2005/10/23

勉強会 日本における難民・移民の現状と課題:レジュメ4

日本における難民・移民の現状と課題
~国際人権条約の施行と国際社会における日本のあり方~

2005年9月30日

(オリジナルレジュメP.5 分)

【市民的および政治的権利に関する規約(自由権規約)】
第17条
1 何人も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
2 すべての者は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
第23条
1 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する。
【児童の権利に関する条約】
第3条
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

【2001年3月20日 国連人種差別撤廃委員会の最終見解 抜粋】
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/saishu.html
7.委員会は、・・・委員会の報告ガイドラインにおいて要請されているように、人口の民族的構成比についての完全な詳細、特に、韓国・朝鮮人マイノリティ、部落民及び沖縄のコミュニティを含む本条約の適用範囲によってカバーされているすべてのマイノリティの状況を反映した経済的及び社会的指標に関する情報を次回報告の中で提供するよう、締約国に勧告する。沖縄の住民は、特定の民族的集団として認識されることを求めており、また、現在の島の状況が沖縄の住民に対する差別的行為につながっていると主張している。

9. 委員会は、憲法第98条が、締約国によって批准された条約が国内法の一部であると定めているにもかかわらず、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の規定が、国の裁判所においてほとんど言及されていないことにつき、懸念をもって留意する。(以下略)
10.委員会は、本条約に関連する締約国の法律の規定が、憲法第14条のみであることを懸念する。・・・委員会は、特に本条約第4条及び第5条に適合するような、人種差別を非合法化する特定の法律を制定することが必要であると信じる。
12.人種差別の禁止全般について、委員会は、人種差別それのみでは刑法上明示的かつ十分に処罰されないことを更に懸念する。委員会は、締約国に対し、 人種差別の処罰化と、権限のある国の裁判所及び他の国家機関による、人種差別的行為からの効果的な保護と救済へのアクセスを確保すべく、本条約の規定を国内法秩序において完全に実施することを考慮するよう勧告する。

勉強会 日本における難民・移民の現状と課題:レジュメ3

日本における難民・移民の現状と課題
~国際人権条約の施行と国際社会における日本のあり方~

2005年9月30日

(オリジナルレジュメP.4分)

難民条約33条1項
(追放及び送還の禁止)
締約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見のためにその生命又は自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放し又は送還してはならない。

【拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条】
拷問等禁止条約3条前段
締約国は、いずれの者をも、その者に対する拷問が行われるおそれがあると信ずるに足りる実質的な根拠がある他の国へ追放し、送還し又は引き渡してはならない。

※本条約22条の個人通報制度については日本政府はこれを受諾しない旨を明らかにしている。

【入管難民法】
入管難民法第39条1項
(収容)
「入国警備官は、容疑者が第24条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、その者を収容することができる。」
(24条は、超過滞在や不法入国等、退去強制事由を列挙している)

入管難民法第54条(仮放免)
1項 収容令書若しくは退去強制令書の発付を受けて収容されている者又は・・・は、法務省令で定める手続により、入国者収容所長又は主任審査官に対し、その者の仮放免を請求することができる。
2項 入国者収容所長又は主任審査官は、前項の請求により又は職権で、法務省令で定めるところにより、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、三百万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を納付させ、かつ、住居及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を仮放免することができる。

入管難民法第50条(法務大臣の裁決の特例)
 法務大臣は、前条第3項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
1.永住許可を受けているとき。
2.かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
3.人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
4.その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。     

勉強会 日本における難民・移民の現状と課題:レジュメ2

日本における難民・移民の現状と課題
~国際人権条約の施行と国際社会における日本のあり方~

(オリジナルレジュメのP.3 分)

☆ 資料
【国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)ウェブサイトより】
http://www.unhcr.or.jp/protect/hogo_japan.html

領域内庇護による責任分担の少なさ
日本はUNHCRの活動に対する世界第二の拠出国であるものの、その領域内で庇護している難民の数をGDP、人口、領土面積で比較すると、世界でも低レベルに位置する。
世界150カ国のうち日本の難民数は 対GDP比で136位 対人口比で125位 1000Km2あたりで90位

難民条約をG7諸国の難民認定数で比較するとー

G7諸国における1951年難民条約の適用
2001年の難民認定数

【難民条約】
難民条約1条A(2)
(難民の定義)
「・ 人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に・迫害を受けるおそれがあるという・十分に理由のある恐怖を有するために、・国籍国の外にいる者」

難民条約31条2項
(避難国に不法にいる難民に対する移動の制限の禁止)
「締約国は、1の規定に該当する難民の移動に対し、必要な制限以外の制限を課してはならず、また、この制限は、当該難民の当該締約国における滞在が合法的なものとなるまでの間又は当該難民が他の国への入国許可を得るまでの間に限って課することができる。締約国は、1の規定に該当する難民に対し、他の国への入国許可を得るために妥当と認められる期間の猶予及びこのために必要なすべての便宜を与える。」

勉強会 日本における難民・移民の現状と課題:レジュメ1

日本における難民・移民の現状と課題
~国際人権条約の施行と国際社会における日本のあり方~

2005年9月30日

日本における外国人(移民)・民族的少数者・難民の統計

1 外国人:約200万人(1.6%)10年前と比較すると45%増
2 民族的少数者:公式統計はなし(資料 国連人種差別撤廃委員会の最終見解参照)・・・但し先住民族、コリア系日本人(約50万人)、国際結婚は年間5%
3 難民:2004年の受入数は15人

日本における難民保護の現状:難民条約、拷問等禁止条約の施行状況  
             

1 アフリカで難民との出会い→ケニアの難民、日本の難民
2 そしておきた9.11同時多発テロとアフガン難民
3 人権条約(難民条約)の規定
難民の地位に関する1951年条約+難民の地位に関する1967年議定書
    ――――経済難民と「難民」の異同とは? 亡命者と「難民」の異同とは?
    ――――ノン・ルフールマン原則
4 拷問等禁止条約(1987年発効、日本1999年加入)の規定
5 日本における庇護希望者(難民申請者)の現状
(1) 強制収容される外国人の数、「不法滞在外国人」になってしまう現状、強制収容
(2) 強制送還(今年1月のクルド難民2名送還事件)
6 他のG7諸国、その他各国との比較
             
日本における移民の人権状況

1 日本の移民政策の現状
(1) 一般アムネスティか、在留特別許可か
(2) 政策と実態の狭間で =あるイラン人家族の戦い(在留特別許可一斉行動)=
   ――――全件収容主義
――――マクリーン判決
(3) 自由権規約、子どもの権利条約との関係
2 外国人差別の現状
(1) 外国人犯罪キャンペーン =スケープゴートにされる外国人=   
(2) 公人による差別発言
(3) 民間における排外主義の浸透(入店拒否、入居差別、在日コリアンに対する嫌がらせなど)
(4)人種差別撤廃条約との関係

国際社会における日本のあり方とは

1 21世紀の日本社会のあり方という観点から
     ―――人種主義の高まりと多文化共生社会
     ―――人口減少と高齢社会化

2 国際社会における日本の責任という観点から

2005/10/17

平和構築:国連での議論

山内さん、久木田さん、清水さん、根本さん、佐藤さんほかフォーラムのみなさま。田瀬@国連事務局人間の安全保障ユニットです。

以下、少し長くなったらごめんなさい。

山内さんの9月27日の投稿「平和構築:国連での議論」はたいへん意味のあるものと思います。特に私にとっての関心は、「平和構築委員会(以下PBCと略します)」が国連の諸活動を統合することを企図して提案されたものであること、そしてそのことが、「人間の安全保障」とも非常に密接な関係にあるということです。人間の安全保障についても「成果文書」の中で、今後加盟国が総会で議論することが合意されています。

PBC及び人間の安全保障に関する私の関心をもう少し具体的に挙げますと、以下の4点があります。
(1)安全保障と開発、そして人権というキーワード(この3つは3月の事務総長報告「In Larger Freedom」のキーワードでもあります)を結びつける理論を提案できるかどうか。
(2)上記の理論を実践するため、現場で機能する実際的なアプローチと国連の組織改革を提案できるかどうか。
(3)さらにこれらを担保する財政的な構造を実現できるかどうか。特に、複合型PKOとDDRの関係、その場合にどこまで加盟国が分担金として平和構築を担うべきなのか。
(4)人間の安全保障と平和構築を国連の中でいかに結びつけていくか。

(1)まず、安全保障と開発、人権を結びつける有効な理論、あるいは国際社会が一致して認めるような論理は未だ不在であるというのが私の認識です。例えば「紛争が貧困を生み出す」ということを証明するのはそれほど難しくはありませんが、「貧困が紛争の根本原因になる」ということを証明しようとすると、ケーズバイケースでさえ一筋縄では行かないということがあります。さらにこれを例えば具体的な紛争後の平和維持活動、人道支援活動、早期開発支援
に当てはめると、「紛争の再発を防止するにはいかなる要素を満たさなくてはならないか」、「人道支援と開発支援の間の『ギャップ』を埋めるのに必要な条件は何か」、「早期開発支援にはいかなる前提条件が必要か」といった問題を同時に解かなくてはならないわけで、それも一つひとつの国で民族・宗教や文化人類学上の状況も異なるわけですから、問題はかなりややこしいのです。
こうした問題についてPBCがいかなる理論的枠組を提示するのかについて、いまから非常に関心を持っています。

(2)こうした理論はともかくとして、現場における実際の対応として「人間の安全保障委員会」がこの点について提案したのは、『リーダーシップの統一」そして「財源の一本化」により、治安・法の支配・人道支援・復興支援・和解といったセクターを国際社会が全部ひとつの塊として見ることでした。実際、山内さんが紹介して下さったように、少なくとも国連のリーダーシップという意味では、事務総長特別代表(SRSG)の権限強化、事務総長特別副代表(DS
RSG)が開発と人道調整の両方を統括するなど、この方向での進化が進んでいます。また、イラク復興支援に見られるように、国連と世銀をはじめとするブレトンウッズ機関とのリーダーシップの統合でさえもその試みがあります(イラクの場合はまだ「調整」の域を出ていないかもしれませんが、これまでの経験からは革新的だと思います)。

一方、これを国連全体の組織改革という点から見ると相当に頭の痛い問題です。
あいかわらず安保理は安保理、経社理は経社理でありシステミックな連携メカニズムがあるとはいい難いし、最も近いと思われる総会第二委員会(経済開発問題)と第三委員会(人道人権など社会問題)との連携さえ、努力はなされているもののまだまだ実現できていません。さらにこれを国連事務局の改革問題に当てはめると、政務局(DPA)、PKO局(DPKO)及び経済社会局(DESA)の役割問題に直面します。90年代後半、DPAとDPKOについては多くの人々が統合すべきと考えていましたが、コフィ・アナン事務総長が事務局のたたき上げであり内部事情を知りすぎていたために、就任時に大鉈を振るうことができなかったという批判があります。また、DESAについては先進国の中にその役割について強い批判がある一方、途上国はその組織維持を強く主張してきています。

こうした議論がPBCの設立によって動くのか動かないのか、とても興味があります。PBCの支援オフィスの置き場所についてDPA、DPKOがそれぞれ自らの内部に設置することを主張したものの、結局は事務総長の直轄にする方向で検討されていると承知しますが、これについては「屋上屋(おくじょうおく、additional layerのこと)」だという批判がある一方で、大胆な提案をするためには必要な条件なのかなとも感じます。この辺り、今後年末まで加盟国間の議論や事務局内部での調整から目が離せないところですので、今後、情報収集を続け、可能かつ適切な範囲でこのフォーラムにはインプットをしていきたいと思っています。

(3)もう一つ、そして私の最大の関心の一つは、こうした国連の活動と改革を支える「カネ」の話です。誤解をおそれずに言えば、活動財源を統一すれば国連の活動の統一は簡単です。私は人間の安全保障基金という信託基金の運営に携わっていることからよく感じるのですが、ある組織の振る舞いを決定する最も大きな要素の一つは、紛れもなく予算です。国連の予算は2年予算ですが、このことを裏返しに解釈すれば、「2年後以降の国連の姿については現時点で何ら定義されていない」ということになります。金の使い方を条件づけることによって、ある組織の振る舞いは大きく変わっていきます。

この点、私は平和構築との関係でもっとも重要なのは、実はPKO分担金のあり方ではないかと思っています。最近のPKOは「複合型PKO」といって、従来のPKOの活動にDDR(Disarmament, Demobilization and Reintegration:武装解除・動員解除・社会復帰)的な要素を組み合わせ、よりシームレスな支援を行なう方向に傾いています。ただ、その結果一つのPKOにかかる経費は非常に大きくなるという傾向があります。国連としては、なるべく多くの活動を複合型PKOの中に盛り込み、これらの経費を分担金として確保したい思うでしょう(分担金は加盟国に支払い義務が生じる)。これを統一アピール(いわゆるCAP)で集めようとすると半分も集まらない可能性があるからです。ちなみに最近ではDDRRRなんて言葉もあり(上記に加えてrehabilitation and Recovery)、財源の確保は大きな課題です。

逆に加盟国の側は、多くの要素をPKO分担金に含ませることには疑義があると思います。なぜなら、PKO分担金は通常予算と異なり安全保障理事会の決定で決まるから、すなわち安保理の理事国でなければ意思決定に関われないからです。日本のPKO分担率は通常予算分担率と同じ約19.5%ですが、日本は毎年1000億円以上のPKO分担金を支払っているというのをご存じですか? これは実は通常予算分担金の倍以上です。この1000億円の使い方について、日本は安保理に入っていなければなんら口出しができないわけです(いまはメンバー)。この辺りについて、国連が考える理想と実際の財政問題をどう調整していくのか、これが最も大きな課題の一つなのではないでしょうか。

(4)最後に、PBCで企図されていることは、そのまま人間の安全保障が目指すことの一部でもあるという点を強調したいと思います。われわれが国連で進めている人間の安全保障のコアは、「人間の視点から脅威を見る」→「さまざまな脅威の相互連関についてシステミックに対応できるようなアプローチを考える」→「その観点から国際社会のあり方自体を考える」という、やはり「統合」を最終的な目標の一つとするところにあります。PBCと少し違うところは、
人間の安全保障は必ずしも紛争だけがその焦点ではなく、例えば平時の人身売買(human trafficking)や自然災害への対応、さらにはMDGsやその実現における開発以外の要因など、人々の視点から見た脅威とその相互連関に関わることなら、より幅広くその範疇に入ってくることです。

この点、人間の安全保障ユニット(人道支援調整部の中にあります)としては、PBCの動きを注視し、その活動と有意な連携を図っていきたいと考えています。そのことが、また今後総会で議論される人間の安全保障の定義問題にも大きく影響してくると感じています。

長くなってしまいましたので、本日はここまでといたします。間違っているところなどありましたら、それぞれの視点からご指摘いただければ幸いです。

★NY国連フォーラムでは、広く安全保障と平和構築について、今後累次勉強会、インタビューなどを企画して、議論を盛り上げていきたいと思っています。ご興味のある方々におかれては、ぜひ積極的なご参加をお願いいたします。

国連でインターン:UNDP東ティモールから

コロンビア大学大学院(SIPA)の清水です。今回は、「国連でインターン」シリーズ第1弾として、私が今年7月4日~8月12日に行ったUNDP東ティモール事務所でのインターンシップをご紹介したいと思います。

1.インターンシップへの応募から獲得まで

私は現在、コロンビア大学SIPAの国際関係修士課程で、経済・政治発展(Economic & Political Development)を専攻しています。紛争後の平和構築・復興支援に関心があり、またインターンを行うことが大学院の卒業要件でもあるため、この夏この問題に関われる機関、特に現場でインターンを行えないかと考えました。

私の在籍するSIPAはキャリアサービスが充実しており(異議のある同級生もいるかもしれませんが…)、就職説明会等が頻繁に開催されています。私は開発援助に携わる国際機関、NGO、シンクタンク等の説明会に出席したり、インタビューを行ったり、先輩や教授等にアドバイスをいただきながら、UNDP東ティモール事務所を始めいくつかの国際機関に応募しました。

日本における職員の採用方法と、国際機関や欧米型の企業の採用方法の最大の違いは、後者においてはウェブサイトなどを通じた公式の採用チャンネルのみで正規職員なりインターンとして職を得ることは稀であり、内部の職員や外部の有識者からの推薦などの、いわゆる「コネ」で採用されることが多いということだと思います。ただし、ここでいう「コネ」は、日本的な意味での「コネ」より広いと考えてよく、自ら「コネ」を形成すること(いわゆる「ネットワーキング」)で職を得るのが一般的なようです。

UNDP東ティモール事務所については、大学院の同級生で、東ティモールでUNボランティアをしていた日本人学生がいたため、彼女に紹介をお願いしました。大学院のキャリアサービス等のアドバイスを受けながら、3月に履歴書と応募フォームを現地事務所に提出。5月まで返事がなく、諦めかけていたところへ、たまたま応募フォームを送付した同事務所職員が研修でニューヨークに来た際にお会いすることができ、その場でオファーをいただきました。なお、他の国際機関はわかりませんが、UNDPの場合は、現地事務所が本部から非常に独立しており、応募も直接現地事務所にします。

アドバイスとしては、積極的にネットワーキングをすること、履歴書やカバーレターを早めに準備し、いろいろな人に見てもらって改善していくこと、早めに出願すること、及び決定まで時間がかかることが多いので諦めないこと、といったところでしょうか。

