本的な意味での「コネ」より広いと考えてよく、自ら「コネ」を形成すること(いわゆる「ネットワーキング」)で職を得るのが一般的なようです。

UNDP東ティモール事務所については、大学院の同級生で、東ティモールでUNボランティアをしていた日本人学生がいたため、彼女に紹介をお願いしました。大学院のキャリアサービス等のアドバイスを受けながら、3月に履歴書と応募フォームを現地事務所に提出。5月まで返事がなく、諦めかけていたところへ、たまたま応募フォームを送付した同事務所職員が研修でニューヨークに来た際にお会いすることができ、その場でオファーをいただきました。なお、他の国際機関はわかりませんが、UNDPの場合は、現地事務所が本部から非常に独立しており、応募も直接現地事務所にします。

アドバイスとしては、積極的にネットワーキングをすること、履歴書やカバーレターを早めに準備し、いろいろな人に見てもらって改善していくこと、早めに出願すること、及び決定まで時間がかかることが多いので諦めないこと、といったところでしょうか。

2.インターンの内容

UNDPでは、貧困削減ユニットにおいて、主に以下の5つの業務に携わりました。その他、各種報告書案(『東ティモール人間開発報告書』など)にコメントをしたり、アド・ホックな説明会に参加したりもしました。

(1)新しい元兵士支援プログラムの作成

今年5月に終了した「元兵士及びコミュニティ復旧・雇用・安定プログラム」(RESPECT)に続く新たな元兵士支援プログラムの作成に携わりました。コンセプト・ペーパーを作成し、これを東ティモール政府(カウンターパートは労働・コミュニティ復帰省)に提示し、さらに支援国に提示するという段取りです。具体的には、資料として①過去の東ティモールにおける元兵士支援プロジェクトの一覧表の作成、及び②労働・連帯庁下の退役軍人局の組織図を作成した上で、他の担当官が作成した原案を統合し、議論していきました。

元兵士支援に際し特に問題となるのは、元兵士の定義です。元兵士をどう定義するかが直接裨益者の範囲に関わってきます。東ティモールの場合、24年間にわたり独立闘争を戦ってきましたが、いつ、何年戦ってきた人たちを元兵士と定義するのか、兵士ではないが自宅に兵士を匿うなどの支援を行った文民をどうするのか、元兵士の未亡人や孤児をどう扱うのか、といった問題は非常にセンシティブであり、かつ政治的です。

元兵士は国の独立のために闘ってきたにもかかわらず、長年のジャングルでのゲリラ活動のため、基本的な教育・職業能力に欠けている者も多く、独立後社会からマージナライズされている元兵士が多い。元兵士の多くは高齢化しており、彼らに今更職業訓練を施すのはあまり意味がない。身体・精神障害者も少なくなく、たとえば身体に弾丸が残ったままの元兵士がいますが、彼らを手当する病院が不足している。多くの未亡人や孤児は極度の貧困状態にある。上手に進めていかないと、嫉妬を引き起こす危険性もあります。高齢の元兵士はどんどん老い、死んでいっています。感情的な問題もあります。

(2)RESPECTの教訓(Lessons Learned)作成

RESPECTについて、各種報告書や関係者とのインタビューに基づいて、教訓(Lessons
Learned)をまとめました。RESPECTは、ほぼ全て日本政府の出資によるプログラムであり、雇用・持続的生計の機会の提供により、元兵士、未亡人、失業若年層などの社会的弱者を社会経済的に統合することを目的としたプログラムです。国レベルで21、地方レベルで258のプロジェクトを実施済、あるいは実施中です。

自らのプロジェクトへの関与や関係者とのインタビューを通じて、いろいろと問題のあるプログラムであるとは感じましたが、しかし、独立直後の時期に、これだけの数のプロジェクトを、コミュニティレベルで、コミュニティを巻き込んで行った功績は大きいと考えました。実験的な要素もあったことは否めませんが、RESPECTの経験を基に、コミュニティを巻き込んだ形での開発援助を行っていくことが、持続可能な開発に不可欠ではないかと思います。

(3)オクシにおけるSTAGEのモニタリング

 「有益な雇用のための技術訓練」プログラム(STAGE)のモニタリングのため、オクシ(インドネシア領西ティモールに囲まれた飛び地)に出張しました。STAGEはECに支援されているプログラムであり、東ティモール内の4つの地域(ディリ、バウカウ、ボボナロ、オクシ)において、雇用者、被雇用者、及び訓練者をデータベース化して連携を構築し、労働・連帯庁及びその地区雇用センターが技術訓練を行えるよう能力強化を行い、雇用の創出を図るものです。出張の主要な目的は、オクシで市場調査を行い、訓練を施すコミュニティ・プロモーターの訓練のモニタリングでした。また、現地で活動しているNGOとの会合を設け、STAGEの主旨を説明すると共に、今後の協調関係を築きました。さらに、オクシでのUNDPのもう1つのプロジェクトである「オクシ地域活性化プログラム」(OCAP)との間で、特にマイクロファイナンスの面での協調を図るべく現地スタッフと会合を持ちました。

(4)ロスパロスにおける水供給プロジェクトのモニタリング

水供給プロジェクトのモニタリングのため、ロスパロス(東ティモール東部、ラウテム県)に出張しました。水圧が弱くなっているということで、配管工事が行われている様子を視察しました。しかしせっかく配管工事を行っても、発電機を稼動させるための燃料が不足していました。

(5)エルメラにおけるRESPECTワークショップ及び落成式

エルメラ(東ティモール西部、エルメラ県)において、RESPECTのワークショップ及びプロジェクト落成式を開催しました。事前には日本大使館への説明用にプロジェクト・ブリーフを作成しました。ワークショップ当日は、エルメラにおける各RESPECTプロジェクトのプロジェクト・マネージャーを集め、当方から全体的なプレゼンテーションを行った後、ディスカッションを行いました。翌日の落成式では、教会、養魚場等のプロジェクトの落成式を、日本大使館の参加も得て行いました。

3.生活

東ティモールというと「紛争後」というイメージでしたが、実際は治安面ではほとんど問題はありません。国連も一番低い「フェイズ1」に指定しています。女性の夜間の一人歩きやタクシーの利用は勧められていませんし、国境付近でインドネシア側と諍いが起こることはありましたが、それ以外に治安が問題となることはありませんでした。

東ティモール滞在中は、SIPAの関係者を通じて、東ティモール人から家を借りました。途上国に住むのは初めての私としては、停電が頻発したり、蛇口やシャワーから出る水の水圧が弱かったり濁っていたり、シャワーも温水は出ず、いろいろと生活の苦労はありましたが、それによって現地で生活上どのような需要があるかを体験できたし、大家の一家との交流もできたので、非常に良かったと思います。

4.その他

職場では、本当に人に恵まれました。インターンは仕事半分、勉強半分というところがあるので、上司は教育的配慮からいろいろな会合に参加させてくれたり、フィールドに行きたい!という私の要望を容れて、できるだけフィールドに行かせてくれたりしました。

以上、雰囲気だけでも伝わりましたでしょうか?国連機関、特に現地事務所でのインターンを考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。
なお、UNDP東ティモール事務所については、以下のアドレスをご参照ください。
http://www.undp.east-timor.org/

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