2.インターンの内容

UNDPでは、貧困削減ユニットにおいて、主に以下の5つの業務に携わりました。その他、各種報告書案(『東ティモール人間開発報告書』など)にコメントをしたり、アド・ホックな説明会に参加したりもしました。

(1)新しい元兵士支援プログラムの作成

今年5月に終了した「元兵士及びコミュニティ復旧・雇用・安定プログラム」(RESPECT)に続く新たな元兵士支援プログラムの作成に携わりました。コンセプト・ペーパーを作成し、これを東ティモール政府(カウンターパートは労働・コミュニティ復帰省)に提示し、さらに支援国に提示するという段取りです。具体的には、資料として①過去の東ティモールにおける元兵士支援プロジェクトの一覧表の作成、及び②労働・連帯庁下の退役軍人局の組織図を作成した上で、他の担当官が作成した原案を統合し、議論していきました。

元兵士支援に際し特に問題となるのは、元兵士の定義です。元兵士をどう定義するかが直接裨益者の範囲に関わってきます。東ティモールの場合、24年間にわたり独立闘争を戦ってきましたが、いつ、何年戦ってきた人たちを元兵士と定義するのか、兵士ではないが自宅に兵士を匿うなどの支援を行った文民をどうするのか、元兵士の未亡人や孤児をどう扱うのか、といった問題は非常にセンシティブであり、かつ政治的です。

元兵士は国の独立のために闘ってきたにもかかわらず、長年のジャングルでのゲリラ活動のため、基本的な教育・職業能力に欠けている者も多く、独立後社会からマージナライズされている元兵士が多い。元兵士の多くは高齢化しており、彼らに今更職業訓練を施すのはあまり意味がない。身体・精神障害者も少なくなく、たとえば身体に弾丸が残ったままの元兵士がいますが、彼らを手当する病院が不足している。多くの未亡人や孤児は極度の貧困状態にある。上手に進めていかないと、嫉妬を引き起こす危険性もあります。高齢の元兵士はどんどん老い、死んでいっています。感情的な問題もあります。

(2)RESPECTの教訓(Lessons Learned)作成

RESPECTについて、各種報告書や関係者とのインタビューに基づいて、教訓(Lessons
Learned)をまとめました。RESPECTは、ほぼ全て日本政府の出資によるプログラムであり、雇用・持続的生計の機会の提供により、元兵士、未亡人、失業若年層などの社会的弱者を社会経済的に統合することを目的としたプログラムです。国レベルで21、地方レベルで258のプロジェクトを実施済、あるいは実施中です。

自らのプロジェクトへの関与や関係者とのインタビューを通じて、いろいろと問題のあるプログラムであるとは感じましたが、しかし、独立直後の時期に、これだけの数のプロジェクトを、コミュニティレベルで、コミュニティを巻き込んで行った功績は大きいと考えました。実験的な要素もあったことは否めませんが、RESPECTの経験を基に、コミュニティを巻き込んだ形での開発援助を行っていくことが、持続可能な開発に不可欠ではないかと思います。

(3)オクシにおけるSTAGEのモニタリング

 「有益な雇用のための技術訓練」プログラム(STAGE)のモニタリングのため、オクシ(インドネシア領西ティモールに囲まれた飛び地)に出張しました。STAGEはECに支援されているプログラムであり、東ティモール内の4つの地域(ディリ、バウカウ、ボボナロ、オクシ)において、雇用者、被雇用者、及び訓練者をデータベース化して連携を構築し、労働・連帯庁及びその地区雇用センターが技術訓練を行えるよう能力強化を行い、雇用の創出を図るものです。出張の主要な目的は、オクシで市場調査を行い、訓練を施すコミュニティ・プロモーターの訓練のモニタリングでした。また、現地で活動しているNGOとの会合を設け、STAGEの主旨を説明すると共に、今後の協調関係を築きました。さらに、オクシでのUNDPのもう1つのプロジェクトである「オクシ地域活性化プログラム」(OCAP)との間で、特にマイクロファイナンスの面での協調を図るべく現地スタッフと会合を持ちました。

(4)ロスパロスにおける水供給プロジェクトのモニタリング

水供給プロジェクトのモニタリングのため、ロスパロス(東ティモール東部、ラウテム県)に出張しました。水圧が弱くなっているということで、配管工事が行われている様子を視察しました。しかしせっかく配管工事を行っても、発電機を稼動させるための燃料が不足していました。

(5)エルメラにおけるRESPECTワークショップ及び落成式

エルメラ(東ティモール西部、エルメラ県)において、RESPECTのワークショップ及びプロジェクト落成式を開催しました。事前には日本大使館への説明用にプロジェクト・ブリーフを作成しました。ワークショップ当日は、エルメラにおける各RESPECTプロジェクトのプロジェクト・マネージャーを集め、当方から全体的なプレゼンテーションを行った後、ディスカッションを行いました。翌日の落成式では、教会、養魚場等のプロジェクトの落成式を、日本大使館の参加も得て行いました。

3.生活

東ティモールというと「紛争後」というイメージでしたが、実際は治安面ではほとんど問題はありません。国連も一番低い「フェイズ1」に指定しています。女性の夜間の一人歩きやタクシーの利用は勧められていませんし、国境付近でインドネシア側と諍いが起こることはありましたが、それ以外に治安が問題となることはありませんでした。

東ティモール滞在中は、SIPAの関係者を通じて、東ティモール人から家を借りました。途上国に住むのは初めての私としては、停電が頻発したり、蛇口やシャワーから出る水の水圧が弱かったり濁っていたり、シャワーも温水は出ず、いろいろと生活の苦労はありましたが、それによって現地で生活上どのような需要があるかを体験できたし、大家の一家との交流もできたので、非常に良かったと思います。

4.その他

職場では、本当に人に恵まれました。インターンは仕事半分、勉強半分というところがあるので、上司は教育的配慮からいろいろな会合に参加させてくれたり、フィールドに行きたい!という私の要望を容れて、できるだけフィールドに行かせてくれたりしました。

以上、雰囲気だけでも伝わりましたでしょうか?国連機関、特に現地事務所でのインターンを考えている方の参考に少しでもなれば幸いです。
なお、UNDP東ティモール事務所については、以下のアドレスをご参照ください。
http://www.undp.east-timor.org/

2005/10/07

ODA,MDGs、国の発展など

水野谷様、紀谷様、NY国連フォーラムの方々

 ODA,MDGs、サックス教授の講義、国の発展などについての議論を興味深く拝読しております。私は、国連首脳会議の成果文書のうち、MDGsなど開発に関する部分の交渉に携わってきましたが、このフォーラムでの議論は国連での交渉よりおもしろいだけでなく、本質を突いていると思います。
 水野谷さんの9月28日付メールにある、国の発展のためには産業の発展と再分配の国家機能が必要というのはまさにその通りだと思います。一つ追加するとその国の平和と安定も重要と思いますが。特に再分配(特に税金)に関わる制度が機能することは本当に重要だと思います。ご存じの通り、途上国以外の国も含めてまともに機能する再分配制度を有している国は少ないでしょう。これが機能すれば、ODAはずっと少なくて済むと思います。税制度が機能するためには、民主主義のもとでは、納める側(国民)と使う側(政府)との間に信頼関係があ
るのが基本だと思いますが、ではこの信頼関係をどう築くのかということになると大変難しい問題に直面します。水野谷さんが指摘した点も含めて、国によって異なるでしょうが、政府のガバナンスといった問題を超えた歴史的、宗教的、文化的な問題も出てきて非常に長い時間がかかると思います。外国の支援で可能になるとも思えません。日本は米国にそれこそ税制改革や農地解放もふくめて民主化されましたが、この経験はむしろ例外的と考えるべきでしょう。なお、短期的にそれを実現する方法は、民主主義的な制度によらず力で強制することです。発
展の初期段階では開発独裁の方が効率的などといわれていますが、これはこれでいろいろな問題があるでしょう。私も個人的には、民主主義のような時間とコストがかかる制度よりも、万能の天子が政治を行った方がいいと思っています。その天子が永遠に続く良心と生命を持っていればのことですが。
 そこで、貧困国の人々を助けようとすると、ODAをはじめとする外国の支援が必要ということになると思います。この関連でアナン事務総長やマロック・ブラウン官房長、さらにはサックス教授が推進したMDGsは国際社会が共通の開発目標を持ったという意味で大きな意味がありますが、MDGsのキャンペーンの過程でMDGsの実現のためにはODAなど公的資金の大幅な増加が必要と短絡的に結びつけてことさら強調したのは、ネガテイヴな意味で影響が大きかったと思っています。その理由は、水野谷さんの10月3日付けのメールと紀谷さんの10月4日付けメールに書いてあることに賛成ですが、一言で言えば、開発という非常に複雑な問題を単純化させ、その責任を途上国という当事者から先進国に転化させたため、開発の問題が途上国政府のみならず途上国の現場からも遊離してしまったことだと思っています。もちろん世界の多くの人の関心を引くためには問題の単純化は必要で、この間の日本の選挙を見ても単純化は効果的でしょうが。
 最後に、援助よりも貿易投資を通じる産業育成の方が重要という主張があり、日本もそれを主張してきましたが、私はこれにも疑問を持っています。途上国側はWTOの交渉を通じて途上国に有利な貿易制度を作るべきだと主張していますが、仮にそれができたとしても(これ自体非常に難しいことですが)、まず、途上国自身に資本が投下され産業がある程度振興されなければ、外国(この場合先進国ではなく、中国やインドなど)を利するだけです。そこで資本の投下については、途上国の国内資金の投資か外国の投資を助長する必要がありますが、これ
には先ほど述べた税制度と同様の問題が立ちはだかるでしょう。
 アフリカなどの貧困国の開発の問題を考えるほど憂鬱になるこのごろです。
               国連代表部 須永和男

Re: J. Sachs: National Strategy for Meeting the MDGs

吉田様、NY国連フォーラムの皆様

在バングラデシュ日本大使館の紀谷です。コロンビア大学のサックス教授の講義報告、ありがとうございます。楽しく拝読しております。

当地では、まさにMDGを目標に据えての貧困削減戦略を仕上げようとしているところで、今回のテーマ(National Strategy for Meeting the MDGs)そのものが動いているところです。

他方で、ご紹介いただいた「MDG Needs Assessments」のような発想や枠組みに基づいて、これまでの作業を全てご破算にして取り組むのかというと、それは結構非現実的というのが率直な印象です。
http://www.unmillenniumproject.org/policy/index.htm

方法論を書いたハンドブックはまだウェブに掲載されていないようですが、ポイントをまとめた上記冒頭ページの説明によれば、「MDG達成に必要な財政的・人的リソースとインフラを数量化し、透明性を確保した公共財政管理を通じてこれを達成する」とのこと。

そもそも、「MDG達成に必要な財政的・人的リソースとインフラ」とはいったい何なのでしょうか。経済成長には民間セクター開発が不可欠であり、これは、一定の財政資金と要員を投入すれば自動的に実現するといった代物では決してありません。(援助資金で全ての経済活動を永続的に支えるつもりなら別ですが・・・)

また、「透明性を確保した公共財政管理」は、どのように実現するのでしょうか。当地では、DFIDが4年かかって、ようやく財務省と4機能省をつないだ公共財政管理のパイロット枠組みが完成し、これから10省庁にスケールアップしようと苦労しているところです。相手政府の行政能力やリーダーシップ・コミットメントに多くの課題が残されている中で、援助資金を急増させ、かつ無理やり支出させるのは、オーナーシップを度外視した「新帝国主義」になって
しまいますし、持続可能性も期待できません。PRSPや援助効果向上パリ宣言であれほど強調されている「オーナーシップ」は、どうなってしまうのでしょうか。(先方政府予算をスルーすれば、全て「オーナーシップ」があることになってしまうのでしょうか・・・)

こんなナイーブな発想のものを各国に本気で適用しようと考えているの?これが途上国支援の理想像なの?というのが、現地で日々苦労している一実務者としての率直な感想です。バングラデシュでは、1億4千万人の将来がかかっており、これまで4年間かかって暫定貧困削減戦略文書(I-PRSP)を貧困削減文書(PRSP)へとようやくブラッシュアップしてきたところです。そのような試行錯誤の成果と、この「MDG Needs Assessments」なる新たな「一般論」の
ツールの双方を前にして、責任ある途上国政府やドナーの実務者は、どちらを信用するのでしょうか。

Millennium Projectは、どちらかといえば、先進国向けのアドボカシーを主たる目標として、わかりやすく論理構成をしていますが、実際に途上国に適用しようとすると、途端にその有効性に「?」がつくような印象があります。本気で適用される途上国の側は、たまったものではありません。(エサとして、リソースがふんだんについてくるなら別ですが。それでも、これが持続可能な開発につながるの?という不安は残ります・・・)

現実的な道は、若干時間がかかっても、途上国政府の指導層や市民社会と対話しながら、途上国側が納得し、確信できる政策を、自ら実行させていくことだと思います。これは、目を見張るような特効薬ではありません。しかし、良心的な提言を行うためには、このような途上国での現実を十分に踏まえる必要があると思います。

また、MDGを議論する場合には、「カンフル剤」のようなナイーブな立論を乗り越えて、真に持続可能な成長につながる方策が必要という視点を打ち出すことが、大事ではないでしょうか。単に、「Millennium Projectの立論には欠陥がある」と叫んでも、支持は得られないと思います。MDG達成に向けての具体的方法論として、「人間の安全保障」が有効、「能力開発」が有効、「南南協力」がオーナーシップ強化に有益、などと建設的な付加価値を提示していけれ
ば良いと思います。

J. Sachs: National Strategy for Meeting the MDGs

フォーラムの皆さま、こんにちは。
コロンビア大学SIPAの吉田です。サックス教授の講義を履修しております。

この講義は初回にMDGの概要、続いて世銀の貧困削減戦略プロセス、そして先回のIMFロセスと進んで参りました。サックス教授に加えて、彼が特別顧問として率いている独立諮問機関、国連ミレニアム・プロジェクトの事務局から3名の講師を迎えて開講されています。9/28の授業は、Deputy Directorのジョン・マッカーサー講師を中心に「MDGs達成を見据えた国家レベルの貧困削減戦略の策定」についてでした。

プロジェクト事務局は先月15日に採択された国連総会の「成果文書」によって、MDGsは開発問題のグローバル・フレームワークの中で中心的位置を占めることになった、 と見ています(document A/60/L.1; para. 22, 23)。この合意を受けて今後、各国、 世銀、IMF等の貧困削減戦略は全てMDGsベースに集約されるとし、これはMDGsの達成に向けて大きな前進だとしています。それぞれの戦略をMDGsベースにストリームラインしていくプロセスについては、まさに小西さんが書かれていたような、ベースラインを明らかにすることから中期・長期国家計画作りまで、ステップ・バイ・ステップの説明がありました。「具体的にMDGs達成のための道筋をつけていく」ために重要とされるニーズ・アセスメントについては、
http://www.unmillenniumproject.org/policy/index.htmに紹介されています。

ところで、ミレニアム・プロジェクトは各国の貧困削減戦略の立案を行っているわけですが、戦略のもととなる研究は10のテーマ別タスク・フォース(専門家による作業部会)が担当しています。これらタスク・フォースのコーディネーターを複数名のコロンビア大学教授が務めており、彼等は本大学のEarth Instituteが進めている「ミレニアム・ビレッジ」プロジェクトにも関わっています。ビレッジで、ボトム・アップで革新的な実施事例を示して、その成果を政策立案に活かしてゆこうという方針です。講義ではこれらの教授による特別講演も予定されていますので、ミレニアム・ビレッジの活動についてはまたご報告したいと思います。

なお、日本政府は7月にミレニアム・プロジェクトとパートナーシップを組み、「アフリカン・ミレニアム・ビレッジ・イニシアティブ」を支援しています。「人間の安全保障」の考え方に基づいたアプローチをとっているという点で、日本カラーが出ているのでしょうか。
http://www.unmillenniumproject.org/documents/AMVRP%20PressRelease%2018July.pdf

講義内容からやや離れてしまいましたが、先週からは以上です。

吉田 明子

2005/10/03

ODAが国の発展に対して必要か?

亀井さん、サックス教授の話の授業情報とフォローアップありがとうございます。

色々と授業でも活発に意見交換されているようで、この授業にでれないのが残念です。メールを拝読させていただいて色々考えましてが、私としては、サックス教授の言っているODA改革というのは成果が出ないのではないかと、以下3点から思います。

1.サックス教授は、ドナー国の利害の思惑にとらわれないODAを提唱してますが、基本的にODAは各国の税金が財源であり、その使用に国の意図が反映しないということは、財務省や政府の視点からは、国民に対して説明のつかない税金の使途を余儀なくされているということで、町内会のお付き合い程度の支出ならともかく、GDPの0.7%もの金額をそのように使うコンセンサスを先進諸国で取るのは無理ではないか。

2.また、技術的な問題から純粋に客観的な視点から政策を作ることはありえないので、各国の意図を除いた拠出金であっても誰かしらの意図は反映されるわけであり、その計画立案者は誰の利益を代表しているのか不明である。

3.サービスを届けるメカニズムやガバナンスが向上するための必要条件が何かという命題は、GDPの何パーセント先進諸国支払うべきか議論する前にあるべきではないのでないか。先に0.7%を決めておいて、その実効性の上がるためにはガバナンスの質を問うというのは、まず先進諸国の拠出金額増加という議論の出口ありきの国連改革案ではないか。

1と2の視点から、果たしてGDPの0.7%を各国が拠出するようになるか問題がありますし、3の視点から、例えGDPの0.7%を先進諸国が拠出しても十分な効果があがらない可能性もあります。またもともとGDPの0.7%が十分な量の資金援助かも不確かですし、資金援助を増やすことが発展につながるかどうかも不確かです。

多少過激な言い分ですが、コフィアナンのアドバイザーという立場上国連強化のために先進諸国から拠出金をより多く引き出す為の活動をするのは彼のTORの一部で、そこから0.7%という議論の出口だけが決まったというのが、このODA改革に過ぎないのではないでしょうか。うがった物の見方で申し訳ありません。

水野谷

平和構築:国連での議論

NY国連フォーラムの皆様、こんにちは。ユニセフ・シエラレオネ事務所に勤務しております根本と申します。

山内さん、平和構築を巡る議論の沿革と論点をまとめていただき、どうも有り難うございました。久木田さんのコメントにもありましたが、平和構築分野における国連の新たな取り組みについて、シエラレオネでの現状を簡単にご紹介させていただきます。(やや長文ですがご了承ください)

シエラレオネでは、1999年10月にUNAMSIL(United Nations Mission in Sierra
Leone)が設立され、10年にわたる内戦後のシエラレオネにおける平和維持を担ってきました。しかし、治安状況が改善したことなどを鑑み、PKOミッションが必要な段階は終了したとして、2005年末でUNAMSILの撤退が決定。今年6月には、国連安保理がUNAMSIL後も適切な統合的な国連のプレゼンスを確保するよう求めています。これを受け、フォロー・アップ・ミッションとしてのUNIOSIL(United Nations Integrated Mission in Sierra Leone)が設立されることが決まりました。山内さんがまとめてくださった通り、国連が平和構築の段階で、ミッションと各専門機関との「統合」というアプローチを試みるのは、シエラレオネが初めてのケースとなります。

それでは、UNIOSILとは一体どのような「統合事務所」となるのか、これまでのところ現場で把握できている範囲内で、その機構と機能の両面について簡単に触れたいと思います。

まず、UNIOSILの機構的な特徴として、平和構築を担う国連ミッションと国連各専門機関との組織的な統合が図られます。例えば、UNIOSILのトップ(Executive Representative of Secretary General)が、UNDP Resident RepresentativeとUN Resident Coordinatorを兼務し、シエラレオネで活動するすべての国連機関が1つの傘下に置かれることになります。このUNIOSILのトップには、現在のUNAMSILのDeputy Special Representative of Secretary General(既にシエラレオネのUNCountry Teamを統括)が、そのまま横滑りで就任予定です。

ただ、これは国連各専門機関が単純に融合し、突然1つの組織として活動を始めることを意味するのではなく、あくまでもUNIOSILという枠組みの下、それぞれがこれまでのように活動しつつ、まずはその調整機能をより一層強化することを目指していると言えます。一方、管理部門の一部については、そのプロセスや人員の統一・共通化が図られるという話もあります。例えば、現在、UNDPにいるField Security Coordinatorが、UNIOSIL Security Sectionのチーフとなり、シエラレオネにおける国連機関すべてのセキュリティの責任者となるようです。

次に、UNIOSILの機能はというと、UNAMSIL撤退後の国連各専門機関の活動の調整、ドナー・コミュニティとの協力、そして、平和の強化と長期的な開発のため、シエラレオネ政府を支援することにあるとされています。具体的には、UNIOSILは以下の5つの柱を持つ組織となる予定です―1) Peace Consolidation and Governance、2) Security、3) Human Rights and Rule of Law、4) Economic and SocialDevelopment、5) Public Information。特に、4) については、ユニセフを含むUN Country TeamとResident Coordinatorオフィスの活動をベースとして、その調整とサポートの役割を担うことになります。

このように、UNIOSILは、機構的にも機能的にも、これまでのPKOミッションとはかなり異なり、紛争後の平和維持から平和構築への移行という文脈で、長期的な開発までを視野に入れたユニークな性格を持つことになりそうです。

UNIOSIL設立に向けた準備の1つとして、昨年末にUNDP内にTransition Support Team(TST)が
作られ、UNAMSIL撤退後、その機能を国連各専門機関がスムースに引き継ぐことがきるよう、既に調整を始めています。例えば、UNAMSILにはPKOミッション内に初めてChild Protection
Advisorというポストが作られ、ミッション内部から子どもの保護を巡る政策面でのシエラレオネ政府のサポート、SRSGへのアドバイス等を担ってきましたが、こうした機能はユニセフが引き継ぐことになります。

ただ、現場レベルでは、UNIOSILが実際にどのように活動していくのか、まだ不透明な部分が大きいのが実情です。特に、4番目のマンデートであるEconomic and SocialDevelopmentについては、現在、国連各専門機関が担っている業務を、UNIOSIL内で誰が(これまでのPKOスタッフがそのまま引き継ぐのか?)どう「調整」し「サポート」するのか、当事者である我々もやや戸惑っているというのが正直なところです。

最後に、UNIOSIL設立に絡む背景として、1) Special Court for Sierra Leone(シエラレオネ特別法廷)の存在、及び、2)西アフリカの地域的安定の確保という、シエラレオネ特有の事情があることにも言及しておきます。中・長期的な平和構築という視点からは、これらの潜在的な不安定要因を抱える中、UNAMSIL撤退後も、シエラレオネにおいて国連が平和維持に関して何らかのプレゼンスを残さざるを得ないという側面があるのも事実です。本来であれば、PKOミッション撤退後、そのままTSTのような組織が指揮を執るかたちで、国連各専門機関が復興・開発への引き継ぎを行うというアプローチも考え有るかも知れません。しかし、シエラレオネの現状では、治安の確保について未だリスクが大きいと見られているようです。久木田さんが述べているように、長期的な開発、平和構築、治安は密接に関連している課題だと、強く認識させられます。

このように、まだまだ現場では手探りの状況ですが、こうした「統合事務所」を、平和構築に取り組む国連の将来のモデル・ケースとできるかどうか、2006年1月のUNIOSILの活動開始に向けて、平和構築委員会の設置の動きとともに、注視しているところです。

ユニセフ・シエラレオネ
根本

ODAが国の発展に対して必要か?

NY国連フォーラムの皆様、

在タンザニア日本大使館専門調査員の粒良です。

亀井さん、サックス教授の講義の報告どうも有り難うございました。今後も、是非興味深い講義内容がありましたら、教えていただければ幸いです。

サックス教授は、ドナー協調、財政支援の拡大・・・にふれられていたとのことですが、これらの国家レベルの動きと、現在サックス教授が中心となっている国連ミレニアムプロジェクトで進めているアフリカにおける「ミレニアム・ビレッジ」との関係がどのようになっているのか関心があります。

(ミレニアム・ビレッジについては下記ウェブサイトをご参照ください。)
http://www.unmillenniumproject.org/press/mvpfactsheet.htm

ミレニアム・ビレッジとして選ばれたアフリカの村に対し、科学的見地から、集中的かつ効果的な援助が行われ、その村がMDGsを達成したとして、それは、アフリカ政府の国家レベルの貧困削減への取組みとの関係においては、どのような位置づけとなるのでしょうか。

少々話がとんでしまって恐縮ですが、もし、ミレニアム・ビレッジについてサックス教授が講義の中でお話されることがあれば、是非教えていただければと思います。また、どなたかご存知の方いらっしゃいましたら、ご教示いただければ幸いです。

引き続き、NYからの国連に関する情報を楽しみにしております。

粒良麻知子
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Machiko Tsubura
tsubura@zae.att.ne.jp

ODAが国の発展に対して必要か?

橋本さん、水野谷さん、小澤さん、小西さん、フォーラムの皆さん

サックス教授の授業投稿へのコメント、有り難うございました。

念のため、サックス教授は授業の中で、水野谷さん、小西さんが指摘されていた点にまさに触れられていたことを追記しておきます。「ODAが増えたとしても、実質的には国の財政収支を補填する形では作用しないのではないか」との学生の質問に対し、サックス教授は現状のODA、特に支援国の意図や「プロジェクト」として実施されるODAでは確かに作用しない、今後はより一層のドナー協調、財政支援の拡大、また実際のサービスを届けるメカニズム、ガバナンスの向上がキーになると述べていました。アメリカのODAの半分がコンサルフィーである現状では、増額以前の問題である、とも。(日本のODAもこの点は同じ指摘を受けると思いますが。)

かめいはるこ

ODAが国の発展に対して必要か?

こんにちは。
私も一連のメールを読み、また最近カンボジアに来ていたサックス教授に同行して一連の会議や講演を聞いていて感じたことを書かせていただきます。
ODAの量の需要も当然ありますが、同時並行に質・Aid Effectivenessとガバナンスの問題を考えることが重要です。税収能力の強化(税収基盤を強化するのも大事ですが、実際は十分に取れていなかったり払わない習慣や汚職などが現地では多い)をすること、また、私がいるカンボジアでは政府の財政管理能力が弱いので、ドナーはお金を政府をバイパスしがちであり、OECD/DACパリ宣言でうたわれているように、有効な援助と政府の援助吸収能力・執行能力強化のためには財政システムなどの強化や汚職対策などを同時並行にやることが大切だと思います。そしてドナーは政府のオーナーシップを高め国家計画の優先課題にまとまって対処できるよう、また援助の重複を避けるために協調していくことが大事でしょう。現在、カンボジアでは多数のリフォームアジェンダがあり、ベンチマークの設定を行って政府・ドナー共同で達成度を見たり、アジェンダを進めるためのニーズをみたりしています。なおカンボジアではカンボジアMDGに基づいた中期国家開発計画づくりが現在行われていて、計画の中に具体的にMDG達成のための道筋をつけていくというのも大切で・u桙キ(実際はなかなか大変なのですが)。
また、保健などをどの程度、国が負担するのかというのは大きな政府か小さな政府を志向するのかという選択もあります。大きな政府を支援することはその分税収も増やさなくてはいけないし、国や自治体の能力がかなり強くないと難しいのではないでしょうか。
小西

援助と自立の問題

初めて投稿させていただきます。
Teachers College, Columbia University International Educational Development の修士課程にこの9月に入学しました、小澤みどりと申します。Teachers Collgeの授業で、亀井さんとお会いし、このメーリングリストに加入させていただきました。

私は、この6月まで3年間、インドネシアにおきまして、「産業人材育成」を目標に、ポリテクニック(高等教育なのですが、大学と比して、より実践に重きをおく教育。日本の教育制度にはありませんが、高専と専門学校を足して2で割ったような学校です)に初の情報工学科を創立するためのプロジェクトで、情報工学専門家として、日本政府から派遣されて働いておりました。本プロジェクトサイトは15年以上前にこのポリテクニックが初めて設立されて、最初の学科群を立ち上げた時からずーっと日本の援助が入っているサイトでした。日本側としても、成功事例サイト(確かに確実に産業人材育成に寄与していたと思います)であり、なかなか引き上げたくないという思惑もありましたし、それを相手国政府側もちゃんと悟っていました。そういうサイトで働いていて、援助と自立について、取りあえず自己を納得させるために見出した考えは「援助は日本国の外交の1手段である。よって援助は相手国のためを願ってはいるが、究極は自国のためである。」です。

自分はこのように、援助の現場、なかでもプロジェクトサイトに張り付いて相手国の人達の中で働いていたので、どうしてもミクロな部分に目が行きがちでした。しかし、どうしてこのプロジェクトないしプログラムデザインなのか、そもそも産業人材育成がどのように国の発展に寄与するのか、援助と自立についての、理想と、まさに目の前で繰り広げられている現実とのギャップを埋めるにはどうすれば良いのか、と、どんどんもっと上流工程のことが知りたくなり、大学院に入った次第です。

日本国の国益という視点からではなく、国際的な共通利益を考えていらっしゃるこのフォーラムの皆様方の発言、より上流工程の議論、非常に考えさせられ、勉強になります。コンピュータエンジニアをした後、エンジニアを育てる仕事をして来て、政治・経済のことがど素人な私にとっては、まだなかなか議論についてはいけませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

まずは、ご挨拶がてら初投稿させていただきました。

小澤みどり
コロンビア大学 教育大学院 国際教育開発専攻

平和構築:国連での議論

山内様、久木田様、ニューヨーク国連フォーラムの皆様

コロンビア大学大学院(SIPA)の清水です。山内さん、平和構築委員会についての包括的なご説明、ありがとうございます。平和構築には関心を持っており、興味深く読ませていただきました。

同委員会の活動は、基本的には「助言」や「勧告」となっていますが、安保理理事国、経社理理事国、ドナー、要員派遣国、国連機関、国際開発金融機関、当事国、地域関係国/機関が一同に会するわけですから、実質的な政策対話の場になるチャンスがあると思います。「統合的なアプローチ」は、現場レベルでまずは進んでいるようです(山内さんがシエラレオネの例を挙げられたのに加え、東ティモールでもPKO後の平和構築ミッション(UNOTIL)が設立され、長谷川SRSGがUNOTILの長、常駐調整官、UNDP常駐代表を兼ねられています)。これをニューヨーク・エンドでも進め、国際社会の関心の惹起と資源の動員を図っていこうというのが、同委員会の意義だと思います。

今日、コロンビア大学のマイケル・ドイル教授と議論していて出てきた話なのですが、懸念としては、意思決定がコンセンサス方式とされていることです。それ自体は委員会の性質を考えれば自然なことだとは思うのですが、コンセンサス方式は全てのメンバーが拒否権を有するということであり、議論の対象とは関係のない自国の国益のために、票を「人質」とする国が出てきて、意思決定が遅れるおそれがあります。ここでドイル教授は、マケドニアが台湾と国交を持っていたことを理由に、中国がマケドニアPKO(UNPREDEP)の延長に拒否権を発動した例を挙げられました。せっかく平和構築委員会を設立しても、このような事態が生じれば、平和構築委員会なんて作らなければよかった、なんていう話になりかねません。

ではどうしたらいいのか、という肝心なところでアイデアはないのですが…。成果文書で定められた期限まであと3か月しかありませんが、同委員会が無用の長物とならないよう、設立の趣旨に合った十分な機能ができるよう、良く設計される必要があると思います。

あとは、日本としてどのように関わっていけるかという点にも興味があります。常設基金には多かれ少なかれお金を出すことになるとは思いますが、平和構築事務局にもぜひ人を出せればいいのではないかと思っています。

ODAが国の発展に対して必要か?

橋本さん、亀井さん、

おふた方のメールを興味深く読ませていただきました。
現在コロンビア大学で教育経済の博士課程に在籍している水野谷と申します。
お二人の話をお聞きして、幾つか思うところがありましたので、皆さんのお考えをお聞きしたく投稿させていだだきます。

1.ODAが国の発展に対して必要か?

財政赤字縮小のために、財政緊縮するのでなく、ODAのグラントを増加し、財政安定と政府支出拡大によるインフラ整備を目指す、という主張は国の会計としては筋が通っていますが、財政安定が国の発展にとって、最重要課題なのかという疑問があります。国によっては、通貨安定が、国の存在そのものを脅かす経済状態になっている国もあるでしょうが、そうでない途上国も多いのが現実ではないかと思います。緊急の対策を要する援助分野として通貨安定が必要な国もありますが、ODAが国の発達に対して必要かどうか一般論を述べるのであれば、一歩下がって国が自立していくための根幹となる要因を考えなければならないと思います。

私論で恐縮ですが、極論をすれば国が発達するための要因は次の2点にあると思います。

1.国の発展のためには、その国民を食べさせていく産業が必要である。
2.国の発展のためには、産業育成と再分配の国家機能が強化されなければならない。

経済の発達とその再分配の中でしか、国の発展は存在しない。その過程の中で、ガバナンス、透明性、法治国家としての素養、民主主義が涵養されていくものと考えています。税金を納めない国民と、税金の使い道を説明しない官僚と政治家の治める国が発展するというのは考えられません。

税金を徴収して配るという機能が国家機能の大動脈だと思うのですが、ODAは税金の入り口のベースである、産業育成のインセンティブにも、税収機能の強化のインセンティブにもなりません。また、ODAによって、資金へのアクセスがあり、債務超過になれば債務帳消しもありえるので、国の経済活動を根本から支える金融市場を発展させるインセンティブもありません。

この様に、ODAは発展に関する組織的なインセンティブを低下させますが、同様に個人レベルで人的資源に対するモラルの低下も招くと考えられます。アフリカで仕事をされた方は良く身にしみて分かってらっしゃると思いますが、多数の官僚は国の行く末を考えず、高給のもらえるNGOやその他援助機関への就職、海外研修、海外留学と海外で生活基盤を立てることに日々のエネルギーを使っています。政治家は重要ポストにつくと、いつでも海外逃亡できるように海外に家族を住まわして、できる限り国家資源を搾取しようとしたりします。国民意識の低い貧しい国に生まれたならば、この様な判断はむしろ合理的であり、ODAがこの様な合理的な判断をする環境を作るのに一役買っていると思います。

これらの観点から、緊急に援助を要する案件に対するODAは必要だと思うのですが、国の発展のために前述した2点に寄与しないODAは必要ないか、むしろマイナス要因の方が大きいのではないかと思っています。

2.国を超えた枠組みで援助を考える必要はあるか。

一般論として、一国一国は独自の存在であり、個人個人が自助努力で生活を成り立たせているように、国家も自助努力で発展していくべきであると考えています。ですが、例外はありますし、このような国には恒常的なODAによる援助が考えられてもいいかと思います。

例えば、日本では、「公平性の高い社会を作りたい」という社会的な合意と、「経済発展は都市化を通じて実現する」という経済の特質によって、都会で吸い上げた税金を、公共事業や米の政府買い上げを通して、恒常的に田舎に還流し公平性の高い社会を作ってきました。同様に、公平性の高い世界を作りたいというのであれば、世界の田舎には、世界の都会から恒常的に資金を還流してもよいかと思います。資源の無い、面積の小さい、人口の少ない、海のアクセスの無い国に経済発展を求めるのは非現実的ですし、この様な投資によってその国が安定するなら、この投資は近隣諸国にとっても意味のある投資であると考えられます。

あまり知られていませんが、この思想の延長上でILOでは「グローバルソーシャルトラスト」という基金を通して、途上国の健康保険のプレミアムを先進国が時限を切って援助するという仕組をルクセンブルグとガーナでやろうという試みがあります。http://www.ilo.org/public/english/protection/socfas/research/global/global.htm

ただしこれは一定期間後は被援助国が健康保険のプレミアムを負担するようにデザインされているので、恒常的な資金援助という訳ではありません。

3.マクロアプローチとマイクロアプローチの援助効果について

ここまでは、税収や産業育成などの、マクロアプローチについて論じてきましたが、民間及びNGOが主導するのが望まれる分野もあると認識しています。中央主権でやるべきもの(例:税制、水道、道路、国防、基礎年金)、地方主導でも有効なもの(例:小学校建設、地域健康保険)、民間でやるものやれる物(例:ビジネスネットワーク、年金の2階)の住み分けは援助効率を高める上でも重要かと思います一方、今日のネパールやフィリピンをみれば、民間援助の量が増大しても、その援助の国家発展に寄与する割合は比例しないと思われます。

以上がお二人のメールを見て考えたところの感想です。皆様はいかが考えられましたでしょうか?

水野谷

平和構築:国連での議論

山内さん、

平和構築に関する議論の背景と論点を分かりやすくまとめていただいてありがとうございます。紛争から開発へ、人道支援から復興・開発など、国際社会や国連の活動の中での「ギャップ」の問題をどう解消し、不安定な状況から安定した社会にするためにもっとシステマチックに支援、協力していこうという時代が来たことは大変意義のあることだと思います。

平和構築委員会の設置については、紛争から開発への不安定な時期を総合的に支援していくための支援オフィスと常設基金の設置、その役割と使用法、安保理、経社理、総会の役割など、全体の枠組みをいかに理想に近づけるかが重要な点だと思います。また、一方でシエラレオネの統合事務所の試みなど実践を通して学んでいくことも必要だと思います。(フリータウンの根本さん、今はどうなっていますか?)

私は、1989年に国連移行支援グループUNTAGとともにナミビアに入り、停戦以降のソビエト、キューバ支援団の撤退、南ア軍の撤退や、その後のDDRの不安定な過程を体験しましたが、人道支援が続く中での選挙が終わり、SWAPOの勝利が決まるとともに復興、開発へ国民の期待が高まっていったのを覚えています。独立までの数ヶ月の間に閣僚予定者と開発についての話し合いを何度も繰り返し、現場視察へも行きました。その間、南アでのアパルトヘイトの終息やアンゴラのサビンビの動きなど不安定要因はいろいろあり、開発への取り組みと平和構築、治安などが一体となっていることを強く感じました。

ユニセフでも来年一月の執行理事会に向けて、紛争や災害などの緊急人道支援の時期から復興・開発への時期の間の移行期Transitionのポリシーペーパーを作成しています。私は、その中の資金ギャップの問題を見ていますが、平和構築委員会と常設資金の行方は大変重要で、注目しているところです。

来週はコンゴ民主共和国に出張し、DDRのその後や開発への資金調達の話を世銀や他の国連機関とする予定です。現場の人に「ギャップ」のことを聞いて見ようを思っています。いい話が聞けたらまたフォーラムで報告します。

ユニセフ 久木田

平和構築:国連での議論

ニューヨーク国連フォーラムの皆様 初めまして。現在国連代表部経済部にて専門調査員をしております、山内と申します。本日は、「平和構築」の問題に関し、国連において行われてきた議論を可能な範囲で皆様と共有したいと思い投稿致しました。皆様と認識が異なる点があるかもしれませんが、有意義な議論のベースになれば幸いです。宜しくお願い致します。

今般採択されたサミットの成果文書の大きな成果の一つは、「平和構築委員会」の設置であると言われています。成果文書においては、平和構築において、「調整され、一貫性のある、統合的なアプローチ」が必要であると強調された上、国連がそこで重要な役割を果たすことができるとして、「平和構築委員会」を設置することが決められました。以下は、「平和構築委員会」に至るまでの平和構築を巡る議論の流れについて、私なりの見方を記したものです。

【平和構築に対するアプローチの変遷】
そもそも、平和構築が国連において最初に注目されたのは、1992年、当時のガリ事務総長が発表した「平和の課題」であったと言われています。「平和の課題」においては、紛争が始まる前の予防外交、紛争が始まった場合のpeace-making及びpeace-keeping、そして紛争が終結した後のpeace-buildingという流れが示されています。平和構築は、この流れのなかで、平和維持に続く活動として捉えられています。2000年に国連の平和活動の包括的な見直しを行ったブラヒミ報告が発出されます。同報告においては、平和構築は、紛争が未だ終結していない初期の段階から平和維持と並んで不可欠な取り組みであると考えられます。ここでは、平和維持と平和構築は同時並行で取り組むべき課題と捉えられ、両分野が「統合」した形で行われる必要性が指摘されています。

2004年、国連改革の議論の基盤となるハイレベル・パネル報告が発出されました。ハイレベル・パネル報告は、平和構築についても新しい考えを示しています。特に注目すべきは、(1)国際社会は、国家が紛争に陥ることを防ぎ(紛争予防)、また、紛争から立ち直ることを支援する義務があるとした上で、国連には紛争予防から紛争後の復興までを一貫的に支援する制度がないことを指摘したこと、(2)このような制度的なギャップを埋めるためのツールとして「平和構築委員会設置」を提案したこと、(3)この提言を通じて、平和構築概念を従来の紛争後の活動から、紛争予防を含むものに拡大したことです。両報告を受け、2005年、国連事務総長は、「In Larger Freedom」を発出しました。ここで、国連事務総長は、平和構築に関しパネル
が提起した問題意識(国連システム上の深刻なギャップの存在、平和構築委員会の設置)を共有します。しかし、事務総長は、平和構築委員会が早期警戒的な機能を持つことを否定し、ハイレベル・パネル報告が提案した紛争予防を含む平和構築の拡大された定義を退けています。

【統合問題と平和構築】
先ほど、ブラヒミ報告が平和維持と平和構築の「統合」が必要であると指摘していると紹介しました。この「統合」の議論の根底には、安全保障分野が人道・開発と密接に関連していること、つまり、政治的安定や治安状況の改善無しには復興・開発は困難であり、逆に復興・開発の進展無くしては、政治的安定・治安状況の改善も期待出来ないという認識があります。ここから、安全を追求する活動と復興・開発のための活動との密接な連携が必要という結論が導かれます。安全のためのPKO等の活動と人道・開発のための国連機関の活動の間の密接な連携、これが「統合」という概念の意味と考えます。

それでは、このような「統合」は、国連において如何に実施に移されてきたのでしょう。1997年、アナン事務総長は、国連が新たな課題に効果的に取組むための改革を打ち上げました。本部では、人道・開発・平和と安全の3つの分野で国連事務局関係部局と国連諸機関の調整メカニズムを立ち上げましたが、このうち「平和と安全理事会(ECPS)」を主催する政務局を平和構築のフォーカルポイントと認定しました。事務総長としては、平和構築については、政務局を中心とした体制により国連システム全体を「統合」しようとした訳です。しかし、政務局とPKO局、UNDP等との間で協力関係が上手く築けなかったこともあり、実際にはうまく機能しなかったと言われています。

一方、現場レベルでは、1997年の国連改革の一環で、事務総長特別代表(SRSG)の指導権限を強化し、SRSGを中心とした平和構築活動の統合を目指しました。これ以来、SRSGが、PKOを超えて、常駐調整官、人道調整官を通じ、平和構築に関わる活動の調整を行うことが幅広く認められるようになっています。(実際は開発及び人道支援活動を経験したDSRSGがRCやHCを兼ねることで活動の調整が行われています。)このような「統合」は、最近、さらに進化を見せています。例えば、スーダンのPKO(UNMIS)においては、DDR分野などで統合が深められています。また、シエラレオネにおいては、PKO撤退後に新たに平和構築ミッションが設立されますが、ここではミッションの長がRCやHCを兼ね、また、カントリーチームがミッションの一部となるなど統合に向けて画期的なアプローチが試みられています。

【平和構築委員会構想】
私は、平和構築委員会構想とは、このような国連における平和構築に対するアプローチの変化、「統合」への取り組みが新たな形で結実したものと考えます。平和構築委員会とは、国連本部において、加盟国を巻き込んだ形で、平和構築に関する「統合」を行う試みです。そこでは、安保理、経社理、ドナー、要員派遣国、国連機関、国際開発金融機関が当該国や地域関係国・機関と一体となって、平和構築問題を様々な角度から総合的に検討することが想定されています。委員会の具体的な活動について、私なりに成果文書が掲げているものを整理すれば、次の3つに大別されると思います。
(1) 紛争国との関係で、その国の復興・開発の戦略づくりを支援すること
(2) ドナーや援助機関との関係で、資金手当てや援助活動の調整を行うこと
(3) その紛争国に対する国際社会の関心を持続させること

成果文書は、委員会について述べた後、委員会を支援する平和構築支援オフィス、平和構築のための常設基金についても言及しています。支援オフィスや常設基金についての成果文書での扱いは大きくはありませんが、平和構築委員会の活動を支えるものとして重要です。委員会の活動が効果的に行われるためには、支援オフィスによるノウハウの提供が欠かせないと思います。また、常設基金が緊急に必要な平和構築活動への拠出を可能にすることで、委員会の活動は大いに助けられるでしょう。私は、平和構築支援オフィスと常設基金が委員会とセットになってこそ平和構築委員会構想が所期の目的を果たせるのではないかと考えています。

平和構築委員会は、理想的に機能すれば、個々の紛争案件において、現地状況を踏まえた平和構築のニーズを総合的に把握し、これに必要な資金手当を調整し、また、安保理に的確な助言を行うなど、平和構築に関する具体策を打ち出すことが期待されています。さらに、安保理に対し情報提供や報告が行われた結果、安保理による適切なフォローアップも期待されます。しかし、平和構築委員会の設置は支持されているものの、成果文書の審議において、メンバーの構成と選出方法、委員会の国連における位置づけ、委員会の助言はどの機関に対して行うべきかなど細部に入ると異論が続出し、各国の意見が収斂していないのが現状です。この最後の2つの点については、ハイレベル・パネルが安保理による平和構築委員会の設立を提案し、また、“In Larger Freedom”が委員会の報告が「まず、安保理に対し、ついで経社理に対し」行
われることを提言するなど、委員会の活動が主として安保理との関係で捉えられていることを思い起こす必要があります。成果文書を巡る議論においては、このような考え方を支持する先進諸国に対し、いくつかの途上諸国が総会や経社理による関与の拡大を求めたため、議論が紛糾したと聞いています。このように、委員会の活動のモダリティについて、加盟国の間で意見が対立しているなかで、成果文書が示すように12月末までに平和構築委員会が立ち上がるためには、更なる努力が必要です。サミットが平和構築委員会の設立を決定したといえ、その前途には多くの問題が控えているのが実情です。

J. Sachs: MDG and IMF-援助と自立の問題

フォーラムの皆様、こんばんは

コロンビア大学の橋本と申します。亀井さんと同じ、J.サックス教授の授業に出ています。

先日、教育開発政策の授業にゲストスピーカーとしてお越しになった、ユニセフのシニア教育アドバイザー、キャロル・ワトソン博士からもサックス教授と同じような趣旨のご意見を伺いました。いわく、援助に依存して一国の開発を進めることに対する心理的反発が強いのはなぜなのか。持続可能性の問題や国家としての自立の問題が取りざたされるけれど、なぜわれわれはいまだに国家という枠組みにとらわれた思考でしか問題を見ることができていないのか。一人ひとりの「人間」の視点に立てば、援助増額が当然の論理的帰結ではないのか。

一方で、この夏インターンをさせていただいたユニセフガーナでは、アフリカ人の上司が重債務国への債務帳消しはすべきではなかった、たとえ何十年かかっても、借りたものは返すべきだという基本的なことをアフリカ人は学ぶべきであり、アフリカの飛躍に最も必要なのはアフリカ人自身の援助依存症からの脱却である、と熱弁をふるっていました。

援助が最終的に一国の自立を目指すものであることについては、議論の余地はないと思います。しかしながらその過程で、援助依存症を避け、途上国が自立した政策運営を行うことは非常に難しいと思います。そのためにはMDG達成だけにとらわれて近視眼的になるのではなく、MDGの先を見据えた自立へ向けた開発政策が、援助側・被援助側双方にあること、が重要なのではないかと思います。同時に、ワトソン博士のおっしゃるように、国家という政治的枠組みに支配されていない、市民社会からの援助が、もっと安定してかつ大規模になっていけば理想的なのかなあ、などとつらつらと考えました。

実際に開発現場で活躍されている皆様は、援助と自立のジレンマにどのように対応されているのでしょうか?



橋本 のぞみ
コロンビア大学 国際行政学院
政治経済開発専攻

2005世銀年次会合

NY国連フォーラム、DC開発フォーラムの皆さん、

今日、早朝からNYとDCの往復をして、ユニセフの代表として世銀の年次会合に出てきました。と言っても、世銀を統治する「開発委員会」の会議場には入れないので、他の代表団の人々と隣接する部屋で大画面のモニターを見ながら、様子を伺うだけなのですが。ただ、開発委員会でのやり取りは、世界の開発に関する重要な議論がどのように行われているのか知るためにも大変興味深いものでした。一昨年は、MDGのモニタリングをめぐって、WolfensohnとClare Shortの言い合いなどがあってちょっと迫力あるシーンが見られました。先々週の国連サミットでのMDGの扱いを受けてどう展開していくのかも注目です。日曜日のワシントンは人もまばらで、一時のような反グローバリゼーションのデモ騒ぎもないようでした。

今回の年次会合には私もいくつか関心を持っている点がありました。アメリカのイラク侵攻の理論的立役者であったPaul Wolfowitzが、世銀の総裁として始めての開発委員会でどのようなアジェンダ設定をするのかということと、世銀やIMFがG8で取り付けた債務の帳消しをどう考えているのかということです。

Wolfowitz総裁は昨日の演説でも、貧困、MDG、アフリカなどのWolfensohnのラインを守ったように思います。開発は、労働力と資本の投入で計算できるほど簡単でないこと、いわゆる「ソフト」の大切さ、そしてNelson Mandelaの言葉を引用してのみんなのためのリーダーシップの重要性、Grameen BankやBRACを引き合いに出しての市民と政府を結びつけるCSOの役割など、開発関係者が喜びそうなことをちりばめての発言でした。世銀内部の評価を受けてのインフラ重視に大きく傾くのではないかという見方もありましたが、そのあたりは、過去の反省に立ったインフラ事業という言い方で、バランスがとれていたように思います。今後のWolfowitzの理論展開がこのリーダーシップ論を中心としていくのか、注目です。

さて、開発委員会の最初のセッションの最後、正午前に出てきたのが債務帳消しの際のAccountabilityの問題でした。スイスの代表が債務帳消しには反対ではないが、これだけの金額(HIPCにおけるIDA, ADF, IMFの債務を100%帳消しにする。約550億ドル)を誰も責任を取らずに帳消しにすると、納税者である国民にどう説明すればいいのか困る。途上国政府、他の援助機関の失敗、天災などの外部要因もあったかもしれないが、世銀やIMFの責任も問われてもしょうがない。同じような過ちを二度と繰り返さないことが大事だ、というようなことをいったとたん、それまでざわついていたモニター室の中がシーンとなりました。条件をつけて、指導もして、ローンを貸した銀行が、ミス・マネジメントの結果、不良債権を帳消しにしてもらって、しかもその穴埋めのCompensationをやっと先進国に取り付けて、これで肩の荷が下りるぞというときに、そんなことをいうなよ、という感じでした。開発委員会の議長として最後を飾る南アフリカのTrevor Manuel蔵相の力量とナイジェリアのンゴシ女史の「ヨーロッパだって戦争やって間違いしたけど、戦後復興を支援してもらって立ち直ったじゃないの」という言葉でなんとかその場を収めることができました。これで、のど元過ぎれば熱さ忘れるのか、それとも世銀やIMFが変わって、間違いを繰り返さないよう正念場として捕らえるのか、さてどうする、という問いかけを誰かがやらなければという了解があったのかもしれません。最後に出すコミュニケの取りまとめもこのあたりでの苦労があったようです。

午後の記者会見にもでました。債務の帳消しについては、このところの原油価格の高騰で、そのメリットも帳消しになるという意見もでましたし、コンディショナリティーの見直し議論、IMFのDe Rato理事長からも今後ODAが大量に増えることを考えるとそれを消化し、結果を出せるかどうかが問われている、という見解もでました。債務の帳消しが、途上国の保健や教育など人々のためになり、MDGの達成にもつながるような結果を出せるのであればいいのですが。香港でのDohaラウンドの展開も注目していきたいと思います。詳しくは、世銀年次会合のサイトへ。
<http://www.worldbank.org/ambc/>

最後に、私は世銀前総裁のWolfensohnの開発へ一番の貢献は、世銀を人間開発に近づけたこと、貧困を世銀のミッションだと言い切ってMDGを掲げたこと、そしてそれをモンテレー・コンセンサスにもっていったことではないかと思います。世銀の関係者から、貧困削減をミッションにして「開発」銀行でいくのか、それともマクロ経済の安定をIMFとやっていく「貸し金業」に徹するのか、内部にもいろいろな立場の人がいる。トップキャリアを目指す人はローンの貸し出し量で勝負し、開発をやりたい人は思い切ってやれない不満と、はやりのテーマが変わっていく不安をもちつつ仕事をすると聞きました。私も世銀のいろいろな担当者と仕事や交渉をしてきましたが、話がつうかあの人と、銀行屋さんの人がいるなあと感じました。そう単純ではないのでしょうが、開発への影響力が強く、ユニークな強みを持つ世銀ですから、そのちぐはぐな部分を整理して、世界の問題の解決に貢献していってほしいと思います。

久木田

2005/09/25

J. Sachs: MDG and IMF

フォーラムの皆さんこんにちは、コロンビア大学SIPAのかめいです。

先達インドネシア大統領とJ.サックス教授の講演についての投稿をしましたが、サックス教授は今学期、SIPAで「The Fight Against Extreme Poverty, Achieving the Millennium Development Goals」という授業を開講しています。当初ワークショップとして定員30名で開講したこのクラス、学生が殺到し、消防法ギリギリで教室に入れる人数約 70名に拡大してのスタートとなりました。

この授業を、フォーラムのメンバー4名が履修しています。これから学期末まで、4名によるリレーで、時々授業の中から興味深かった内容などを拾い、フォーラムの皆さんとシェアしていきたいと考えています。

さて、9/21の授業はIMFについてでした。サックス教授よりIMFの設立経緯、歴史、マンデートなどについての説明があったのち、内容はマクロ経済スタビライザーとしての、IMFのアプローチへと移りました。HIPCイニシアティブが導入された1990年代後半以降も、IMFのエネルギーの大半はマクロ経済安定のためのインフレ率抑制に費やされているとした上で、そのアプローチの目指すことは財政赤字を0とすることであると続きます。その際、IMFは政府予算の縮小による財政赤字0を推奨してきたが、これが結果、ただでさえ十分でない途上国の社会セクター予算を圧縮し、貧困削減や経済開発に必要な公共投資を妨げることに繋がったとの指摘に続きます。

ここまでは良く聞かれる問題意識ですが、ここで、サックス教授は財政赤字を0とする方策として、ODAを提案します。(財政収支)=(政府予算)+(海外ローン利子)ー(税収)ー(ODAによるグラント)とするのであれば、財政赤字0を実現する重要ファクターはODAによるグラントであるというのがサックス教授の主張です。貧困削減と経済開発を維持するためには、公共投資を削減することは適当でない。債務救済でローン利子が相殺されても、その額はたかがしてており、また税収拡大にも期待をかけれないとすれば、最終的なバランシングファ
クターとして、ODAによるグラントに注目すべきであり、IMFはそもそものマンデートマクロ経済安定を達成するために、ここにもっと注意を払うべきである、と。

簡単にまとめてしまえば、マクロ経済安定のために、IMFは各国が投入するODA増額を推進すべき、つまりMDG達成のためのODA対GNP0.7%ムーブメントに、IMFも乗るべきなのだ、ということです。

少しIMFから話がずれますが、講義前日の9/20、世銀の年次報告World Dvelopment Reportがリリースされました。今回のサブタイトルはEquity and Development、世銀としてはじめてequityに明確にリファーし、貧困削減と経済開発のためには、教育、保健、インフラと行ったリソースにアクセスを持たない人々の多くいるアンバランスを是正するために、富と再分配が必要であると主張しています。
http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/EXTDEC/EXTRESEARCH/
EXTWDRS/EXTWDR2006/0,,menuPK:477658~pagePK:
64167702~piPK:64167676~theSitePK:477642,00.html


BBCニュースはこれを、MDG達成のためにUNが主張してきたことと方向を同じくし
ていると指摘しています。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/4252308.stm

サックス教授が主張するように、世銀の次は、IMFが貧困削減、MDG達成に目を向
ける日は近く来るのでしょうか。皆さんはどのように思われますか?

少し長くなりましたが以上です。

かめいはるこ/コロンビア大学SIPA

最近の一連の議論を受けて

DCフォーラム、NYフォーラムのみなさん、

 こんにちは、よしはら@休暇前です。

 最近、いろんなフォーラで、政策評価、政策立案、オールジャパンとしての外交力、外部人材の活用、学識経験者の汎用性などについての議論が盛んになっております。

 小生の投稿は漫然としていることが多く、あまり議論を惹起しませんが、あえて、個別具体的なハウツーものでないものを、ある懇意にしている先生への書簡を抜粋する形でここにご披露したいと考えております。

 これを受けてみなさんは心中に何が沸き起こってきますか?

 ランダムにでいいので、議論が沸き起こることになるのでしょうか。ないしは、途上国、NY、DCの居酒屋、カフェで下記をネタに談論が起こるのでしょうか。

 小生は、まもなく長期休暇に入りますが、小生もいずれブログなどをやってみようかなと考えています。

(以下若干加筆の上添付)
 小生は7月胆石と急性炎を起こした胆嚢を摘出するために入院しておりましたが、その際に司馬遼太郎の「空海の風景」を読みました。これまで不祥事の折に外務省が「変える会」「変えよう、、、」等の痛烈な反省の元で指摘があったように外務省は高野山のようで「高尚」と称する密教を難解な言葉で扱ってきたきらいがありますが、若き空海が唐の長安で見た様々な異民族を含む人々が醸成する雰囲気は全く違った創造的なものであったはずです。

 人間、所詮高度な技術論は、ついていけなくなり、常識的な範囲が一番理解が得られて、うまく行くのですから、誰にでも分かる平易なことばで普段から語り、一部のものは除いて開放形で政策形成を行っていくのがいいのだ、そういう職場文化があればいいのだと考えます(要するにその日やった仕事を帰って嫁さんがわかるように説明できれば、外交官としては一人前だという暴論も成り立ちます。)。

 今度の評価書が、ある人には価値判断を含むことにより、反論可能な程に明晰で論争が惹起されること、それにより複数の代替案が熾烈に競われることで、交渉能力が錬磨されることが大事なのかな、と期待しております。

 それは報道課、国内広報課、情報公開室に続き、説明をするポストを4ポストも渉猟した小生の持論です。

 ただ、その論争のためにであっても過度に残業をさせたくはない、そのためには過飽和になっている国家公務員の仕事を選択と集中により減らすことが必要なのでは、そうしないと人件費を総じて下げれば当然評価がより明かに処遇に現れる民間企業に人材が流れていくような気がしています。

 古い仕事を抱えながら新しいチャレンジをすることは役人といえども人間ですから8時間の法定勤務時間を集中すればぼろぼろになってしまい、残業するゆとりはないはずですから。
(以上添付終了)

"Youth" as development agenda 開発課題としての「若者」

ニューヨーク国連フォーラム・ワシントンDC開発フォーラムの皆様

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、2007年版の世界開発報告では「開発と次の世代」と称して初めて若者に焦点を当てます。MDG目標8のターゲット16となっている若年雇用の問
題に対処するために活動を続けている世銀・ILO・国連事務局共同プログラムYouth Employment Network (YEN)、今年6月のILO総会での若年雇用に関する討議、また、東京合同オフ会でも話
題となった世界銀行が2003年から世界各地で行っているYouth,Peace and Development (YDP)
という若者たちとの対話にも見られるように、開発の当事者であり参加者である若者の身の回りの様々な問題を開発課題としてとらえる機運が盛り上がりつつあります。その流れの中での
世界開発報告ということでしょう。

日本ではニートやフリーターがここ数年話題になっており、これまで比較的平等だとされてきた日本社会の所得格差の拡大に繋がるというと言われたりしていますが、先進国・途上国を問
わず(15歳から24歳までと統計上定義される)若者の失業率は上の世代の2から3倍です。また健康面ではたとえばHIV-AIDSの新規感染者の半分はこの年代です。ウェブ上の情報によると、
世界開発報告では「学校を離れる、健康を保つ、仕事につく、家庭を築く、善い市民となる」といったテーマが取り上げられることが予定されています。2007年版といっても、既に執筆チ
ームは動き出し、来年の3月までには原稿が出来上がる予定のようです。インターネット上でのディスカッションや、若者の組織との対話も予定されています。

現在若者の世代の皆さん、あるいは(私のように)元若者の皆さんも、何らかの形でこの報告書の作成にかかわってみてください。詳しくは、下記のウェブサイトをご覧ください。

http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/EXTDEC/
EXTRESEARCH/EXTWDRS/EXTWDR2007/0,,menuPK:
1489865~pagePK:64167702~piPK:64167676~theSitePK:1489834,00.html

上田隆文

(現在ILOを休職中で、JICAバングラデシュ事務所におります。)

速報:国連本部ビルの停電と閉鎖 → 国連のカネの話

国連フォーラムのみなさま。田瀬@人間の安全保障ユニットより。

本9月19日、昼ごろに国連事務局ビルで電気系統の障害がありまして(一部には火災という情報も)、照明以外の電源が「ブン」といって落ち、エレベータも止まり、仕事ができない状態になってしまいました。2時過ぎには照明を含めたすべての電気が止まり「4時過ぎには事務棟を閉鎖して復旧を行なうので、警備を含めた一部の職員以外は自宅待機するように」とのアナウンスが流れました。というわけで現在私は自宅に帰ってきて作業をしています。

国連本部ビルは1952年に建ったものだそうで、老朽化でいろんなところにガタがきています。エアコンの水漏れで上の階から雨漏りしたり、最悪のケースではうちの階(18階)でも天井の一部が崩れて落ちてくるという事故が最近ありました。早朝だったのが不幸中の幸いでしたが、真下に人がいたら絶対ケガしてます。そのくらいの規模の事故でした。また、夏の間は南極のように寒くなり冬の間は蒸し風呂の中にいるように暑くなるという、まったく制御の効かないエアコンもこのビルの名物です。笑ってる場合じゃないんですが・・・

幸い、すでにこの老朽化には対策が講じられています。いわゆる「キャピタル・マスター・プラン」というやつで、いまの本部ビルのすぐ南側の敷地に新しいビルを建てることとなっており、担当局長に日本人の丹羽敏之氏が任命され、デザインには日本の建築家で「幕張メッセ」を設計した槙文彦氏が担当することが決まっています。ただ、費用をどうするか、特に米国がその融資に利子を貸すかどうかといった問題で、たいへんすったもんだしたと聞いており、さらに建設予定地に隣接するTudor Cityの住宅用ビルの住人との関係で、工事ができずに止まっ
ているという話も耳にします(正確な情報を持っておられる方、教えて頂ければ幸いです)。そういうわけで、われわれはもうしばらくはこのビルで仕事を続けることとなりそうです。

この話がどこへ行くかというと、国連の行財政と予算の問題、そして各国による分担金の問題に行き着きます。私は2000年の国連分担率交渉のプロセスに関わりましたが、こうしたビルの管理まで含めて国連の予算をどうするか、さらにそれを加盟国間でどう共有するかは、国連の問題の中でも実は最も重要なもののひとつだと思います。日本は現在、国連の通常予算の約5分の1弱、19.5%程度を負担していて、22%を払っている米国と合わせるとそれだけで40%を越えるわけです。また、PKO分担金も支払いが義務となっているのですが、昨今のPKOの激増により、その額は日本の分担だけで年間1000億円を越えると聞いたことがあります(これも正確な数値をご存じの方、教えて下さい)。
来年2006年には再び分担率交渉が行われます。非常に激しい交渉となることが予想されていますが、日本はどのような立場で臨むべきとみなさんはお考えでしょうか。純粋にGDP比率で考えると分担率は大幅に下がるべきという計算になります。また「代表無くして課税なし」という観点から、常任理事国になれないのであれば支払いをストップするべきであるという考え方も最近は多く聞かれるようになってきました。少数派ですが、逆に「もっとたくさん払って経済的に国連を牛耳るべきだ」という意見もあると承知します。ただ、国内の大多数の意見は、
日本は払い過ぎであるし、金を払えば地位を得られると思うのはあまりにお人よし過ぎる、ということかと思います。

お金は同じ金額でもゼロから無限大まで、いかなる価値をも生み出します。しかし特にそれが日本を含めた諸国民の税金である場合、いかにその価値を引きだすか、悪用させないかが、立場を問わず政策を担当するものの責務であり、また国民の側からみればしっかりと監視すべき対象であると思います。

停電でいろんなことを考えちゃいました。
明日は復旧されてエレベータが使えることを祈ります。
それでは。

2005/09/17

第60回国連総会開催 速報4

NY国連フォーラムの皆さん、DC開発フォーラムの皆さん、

国連特別首脳会議も最終日の三日目が終わろうとしています。現在の焦点は、どの時点で「成果文書」の採択を行うかということと、果たして採択されるのかということです。あと10カ国ほどで、メンバー国の演説が終了します。その時点での採択となるのか、その後に続くアラブ連合やECなどの地域共同体などの演説を待っての採択になるのか。問題は、ベネズエラやキューバなど今回強い不満を述べた国が同様の国と強硬に反対し、賛成国がしっかりと対応しなければ、採択は困難になるでしょう。会場には空席もあります。

成果文書については、先日も述べましたが、理想的な文書ではありませんが、多くの進展があります。合意ができた部分で議論を深めたり、実施していくことが重要でしょう。一方、安保理の改革と軍縮については、合意できませんでした。ある意味では、今後の議論の焦点が定まったと言えるかもしれません。

今日は、町村外務大臣と国連職員の昼食会がホテルの日本料理店でありました。私も国連の邦人職員会の会長ということで数人の国連職員と招待され、お弁当を食べながら1時間15分歓談することができました。安保理改革についてや、国連職員としての所感、日本政府の拠出金、日本のインド洋の津波への対応、国連職員の年金と給与、どうやって国際分野で活躍する人材を増やすのか、アフリカの開発、南南協力など、様々な話題が出ましたが、大臣は真剣に時折メモをとりながら話に耳を傾けていらっしゃいました。代表部の小沢大使や外務省の新余部長なども交えて大変興味ある議論がなされました。

安保理改革については、国連職員の側から、日本のビジョンを明確にし、なぜ日本なのか、日本の価値は何なのか、強いリーダーシップを発揮して、ダイナミックな交渉を成功させてほしいという意見がでました。私は、日本のODAの増加、特にアフリカへの支援の倍増を是非結果に結びつけてほしいこと、国連職員を増やすには、開発教育も含め、地球規模の問題の解決に貢献しようと言う若い人の裾野を大学との連携やJPO制度の継続、インターン制度のシステマチックな利用などによって広げてほしいことなどを伝えました。

午後4時には、JICAの緒方理事長がユニセフのベネマン事務局長、丹羽事務次長と会談され、私も同席しました。緒方理事長は、JICAとユニセフが具体的な協力を強化することを提案され、ベネマン事務局長もWork together の精神でいきましょうと同意しました。ベネマンはたくさんのアクターがばらばらに政府とやっている状況を改善していくことが大切だと述べました。緒方理事長は、ハリケーン・カトリナで世界が相互依存の関係にあることがよくわかったと述べ、ベネマン事務局長も国連が支援することになろうとはと言っていました。鶏インフルエンザの話なども出て、30分ほどでしたが、協力を進めましょうと言う合意ができました。

さて、合意文書が無事に採択されることを祈って。

ユニセフ 久木田

第60回国連総会開催 速報3

NY国連フォーラムの皆さん、DC開発フォーラムの皆さん、

遅くなりましたが、二日目の報告です。今日も基本的には各国代表の演説が続いています。それぞれの内容については、テキストとビデオが国連のWebcastで見ることができます。http://www.un.org/webcast/summit2005/statements.html

今日は、午後小泉総理大臣の演説が予定されています。現在の順番からすると、夕方6時半から7時くらいになるのではないかと思われます。すでに、政府専用機で到着し、お昼にはホテルに着かれたようです。今朝回ってきたアナン事務総長の予定を見ると、午後4時45分から5時15分まで小泉総理との会談ということになっていますので、もうそれも終わり、演説の順番待ちというところでしょうか。メディアによると、日本の常任理事会入りの決意を述べるということです。選挙に大勝利し、国内の改革路線に国民の支持を得た総理ですので、国連の改革にも積極的に貢献していただきたいと思います。

さて、この総会のもっとも重要な文書となる「成果文書」のドラフトですが、これをどうみるか、皆さんにもお聞きしたいところです。9月13日付けの最終案が、上述のWebcastの「DOCUMENTS」のタブを押すとダウンロードのサイトに入れます。この文書の大事な部分は、まず、Values and principlesという最初の部分です。その後、開発、平和と集団的安全保障、人権と法の支配、国連の強化の四つのセクションに分けて、現時点での国際社会の政治的に可能なコンセンサスが書かれています。MDGsもモンテレーも出ていますが、どうも私個人の関心からするとバランスが悪く、すっきりしない部分もあります。開発の分野では、持続可能な開発の部分が長いですね。ちなみに、パラグラフ143は、人間の安全保障がきっちり入っていて、今後総会で議論すると書いてあります。

この文書が、どのくらい、先のハイレベル・パネルの勧告を反映しているのか、明日の夕方、緒方JICA総裁とユニセフのベネマン事務局長の会談がありますので、聞いてみたいところです。アナン事務総長が述べたように、安保理の改革や軍縮で大きな進展がなかったことと、この文書がこれからしばらく国際社会の議論の土台となることを考えると、残念ですね。しかし、開発やその他の分野での進展とコンセンサスの形成はできたのですから、そこはきっちりと実行に移してほしいですね。特にMDGsの実施にはこれから力を入れるべきでしょう。

今、フィリピンのアロヨ大統領の番です。今日は、全域通過の特別パスを手に入れたのですが、用があって突入を試みた同僚も総会場には入れなかったようなので、小泉総理の生の声を聴くのは無理のようです。例年ですと、国連職員との時間を取れるのですが、今年は演説が終わると空港に直行とのことです。明日は、町村大臣にはお会いできるようですので、楽しみにしています。

ユニセフ 久木田

第60回国連総会開催 速報2

NY国連フォーラムの皆さん、DC開発フォーラムの皆さん、

国連フォーラムの亀井さん、古澤さん、Jeff Sachsの報告ありがとうございました。実は、この総会にあわせて、たくさんのサイドイベントが行われています。ユニセフでも今夜、Achieving Millennium Development Goals for Water, Sanitation and Hygiene in Africa with Gender Perspectiveというのがあります。マダガスカルとセネガルの大統領他の報告があります。

現在もFinancing for Developmentのスピーチは続いていますが、丁度、町村外務大臣の演説が終わったところですので、追加報告をします。

先ほどの報告でブッシュ大統領の演説でポジティブな点は、国連フォーラムでUNDPの古澤さんからも報告があったように、明確にMDGへのコミットメントを出したことと、先進国の農業分野での補助金も問題だといったことです。ただ、やはり全体のトーンがテロとの戦争というファイティング・モードですから、そのあとの各国の演説と温度差が違いがあります。演説の終わったものから、テキストが出ていますので、詳細は、こちらをごらんください。
http://www.un.org/webcast/summit2005/statements.html

世銀のウォルフォビッツ総裁の演説では、MDGsへのコミットメント、アフリカへの支援の強化と定番どおりでしたが、最後にWe are accountable for those results.といったのが印象的でした。IMFも同様に、MDG/ミレニアム宣言とモンテレーコンセンサスのラインでした。ブレア首相の代わりに演説したヒラリー・ベンは、G8の援助とアフリカのアジェンダでのイギリスの貢献を述べながらも、弁舌さわやか、明快でした。印象的だったのは、これはCharityではなくJusticeの問題だと訴えたことでした。もう一人明快な論を展開したのは、ドイツのWiezcorek-Zeul経済協力・開発大臣でした。彼女は、世界は軍事費に1兆ドルも使いながら開発に750億ドルしか使っていない。武器の輸出入をやめ、核を廃絶すべきだと訴えました。

一人3分で話さないといけないので、早口で尻切れトンボの演説も多くありました。大統領や首相クラスでも、アジェンダを整理して、分かりやすく話すというのが難しいのでしょう。

そんな中で、町村大臣の演説は大変落ち着いていて、わかりやすい英語の発音と論点を絞った展開でいい印象を受けました。日本のMDGsへの明確なコミットメント、ODAの向こう5年間100億ドルの増額、向こう3年間でのアフリカへの支援の倍増、人間の安全保障と開発目標との関係、南南協力の推進、など目新しいものはありませんが、簡潔な演説でした。2000年のミレニアム・サミット以後の日本のODAの論調は、MDGsへのコミットメントと取り組みに迷いがあったように見えますが、これを機にリーダーシップをとる意気込みで結果を出せるようにしてもらいたいと思います。

ODAを0.7%水準にするというのは、国際基準ですし、軍事費との比較でも国民に説明できる範囲内だと思います。もっと増やしていくべきだと思いますが、結果はどうやってだすのでしょうか。

国連フォーラムで亀井さんと古澤さんから、Jeff Sachsのアドボカシー活動の報告がありましたが、MDGsを信じてやるのか、それとは違う方法で、今後10年間にもっと良い結果が出せるのかというと、やはり、MDGsを正面から取り組むのが最も効果的であると思います。Financingの議論が終わったら、何をどうやるのかをこの総会の間に明確に方向を出し、世界の総意を強化してほしいですね。

ユニセフ 久木田

MDG & UN Summit

NYUNフォーラムの皆様

UNDP NYでプログラムアソシエートをしております古澤智子と申します。
先ほどの亀井さんの投稿に関連し、かなりOut of dateになってしまったのですが、6月13日に国連本部ビル内で、Jeffery Sachs 教授の"The End of Poverty" の出版記念講演がありました。内容は、亀井さんからと、4月1日に中村さんが投稿されたものとほぼ同じ内容でした。

「アメリカの援助は対GNP0.3%にすぎず、その半分はShipment Costやコンサルタントの給料である。Bush大統領はそれをきちんと国民に説明していない。先進国全てが対GNP0.7%の拠出する必要があり、それさえ達成されれば全てが解決する。」と主張しているようにさえ感じられました。特に国連の中での講演だったので、実際にMDGに携わっている人たちもおり、場内から大きな拍手が起こり、「私たちはMDG達成するんだ、できるんだ!」と大きな団結力が生まれていました。一つの信念を信じ込ませるという点においては、Professorではなく、Politicianだなという印象を受けました。しかし、今まで多額の資金を投入してきたにも関わらず、発展が滞っているには他の要素があるはずで、資金よりもそれらを解決する必要があるのでは、と思ったのですが、実際のMDG達成のためのImplemetationは、まだ読んでいないのですが、"The End of Poverty"に書かれているのでしょうか?しかし、彼のように強いイニシアティブをとる人がいるからこそ、MDG遂行が可能になるのでは、と思います。また、講演内容は、以下のページで見られます。: http://webcast.un.org/ramgen/specialevents/se050613.rm
また、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今開催中のUN Summitも以下のページで見ることができます。: http://www.un.org/webcast/index.asp

先ほどBush大統領のスピーチを聞いていたのですが、「モントレーコンセンサス達成のため、私たちは努力を続けなければいけない。アメリカはHIVやマラリア撲滅のため何十億もの援助を行っている。またドーハ合意にあったように、途上国の発展のため、貿易関税や補助金などを撤廃すべきである。もし他国も同調するならアメリカもそれをする準備ができている。また、私たちは一丸となってテロに立ち向かい、イラク再建に貢献するべきであり、そしてUNはrespect, accoutablityを保ちその役割を果たすべきである。」と述べていました。意志はあるようですね。しかし、MDGやUN Reformについてはあまり述べられいなかったように思います。その意志が良い方向への大きなActionとなると良いのですが。

今のところ今日のテレビのニュースでは、UNでのBush大統領のスピーチ以外はもっぱら、John Roberts連邦最高裁判事承認の上院による公聴会で持ちきりで、その次に11月にあるNY市長選に向けた動きについて、そしてHarricane Katrinaの被害状況とNorth Calorina に接近している新たな台風Opheliaについてという報道ぶりです。いくらNYでUN Summitがあろうとも、やはり国内への視線の方が高いですね。

この3日間で大きな前進があることを願って。


古澤智子(Furusawa Tomoko)

第60回国連総会開催 速報1

NY国連フォーラムの皆さん、DC開発フォーラムの皆さん、

国連創設60周年を記念する国連総会の特別首脳会合が先ほど始まりました。世界150カ国以上の首脳が参加し、最終日には、包括的な国連改革の方向性を示す「成果文書」の採択を目指しています。NYから現在の様子を報告します。

今朝の国連周辺は大変なセキュリティー体制になっています。たくさんの警官やシークレットサービスが配置され、あちこちに関門があります。ユニセフの私のオフィスからFirst Avenueと総会議場が見えますが、現在通りにはほとんど人がいません。各国首脳の車がたくさん表に並んでいるだけです。特に用のない国連職員は出勤しないようにとのお達しが、回っています。私も、今日は本部に入るのはよして、国連のWebcastを見ることにしました。

午前9時に始まった会合で、先ほどコフィ・アナンの演説が終わりました。最初に、「自己の利益のみを優先する国家の傾向が強く出ると、我々は今日の世界の脅威に有効に対応することができない」、とメンバー国の結束を呼びかけました。以下、論旨をかいつまんで言うと: 昨日、本会合の「成果文書」のドラフトができたが、それを皆さんが採択することによって、前進ができる。特にMDGの達成に向けての進展が重要だ。最近、500億ドルの追加援助が約束されたり、債務救済、0.7%へのコミットメントなどがあり、重要な進展が望める。その他に、テロリズム条約、Peace Building CommissionとHuman Rights Councilの創設、など重要な項目がある。安全保障理事会の改革やNPT分野での前進が盛り込まれなかったが、これらの緊急性は以前高い。Jan Eliasson議長と協力して、世界の支援を必要としている人々のために、国連の対応と責任を示してほしい。

NYに昨日ついた町村外務大臣の顔も見えます。また、後ろには各国首脳の配偶者がカラフルな衣装で、神妙に聞き入っています。ブッシュの演説がはじまりました。ボルトン国連大使、ライス長官の顔も見えます。ハリケーン・カトリナの被害への各国の支援に感謝し、今はテロリズムについて話しています。世界の利益のために議論してほしいものです。ところで、聞くところによると、先週ボルトン大使のレセプションで、トッププライオリティーは何かと聞かれた彼は、アメリカの国益を守ることだといったそうです。正直ですが、心配です。

このあとFinancing for Developmentの議論があります。MDGどうなるのでしょう。
興味のある方は、Webcastを見てください。
http://www.un.org/webcast/summit2005/statements.html#

まずは、ここまで。

ユニセフ 久木田

MDGとハリケーンKatrina

NYUNフォーラムの皆さん、こんにちは。

いつもML管理人としてアドミ投稿ばかりをしております、コロンビア大学のかめいと申します。

今日は、コロンビア大学のSIPA (School of International and Public Affairs)が毎年国連総会開催時に併せ実施しているWorld Leaders Forum(http://worldleaders.columbia.edu/index.html) の一環として開催された、インドネシアYudhoyono大統領とジェフリー・サックス教授のセッションに出てきましたので、そこで感じたことを少々シェアさせて頂きたいと思います。

インドネシア大統領の講演内容は、MDG達成のためにインドネシアが取り組んでいること、課題等についてで、一国のリーダーとしてMDGへの強いコミットの姿勢を見せたという点の他は、特段目新しい議論が展開されていたものでもありませんでした。一方、非常に面白かったのは、大統領が退席した後に、30分弱ほど一人でアジったサックス教授の視点です。

曰く、モントレーにおけるODA対GNP0.7%コミットメントなど存在しないと主張し、今やMDGのゴールそのものにネガティブな姿勢を持つアメリカは、今回のハリケーンKatrinaにおいて各国やUNから受けた支援を踏まえ、アメリカがアメリカだけで生きていけないことを悟るべきであり、開発を通じたSecurityの確保を今一度思い知るべきである、と。ODA対GNP0.7%はアメリカの予算にすれば対イラク年間予算に等しい、と、ブッシュ政権に対しての直接的に批判的な発言が多かったのは、国連とアメリカの狭間で、MDGの旗ふりをやってきたサックス教授自身のフラストレーションの現れであるとも感じました。

MDG達成は非現実的で、ODA 対GNP0.7%にこだわり、資金さえあれば全てが解決するような主張は楽観的すぎる、という批判もあると思います。ただ、本日のサックス教授の非常にポジティブで、強い意志を持った語り口から、単純に先進国が占有する富をわずかにシフトすることで、最悪の貧困と欠乏の中で暮らす多くの人を救うことができる、そのために先進国は最低限の努力をすべき、ODA対GNP0.7%によるMDG達成は未来の世界のためにすればThe best offer on theplanetとの明確な主張には、強い説得力を感じました。

This will be the last chance to make MDG operational, そう述べたサックス教授の言葉通り、昨日開幕した今回のサミットにおけるMDGの議論は、今後の開発の潮流を決定する重要なターニングポイントだと思います。皆がアメリカのようにコミットメントを投げ出し「諦めるのか」、達成を信じ、開発の努力を続けていくのか。援助国側、被援助国側双方が、どのうような議論を展開していくのか、非常に興味深いと思います。フォーラム参加者の皆さんのなかには、実際の議論に関わる方も多くいらっしゃると思いますので、その様子を是非フォーラム
においてお伝えください。

なお、サックス教授が本日述べていたところの趣旨は、昨日12日のFinancialTimesにも掲載されています。ご参考まで。
http://news.ft.com/cms/s/c7e7f42c-23ad-11da-b56b-00000e2511c8.html

亀井温子(はるこ)/ コロンビア大学SIPA

2005/09/10

外務省政策評価書の公表

河村さん、←外務省よしはらより

 コメントありがとうございます。(ブログに直接書き込まれていましたが、小生直接書き込み方を知りませんので、MLにて。

 パブコメは昨年度のものについても、ずっと外務省HPのトップページに掲載されているのですが、あまり反応がいい訳ではありません。今後に期待です。

 経済産業省は政策評価と広報が同じ部署で取り扱われていますよね。

 あと、確かにここまで評価書で書いてしまうと青書との違いは???と聞かれてしまいますが、評価書は評価法に基づいて作成するので、有体に、かつ客観的に自分のやってきたことを評価し、表現を工夫しなければならないところが、返り血を浴びそうできついところです。小生も胆石どころの話ではありません。
 でも、そうしないと毎年の予算がとれないという厳しい状況に立ち至っているのが役所の世界かと。地方自治体はすでにそこはあえぎながら道を探っているようにも見えますが。

 ODAについては一定額以上のものについて事前、未着手、未了については評価が義務付けられていますが、事後の評価については、従来から様々な評価手法を構築している経済協力局の評価スキームも併せて見ていただけると助かります。

 なお、最近「英国大蔵省から見た日本」という新書を読みました。現職のわが国財務省の方が出された本で、とても面白かったです。小生ケンブリッジ大に留学しておりましたので、英国の行政経営のあり方については、Yes! Ministerというシットコムでなくとも考えさせられており、よく在京英国大使館の人間とも議論しているところですが。

 小生の世代は、先のオフ会のトピックでも書いたとおり、家計的にも相当過重な負担を自らに課しておかなければ、こどもの養育を含め今後の日常生活が立ち至らないのがつらいところです。それは連れも、一旦出産してからの復職に厳しいシーリングをかけられている女性としては同じことで、それをこどもを鎹として三人がそれぞれ活きるすべを磨いているしだいです。

 あとになるほど余話に近いですが、検事調書より検事調書の余白の落書きがより真実を語っていることもあるかと。以上とりあえず。

国連フォーラム・インタビューシリーズ第2弾(追記)

なお、先程投稿しましたインタビューに関しましては、以下のウェブサイトも御参照ください。

UNOTIL:http://www.unotil.org/
東ティモールにおける国連諸機関:http://www.unagencies.east-timor.org/
UNDP東ティモール事務所:http://www.undp.east-timor.org/

ニューヨーク国連フォーラムウェブサイト(http://www.unforum.org)も御参照ください。

清水

国連フォーラム・インタビューシリーズ第2弾(パート2)

NY国連フォーラムの皆様

昨日送信いたしました、「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第2弾の続きをお送りします。フォーラムの皆様の御意見・御感想をお待ちしています。

NY国連フォーラム幹事
清水和彦

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第二弾        ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

2.東ティモールの現状

(清水)東ティモールの独立を問う住民投票から6年、国連の暫定統治を経て、独立から3年が経ちました。現在の東ティモールの状況をどのように分析されていますか。


(長谷川代表)国連東ティモール・ミッション(UNAMET)が国民投票の管理を行い、国民投票後1999年9月に多国籍軍INTERFETが展開されました。セルジオ・デ・メロ氏が国連事務総長特別代表を務めた1999年11月から2002年5月の約2年半の間に、①治安の回復、②健全な統治能力を持った政府づくり、③議会、裁判所、大統領府の土台づくりが行われ、多くのアドバイザーが活躍しました。この時期は国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)が行政責任をすべて受け持っていました。その間、憲法の採択を行い、大統領選挙(2002年4月)、制憲議会選挙(2001年10月)が行われました。UNTAETが基盤を作ったわけです。

2002年5月、正確には独立の「復帰」(Restoration of Independence)と言います。これは、1975年にポルトガルより独立を宣言したものの、3か月後にインドネシアが侵入してきたためです。独立の復帰と共に、国連東ティモール支援ミッション(UNMISET)ができました。私は2002年7月に東ティモールに来ました。初めの2年間は、治安・行政制度を確立するための100人の専門家(Stability Advisor)が、 UNDPの200人の開発支援のアドバイザーと共に、この国の基本的な行政を行いつつ、4つの国家機関(議会、裁判所、大統領府、政府)が機能できるような技術支援、訓練を行ってきました。2年間それが実って、それなりに基盤が整えられたと思います。


3.東ティモールの課題

(長谷川代表)予期して対策が講じられなかった課題の第一は、司法制度です。政府の行政能力はそれなりに育ってきましたが、司法制度がまだ十分育ち上がっていません。一つには、裁判官、検察、弁護士は数年のアカデミック・トレーニングが必要です。もう一つは、公平な裁判を外部からの介入を防いで行うことは、それなりの公正を重んじる社会制度ができなければいけません。それにはまだ数年かかります。それをどのようにして国際社会が支援していくことができるかです。

第二の課題は、憲法、4権の分権体制といった民主主義社会のフレームワークはつくりましたが、これが十分機能していくためには、民主主義のカルチャーを国民とその指導者が受け入れていく必要があります。たとえば、裁判に対する政府の介入をなくすことなどです。

第三の課題は、透明性と説明責任のある政治体制の構築です。そして公正な政治が行われるためには、汚職をなくすことが必要です。たとえば、国家公務員は(与党)フレティリンのメンバーが優先され、メリトクラシー(能力主義)がありません。統一試験はありませんし、公用語であるポルトガル語ができる人しか入れません。

また、貧富の差が出てきました。頭が良くて外国から入ってくるお金のある人、そういう人は給料がもらえますが、教育を受けていなくて、(インドネシアに支配されていた)24年間外に出なかった人が苦労しています。つまり、外に出ていた人たち(Diaspora)が新しい社会の恩恵を受けています。貧富の差のない社会づくりのためには、ミレニアム開発目標(MDGs)達成のために支援していくことが第一です。


4.東ティモール支援における国際社会の役割

(清水)東ティモールの今後において、国際社会、特に国連と日本の役割は何だとお考えでしょうか。


(長谷川代表)国連の支援は、この国の行政能力に重点を置いてきました。今後は、①政府機関のみならず、他の国家機関(議会、裁判所、大統領府)の能力、また、②市民社会の団体(Civil Society Organisations; CSOs)の潜在能力を高めることが必要です。また、③民間部門の生産能力を高めていくこと、特に農業の開発が非常に大事です。 日本は、農業開発、インフラ整備などの面で貢献できると思います。道路、通信の復旧は、地域間の差を縮めます。また、教育・医療面においての開発、整備も必要であり、日本はこういった面で支援していけると思います。国連としては、政治的に2007年の大統領選挙・議会選挙が大事で、いかに自由で公正な選挙が行われるかと言うことの支援をしていきたいと思います。
(清水)本日は大変お忙しいところ、インタビューに応じていただき、ありがとうございました。(了)

国連フォーラム・インタビューシリーズ第2弾(パート1)

NY国連フォーラムの皆様

このたび、「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第2弾として、長谷川祐弘国連事務総長特別代表(東ティモール担当)にお話を伺いました。今日と明日の2部に分けてお届けします。皆様からのご意見・感想等をお待ちしております。

NY国連フォーラム幹事
清水和彦

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第二弾 ┃
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●長谷川祐弘 国連事務総長特別代表(東ティモール担当)●

略歴:はせがわ・すけひろ。ミシガン大学卒業、国際基督教大学大学院修士課程修了、ワシントン大学で国際関係開発学博士号取得。1969年より現在に至るまで国連職員として開発援助、国連平和維持活動に従事。93年国連ボランティア(UNV)選挙監視団統括責任者(カンボジア)、94年ソマリア国連平和維持活動(UNOSOM)政策企画担当部長、95年ルワンダ国連常駐人道調整官及び国連開発計画(UNDP)常駐代表、96年UNDP駐日代表、2002年4月UNDP紛争予防・復興担当特別顧問などを経て、同年7月東ティモール国連事務総長特別副代表・国連開発担当調整官・UNDP常駐代表。04年5月より国連事務総長特別代表。

聞き手:清水和彦
ニューヨーク国連フォーラム幹事。在アメリカ合衆国日本大使館外交官補(コロンビア大学大学院にて研修中)。本年7~8月、UNDP東ティモール事務所にてインターンを行う。

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1.4つの肩書き

(清水)長谷川さんは、国連事務総長特別代表、国連開発担当調整官、UNDP常駐代表という3つの役職を兼ねておられますが、これらはどのようなお仕事なのでしょうか。


(長谷川代表)正確には、私は現在4つの役職を兼ねています。一つ目は国連事務総長特別代表(Special Representative of the Secretary-General)で、事務総長個人の代表と
して、東ティモールにおいて事務総長に代わって国全体の活動の総括をし、政治的に仕切っていく役目です。日本の特命全権大使に近い、国連全権特命代表という役割です。

二つ目は国連東ティモール事務所(UNOTIL)の最高責任者(Head of UNOTIL)であり、これは国連事務総長特別代表とは本質的に別の役目で、UNOTILの運営に携わっております。

三つ目は国連の開発活動を行っている専門機関(WHO、ILOなど)、国連の開発活動に携わっている諸機関(UNDP、WFPなど)、そして開発を行うに当たっての基金(UNFPA、UNCDFなど)、これら全機関の調整を行う役目で、法律的には世銀も調整の対象に含まれます。これは1987年の国連総会決議に基づいて決められたもので、国連開発担当調整官(Resident Coordinator for the United Nations System's Operational Activities for Development)と呼ばれています。東ティモールには初め2年間は人道調整官(Humanitarian Coordinator)という役職もありましたが、これは今はなくなりました。

四つ目はUNDPの常駐代表(Resident Representative)で、UNDPの代表として開発援助活動の最高責任者としての役割を与えられております。私の下にUNDPカントリーディレクターと呼ばれる人がおり、毎日の活動を指示しております。


(清水)典型的な一日の様子を教えてください。


(長谷川代表)たとえば、今日のスケジュールを例にとってみましょう。8時半から10時半まで、司法制度改善のために最高裁長官、検察庁長官、法務大臣、そして米国・英国・ポルトガルその他の国々の大使や外交団、並びにUNDP、UNICEF、世銀等の国際機関、司法関係NGOとの合同会議に出席し、UNDP主導の下に今後3年間の司法整備のための3年間で1千万ドルの国際支援計画について検討しました。

10時半から、UNOTIL人事部長と、UNOTILの人事、運営についての協議を行いました。いかにして行政顧問23名を一日も早くリクルートするかの課題でした。

10時45分から、監査局長のアドバイザーと、国連が東ティモール政府に譲渡した500台以上の車両についての協議を行いました。

11時から11時半まで、南アフリカ政府から来た国連外部監査官と会見しました。

また、今日はUNOTIL官房長に代わりに行ってもらいましたが、11時半から12時半までグスマオ大統領の帰国にあたっての空港で迎えが予定されていました。今日は11時半から12時まで、補佐官と国連安全保障理事会出席のためのワシントン・ニューヨーク・東京訪問の日程の打合せを行いました。

12時半から午後2時まで、米国・英国・オーストラリア・ニュージーランドの大使を招待し、私の自宅で昼食会を行います。

3時からは、UNOTIL政治部、法律顧問、人権擁護局幹部とのウィークリー・ミーティングが予定されています。

4時から5時まで、官房長、人事部長と(UNOTILの)要員の採用状況について検討します。

5時から、メルパティ航空会社の運航の安全性の問題について、インドネシア大使と協議します。

6時から7時まで、東ティモール海底油田開発公社主催レセプションに参加します。

最後に、9時から10時まで、国連本部との電話連絡をします。


(清水)…一日中ほとんど打合せで埋まっていますね。


(パート2に続く)

2005/09/02

外務省政策評価書の公表

あまりツリーがぶらさがりづらいコメントばかりすみません。

よしはら@外務省です。本日外務省政策評価書を公表しました。
(下記のアドレスで電子上も順次公表していきます。)
定性的に政策評価を本格的に行う初の試みと個人的には考えています。
以下は個人的な意見も含んでいますので、念のため。

 外務省は、「平成17年度政策評価書」(但し、対象年度は平成16年度)を8月31日(水)公表しました。外務省の政策評価書の公表は、政策評価法施行以来3度目となります。

 基本計画においては、「外務省による政策評価の目的は、外交目標及びその政策を国民に明らかにし、国民に対する説明責任を果たすことである。同時に、外交政策の客観的に政策評価を実施することにより、常に効率的な、質の高い、中長期的な観点を含めた成果重視の外交を推進していくとともに、職員の仕事の取り進め方を改善し、組織の活性化を図っていく必要がある。その結果として、将来のよりよい外交政策の実現、ひいては国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることである」旨定めています。

 また、政策評価書は、読みやすさの観点から総括・概要版と評価シート版の2分冊構成とし、前者には、外務省における政策評価についての概観及び改善点、重点外交政策を中心とする外交のレビュー及び評価総括票等を、後者には上記の評価対象政策等の個々の評価書を掲載してあります。

 さらに、本年度の評価書は、政策評価を次年度以降に活かすために、政策目的を明確にして具体的事務事業を評価しています。政策評価の把握にあたっては、「目標達成に照らしての評価の切り口(指標)」を設定して、政策目的に向けた進展度合いを分析してあります。 また
、政策手段としての事務事業を評価するとともに、政策目的を達成するために投入資源の記載、客観性を担保するための第三者の意見の活用、評価総括組織による審査の結果の記載を盛り込んであります。なお、本年度政策評価書を作成するにあたり、「外務省政策評価アドバ
イザリー・グループ」を2回開催(同グループについて及びその議事概要は同じく上記のコーナーを参照ください。)し、政策評価の方法等に関する助言を得ました。

 その他、特徴は本日掲載予定の評価書をお読みください。ここで議論していただけるぐらいの成果物と自負しております。

(参考)
 外務省ホームページ「政策評価」のコーナー
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/shocho/hyouka/index.html

2005/08/26

《研修募集》 平成18年度一般国内長期研修のお知らせ(11月21日締切)

NY国連フォーラムのみなさま

国際協力機構(JICA)の国際協力総合研修所で人材育成を担当している、野口と申します。

先日、亀井さんにお願いして専門家養成個人研修の募集のお知らせを掲載していただいたのですが、今回は、日本国内の大学院での研修について、ご紹介させてください。2種類ありまして、第1弾は、一般国内長期研修です。

《以下、お知らせ》
平成18年度一般国内長期研修 募集中!(11月21日締切)
詳細はこちら:http://www.jica.go.jp/recruit/daigakuin/index.html

JICAでは、将来的にJICAで専門家として活躍したいと考えておられる方を対象に、一般国内長期研修を募集しています。本研修では、日本国内の大学院の入学費、授業料等を2年を上限としてJICAが負担します。ぜひ一度ホームページをご覧ください!多くの方のご応募、お待ちしています。

【研修説明】
一般国内長期研修は、国際協力に携わる人材養成の一環として、開発途上国に派遣する技術協力専門家等として将来にわたり活躍することを志向する方に対し、日本国内の大学院修士課程において専門能力を高めるための研修を、JICAが支援する制度です。

【定員】  若干名

【応募資格】
(1)JICAの技術協力専門家等として、国際協力事業に従事する強い意志を有し、また可能であること、
(2)応募する専門分野における実務経験を有すること(開発途上国での活動経験を有することが望ましい)、
(3)JICA専門家として必要な語学能力を有すること。
(4)満40歳以下、等。
詳細については上記ホームページをご覧ください。

【経費】
以下の経費をJICAが負担します。
(1)入学金、授業料、実習料等、研修機関に納付する経費
(2)海外でフィールドワーク等を実施する場合の必要経費(渡航費、滞在費等)(原則1回)

【応募方法】
自己申告書、応募申請書等の必要書類をそろえ、締切日までに下記申し込み先までお送りください。
必要書類の詳細については、上記ホームページをご覧ください。

【締切日】  平成17年11月21日(月)

【連絡先】
独立行政法人 国際協力機構 国際協力総合研修所
人材養成グループ専門家養成チーム 国内長期研修係
TEL:03-3269-3022 FAX:03-3269-2054
E-mail:jicaiict-kai@jica.go.jp

(以上)

《研修募集》 平成18年度NGO国内長期研修のお知らせ(10月11日締切)

NY国連フォーラムのみなさま

JICAの野口です。研修のお知らせ、第2弾です。本研修では、日本のNGOの常勤スタッフの方で、日本国内の大学院で知識を深めたい方を募集しています。

(以下、お知らせ)

平成18年度NGO国内長期研修 募集中!(10月11日締切)
詳細はこちら:http://www.jica.go.jp/recruit/ngo/index.html
JICAでは、現在日本のNGOで勤務されている方を対象に、NGO国内長期研修を募集しています。本研修では、日本国内の大学院修士課程の入学費、授業料等を2年を上限としてJICAが負担します。ぜひ一度ホームページをご覧ください!多くの方のご応募、お待ちしています。

【研修概要】
NGO国内長期研修は、国際協力活動を行う日本のNGOの専従スタッフを対象として、NGO活動に携わる人材の研修を支援することにより、日本のNGOが行う国際協力活動のさらなる向上に貢献することを目的として、JICAが実施
するものです。


【定員】  若干名

【応募資格】
(1)所属NGO等において将来に亘りNGOの実施する国際協力活動に貢献する強い意志を有し、また可能であること、
(2)国際協力活動を行うNGOに専従スタッフとして所属すること、等。
詳細については上記ホームページをご覧ください。

【経費】
以下の経費をJICAが負担します。
(1)入学金、授業料、実習料等、研修機関に納付する経費
(2)海外でフィールドワーク等を実施する場合の必要経費(渡航費、滞在費等)(原則1回)

【応募方法】
自己申告書、応募申請書等の必要書類をそろえ、締切日までに下記申し込み先までお送りください。
必要書類の詳細については、上記ホームページをご覧ください。

【締切日】  平成17年10月11日(火)

【連絡先】
独立行政法人 国際協力機構 国際協力総合研修所
人材養成グループ専門家養成チーム 国内長期研修係
TEL:03-3269-3022 FAX:03-3269-2054
E-mail:jicaiict-kai@jica.go.jp

(以上)

2005/08/25

ニジェールの飢餓と教訓

山口さん、NYフォーラムの皆様、

WHOの早川です。日本にとって「アフリカは『遠い』」のか、という山口さんの問いかけには、思わずうーんとうなってしまいました。しかしながら、日本のメディアが取り上げていないことと、政府が実際に政策問題としてニジェールを含めたアフリカの開発に積極的に取り組んでいないということは必ずしも一致しないような気がいたします。取り組んでいるか、いないは、結局、認識と立場の違いになってしまうのでしょうか。

実際、DACのニジェールの簡単な資料を見ると、バイドナーとしては日本のランクは4番目のようです(02/03年平均)。日本からの援助の総額は14Mとなっていて、これはアメリカの16M,ドイツの15Mとあまり変わらないように思われます。トップドナーであるフランスの105Mはダントツですが。以外なのは、ニジェールへの援助の内訳で、債務取り消し関連の援助が40%を占め、一番少ないのが人道支援のカテゴリーとなっていることでしょうか。

絶対的な数字で見るとニジェールにおける日本のプレゼンスは決して小さいものではないと思われます。しかし、相対的に14Mという数字を見ると、やはり日本の援助政策におけるニジェールの位置づけは高くなかったということになるのでしょうか。ちなみに日本の援助の被援助国トップは中国で1927Mとなっているようです。

DAC ニジェール: http://www.oecd.org/dataoecd/23/54/1882640.gif

DAC 日本: http://www.oecd.org/dataoecd/42/5/1860382.gif

早川元貴

2005/08/24

ニジェールの飢餓と教訓

NYフォーラムの皆様、

ニジェールの飢饉について、ELDISのメーリングストにODIのブリーフ・ノート
の記事がありましたので、FWいたします。

先日まで、日本に3週間ばかり一時帰国していたのですが、その間ほとんどニ
ジェールのことがメディアで報道されていなかったことが、印象に残りました。あれ
ほど、国連安保理入りに絡んで、「アフリカ、アフリカ」といわれていたにもかかわ
らず。やはり、日本にとって「アフリカは『遠い』」のでしょうか。

ご参考まで。

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7. HUMANITARIAN ISSUES IN NIGER

Author(s): Humanitarian Policy Group, ODI

Produced by: Overseas Development Institute (ODI) (2005)

This Humanitarian Policy Group briefing note highlights some of the questions that will need to be answered in order to explain the slowness of the international response to the 2005 famine in Niger. It argues that this is not just a case of donors failing to provide resources quickly enough. Questions also need to be asked about the quality of early- warning and assessment analysis; the capacity of humanitarian actors to respond; the appropriateness of the proposed responses; and the preparedness of development actors for what should have been a predictable crisis. In addition to all of these questions, the authors highlight that the scale and extent of food insecurity and possible crises in Mali and Mauritania must
continue to be closely monitored.

This note is based on a short review of the secondary literature, and a limited number of interviews with a range of humanitarian actors: it aims to highlight questions for further investigation.

Available online at: http://www.eldis.org/cf/rdr/rdr.cfm?doc=DOC19382



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Masatomo Nao Yamaguchi
M.Phil. in Development Studies, University Of Oxford

8月26日(金)合同勉強会のお知らせ

少しずつ過ごしやすくなってきたニューヨークから、OCHA人間の安全保障ユニットの長島由華です。皆様いかがお過ごしでしょうか?

毎回ぎりぎりになってからのお知らせで恐縮ですが、今週の金曜日8月26日に国連日本政府代表部、国連邦人職員会、そしてNY国連フォーラムの合同勉強会が開催される予定です。お話しされるテーマについては現在調整中ですが、詳細は下記の通りです。

日時:8月26日(金) 6時30分
場所:国連日本政府代表部大会議室
発表者:長谷川祐弘 (Mr. Sukehiro Hasegawa) 東ティモール担当国連事務総長特別代表 (SRSG)
テーマ:東チモールにおける国連活動(調整中)

参加ご希望の方は、8月26日(金)正午までにご氏名と所属先をynagashima@humansecurity-chs.org宛にご連絡ください。国連及び日本政府代表部職員以外の方は、国連代表部の警備上、事前に登録された方でないと参加できません。事前登録をされた方は、6時20分に866 UN Plaza (48th Streetの1st AveとFDRの間)に集合してIDを受け取ってからお入りください。

それでは、是非金曜日にお会いしましょう!

長島由華

2005/08/23

ニジェールの飢餓と教訓

田島さん、

ユニセフの久木田です。

私もニジェールの今回の人道危機について、大きな関心があります。アナン事務総長が訪問していることもあり、いろいろな報道がありますが、どうしてもっと早く当該政府と国際社会の対策が取られなかったのかという疑問は残ります。ユニセフでもニジェールのためのアピールを出して、支援を求めました。危機報道のおかげであっという間に必要額が各国政府から拠出されました。民間からの支援も大変早かったようです。ただ、危機は依然として続いていますし、同様の問題は西アフリカの周辺最貧国にも存在していて、現在そちらのアピールに対する支援を各国に依頼しているところです。

ニジェールのMSFが、国連の対応が遅く、非効率的で、栄養不良の影響をもっとも受けやすい五歳未満の子どもに支援が届いていないと報告しています。アナン事務総長もMSFの現場を視察し、大統領や首相にも会っていますが、政府の「危機はない」という説明と現場の状況にははっきり相違があるようです。G8であれだけアフリカといっておきながら、対応が遅いと言うのも奇異な感じがします。

私は、飢餓の専門家ではありませんが、食料や水の安全保障・子どもの健康と栄養などの観点から関わったことがあります。島田さんがおっしゃるとおり、早期警戒システムを確立する必要があると思います。私も、1990年代初頭に南部アフリカで大干ばつがあったときにナミビアの地方のコミュニティー開発を担当していましたので、早期警戒システムの確立にも関わりました。作物の出来具合、穀物の貯蔵レベル、穀類の価格と流通、現金収入や年金の有無、家畜の保持、水の確保、など、コミュニティー全体としてのCoping Mechanismや各家庭での対応力崩壊時期の予測など、たくさんの指標をモニターしながら対応を考えていく必要があります。大きな編んだかごの中のアワやヒエがそこをつき、種もみも食い尽くして、現金もなく、最後の手段のやせ細った牛を売ることになった家庭の心細さは、今思い起こしても悲しいものです。

女性が戸主の家庭、妊婦と乳飲み子を抱えた女性、老人、村でも特に貧しい家庭などに優先的に食料や現金が行き渡るようにして、弱い人々が崩れるのを防ごうとするのですが、コミュニティー全体の助け合いのCoping Mechanismも働かなくなると、国内避難の移動が始まります。ナミビアにいたときは、政府も国連機関も援助国も、独立したばかりの国をなんとか危機回避させたいと一生懸命で、乗り切ることができまし
た。ニジェールの状況は、慢性的な貧困と対応不足のために危機的な状況が訪れて、やっと世界に注目されたのだと思います。

残念なのは、そういう状況がアフリカをはじめ世界のあちこちにあるということと、それが繰り返されているということです。週末に「ホテル・ルワンダ」という映画を家族で見ました。国連と国際社会の役割、メディアの役割、宗主国の責任と役割、群集心理と恐怖放送、暴力と安全保障、いろいろと考えさせられました。レッスンはたくさんあったのに、実施していないことがたくさんあります。

根本的な問題の解決には、途上国コミュニティー(特に子どもと女性)のエンパワーメントと先進国の人々と政府の態度変容を大きく進める必要がありますね。

ニジェールの飢餓と教訓

コフィアナン氏が今日ニジェールに入りしたといいます。国連配信のニュースによれば 350万人が危険な状態にあるとのこと。今年6 月にはG8サミットでアフリカ問題が主要課題として議論されたし、ニジェールは既に1970 年代初期に深刻な飢餓を経験しています。過去の経験や、経済主要国の宣言に関わらず、どうしてまた惨禍は繰り返されるのでしょう。失敗から得た教訓が必ずしも未来のケースに当てはまる訳ではないですが、ここからどのような教訓を得られるのか、考えてみたいと思います。また、飢餓問題を専門とする方がいらしたら、率直に教えを乞いたいと思います。

今回の飢餓の原因は、干害や虫害等が各種メディアで挙げられていますが、ニジェール国内での昨年の農作物生産量は、例年の平均を下回る程度で、 350万人が飢餓のリスクにおかれるようなレベルではないといいます。やはり、セン教授の「飢餓は食料不足によって起こるのではなく、その配分方法によって起こる」というテーゼはここにも当てはまるように思われます。英エコノミスト誌( 2005年8月20日号)によれば、ニジェールの飢餓は、国内の穀物価格の上昇が主な原因だそうです。これは①コートジボアールやナイジェリア等の近隣諸国が穀物不作を解消するためにニジェールから穀物を多く輸入したこと、②ナイジェリアが鳥肉産業を支えるために鶏の飼育に必要な穀物を多くニジェールから輸入したこと、また③ナイジェリア、マリ、ブルキナファソがニジェールへの穀物輸入を制限したことにあるとのこと。加えて、ニジェール国内で家畜の売買価格が低迷したことも、穀物価格の増加と相まって、ニジェールの人々の穀物購買力低下の原因となったといいます。UNDP統計でも177か国中176番目にランクされる最貧国のニジェールと隣国ナイジェリアとのGDP差は10倍程度で、このように経済格差がある国家間同志で市場競争が食料を対象として行われた場合、弱者が払う代償は、あまりにも大きいと考えます。ニジェール政府が対面を保つために、問題を隠し、国際機関に救援要請を出すタイミングを遅らせたことも問題を深刻化させた原因の一つだそうです。また、表には出てきていませんが、内部の腐敗も問題を複雑にしている原因の一つかもしれません。

さて、どのような教訓が考えられるのでしょう。複雑な原因が背後にある限り、一時的な食料配給は危機にある多数の命を救うものの、根本的な解決にならないと思います。エコノミスト誌は、ニジェールに雇用の機会を与えることで購買力を高めることを飢餓対策として挙げていますが、他に方策はないでしょうか。

一つ考えられることは、飢餓の早期警報の機能を高めることと援助側がそれに敏感になることかもしれません。津波等の自然災害と異なり、飢餓の早期警報は可能だそうです。実際、MSFは今年始めにニジェールの飢餓についての警報を出していましたが、人道支援が開始されたのは、メディア等がニジェールの惨禍を報道し始めてからで、それは「国内の最悪の事態が過ぎた後」だったそうです。二つめに考えられることは、G8等で貧困問題が議論される場合、具体的な援助計画や金額までどうにか落とし込むことと思います。それが、主要課題として謳われていたならばなおさらのこと。実際今年6月のスコットランドで開かれたG8サミットはアフリカの貧困問題が主要課題の一つでしたが、ロンドンテロの混乱もあって、具体的な援助額は出てこなかったと聞いています。さらに、市場への介入も方策として考慮できると考えます。飢餓の恐れのある国に対して、国際機関が穀物購入の援助金を出す、また地域会合が開かれる場合、議題に食料市場と食料の安全保障の問題を加える等。4つ目に、国際機関と国との風通しも重要だと思います。国家が対面を保ちたい気持ちも十分理解できますが、国家のプライドは何百万の人の命に勝るものではないと。援助機関と国家が、適時に救援申請を出せる関係性でありえたらと願います。


2005年
JPO派遣候補者

Maiko Tajima
M.Sc. in Forced Migration, QEH, University of Oxford

JICA技術協力専門家養成個人研修 (第一次募集)

フォーラムの皆様こんにちは。

ML管理を担当しておりますかめいです。

標記につきまして、JICA国際協力総合研修所 人材養成グループの野口様から下記のとおり情報の提供がありましたので、お知らせいたします。なお、問い合わせ等は下記記載の連絡先にして頂けますようお願い申し上げます。

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平成17年度 技術協力専門家養成個人研修(第一次募集)募集中!(9月27日締切)

専門家養成個人研修では、専門分野の知識・経験をより豊かにしたい方で、研修終了後にJICAで専門家として活躍してくださる方を募集しています。今年度は、研修内容を自分でゼロから組み立てる従来の<本人発案型>に加え、平和構築、教育政策等の分野でJICAが提示する内容をベースに実施する<JICA提案型>もご用意しました。ぜひ一度ホームページ(http://www.jica.go.jp/recruit/ikusei/index.html)をご覧ください!多くの方のご応募、お待ちしています。


【研修概要】独立行政法人国際協力機構(JICA)は、個別に行う研修を通じて今後のJICA専門家業務においてより効果的な活動を行うために必要な能力を修得し、高度化・多様化する開発途上国のニーズに対応できる専門的能力を身に付け、効果的かつ効率的な事業の実施に貢献する人材を養成することを目的として、技術協力専門家養成個人研修を実施します。今回から、本人が計画を作成する<本人発案型>に加え、JICAが研修内容を提示する<JICA提案型>も併せて募集します。

【定員】<JICA提案型>7名、<本人発案型>若干名

【資格・条件】(1)研修修了後はJICA専門家として任務に就くことを希望し、かつ可能であること、(2)平成17年4月1日時点で、満45才以下であること、(3)JICA専門家として必要な語学能力を有すること、等。詳細については下記ホームページをご覧ください。

【待遇】基本手当、研修実施費(150万円まで)、研修旅費等

【応募方法】自己申告書、応募申請書等の必要書類をそろえ、締切日までに下記申し込み先までお送りください。必要書類の詳細については、下記ホームページをご覧ください。

【締切日】平成17年9月27日(火)

【連絡先】独立行政法人 国際協力機構 国際協力総合研修所
人材養成グループ専門家養成チーム 
技術協力専門家養成個人研修係
TEL:03-3269-3022 FAX:03-3269-2054
E-mail:jicaiictar-yousei@jica.go.jp
ホームページ:http://www.jica.go.jp/recruit/ikusei/index.html

2005/08/17

NY国連フォーラムHP:オフ会記録の掲載

ニューヨーク国連フォーラム/ワシントンDC開発フォーラムの皆様

こんにちは。
NY国連フォーラム・ウェブ担当幹事の荒川です。

この度、7月22日に東京で開催された合同オフ会の模様をNY国連
フォーラムのウェブサイトに掲載しましたので、お知らせ致します。
下記のリンクより、ご覧ください。

<NY国連フォーラム>
http://www.unforum.org

また、本ウェブサイトでは、MLで連載が始まったフィールド・エッセイや
国連フォーラム・インタビュー・シリーズのほか、ニューヨークで開催され
た勉強会の記録も掲載しています。もし、まだご覧になられていない方
は、ぜひこの機会にリンクをクリックしてみてください。

荒川麻衣子
ニューヨーク国連フォーラム

2005/08/10

7月1日勉強会議事録(第一弾)

ニューヨーク国連フォーラムの皆様、

暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

遅くなりましたが、7月1日にニューヨークで行われた、JICA小島誠二理事に
お越しいただいた勉強会の議事録を送付させていただきます。ご存知のように
このメーリングリストは文書の添付ができないため、3部に分けてお送りしま
す。

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国連邦人職員会・国連日本政府代表部合同勉強会
新たな援助潮流への日本の貢献を目指して―JICAの課題と挑戦(第一弾)
JICA理事 小島誠二

0.はじめに

20年近く前、アジア開発銀行で働いていた。その後、外務省経済協力局におい
て、開発調査、年次協議、国別援助計画等を担当した。私が担当したODA大綱
は1992年に策定されたが、その改訂の過程を見ると国民のODAへの関与の仕方
が変わり、広がったと感じる。1999年から再び経済協力局でLLDC向けODAのア
ンタイド化問題等を担当し、今回、JICAにおいて総務、人事、企画・調整、援
助協調等を担当することとなった。NYやDCの開発フォーラムでJICAが何をして
いるかについてお話ししたい。特に、日本政府関係者以外の外部の方々に話を
聞いていただいて、ご意見を伺いたい。

本日の話しでは、重要であるが、応えることが難しい課題を取り上げたい。ア
メリカで勉強したり、仕事をしておられる皆さんから、こんな風に考え、直し
ていけばいいのではないかというようなご意見をいただきたい。ODAに対して
は批判が多いが、最近は日本のODAのことをよく理解して発言し、また、調査
結果・データを示してくれている人もいる。例えば、小泉総理はアジア・アフ
リカ会議に出席された際、アナン事務総長と会談された。その際同席していた
(と思われる)ジェフリー・サックス教授は、日本のODAが最も効果的に実施
されている(best followed)と評価した。メディアではあまり取り上げられ
なかったが、こういう評価をしてくれる人もいることを嬉しく思った。

1.JICAとは何か?

(1)1954年の社団法人アジア協会から、1962年に海外技術協力事業団及び
1974年に国際協力事業団を経て、2003年に独立行政法人化された。法的には二
つの側面を指摘できる。すなわち、JICAは独立行政法人としての共通性(他の
独立行政法人と一律の取扱い)とODA(技術協力)の実施機関としての独自性
を有する。
(2)事業実施は、まず5ヵ年の中期目標・中期計画を立て、年度計画をも
ち、各部署別の計画を作って、外務省に提示して、実施の上、自ら評価を受け
るという体制になっている。いい意味で緊張感を求められている。仕事の仕方
は、独立行政法人化によって劇的に変わっている。

2.JICAは何をするところか?

(1)JICAの仕事は幅広い。技術協力を中心として、その他の仕事も多い。新
たな内容としては国民参加型の事業。NGOや大学との連携などが対象。従来か
ら行っていたが、法律に書き込まれた点で新しい。
(2)それでは、技術協力とは何か。DACの定義(開発途上国の人々の技能、
知識、技術ノウハウ及び生産的な素質の水準を向上させることを目的とする全
般的な支援活動)が一般的だが、JICAの定義は文面上これより若干狭いかも知
れない。Investment Related Technical Cooperationも重要な仕事。
(3)JICAの行っている技術協力は、以前は技術移転が中心であったが、現在
では制度構築やcapacity developmentへと広がってきている。今日では、人々
が自ら設定した目標を達成できるよう支援すること、自らの課題の解決能力を
向上させることができるよう助けること、そういった能力を外からもたらすの
でなく、人々に備わっているものが内発的に発展できるよう援助すること、そ
ういった活動全般が含まれる。その課程で、個人、組織及び社会を総体的に捉
える取り組みが求められる。
(4)資金協力との連携、資金協力と技術協力との一体的実施も拡大してい
る。例えば、農村に住む人々自身が道路を作ったりすることを支援すること
等。OECD/DAC(開発援助委員会)への報告をどうするかは別として、実際に
は、資金協力と技術協力とを分けることが難しいことも多い。

3.独立行政法人化した後JICAはどう変わったか?

(1)業績が評価されることが大きな変化。弾力的な財務管理。自立的な組
織、すなわち組織の改革が行いやすくなった。管理職ポストを1割削減した結
果もあって、決裁の効率化(所要時間の4割減)等のポジティブな結果も得ら
れている。
(2)「復興」という形で、平和構築支援が法律上明記された。イラク、アフ
ガニスタン、チャド、ガザ、ジェリコ等アフリカを中心として活動を広げてい
る。
(3)7月より、ファースト・トラック制度を導入。最短で45日でプロジェク
トを始める。自然災害や紛争後の支援を念頭においている。緒方理事長の強い
イニシアチブのもとで成立した。
(4)業績評価。中期目標や計画には具体的な数値目標が掲げられている。具
体的な投入、たとえば長期専門家,コンサルタントを1割減らす等の目標。数
値目標の7割は既に達成できている。多くが前倒しで達成できているというこ
とである。
(5)質の向上も重要。例えばプロジェクト単位でなく、プログラム単位での
取組みを行っている。現場主義実現の結果、リソースが足りなくなり質が落ち
てはいけないので、優先順位の低い仕事を減らすという取り組み、また、優先
順位の高い仕事を効率的に実施するという取り組み、すなわち業務軽量化を進
めている。私見では10%くらいは減量しないと業務がうまく遂行されないと考
えている。

<第二弾に続く>
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Yuka Nagashima (Ms.)
Human Security Unit
OCHA, United Nations

7月1日勉強会議事録(第二弾)

国連邦人職員会・国連日本政府代表部合同勉強会
新たな援助潮流への日本の貢献を目指して―JICAの課題と挑戦(第二弾)
JICA理事 小島誠二

4.JICA改革とは何か?

(1)第一弾として16年度は、まず現場主義の促進。中期計画では本部から在
外へ200人を異動する予定。56の在外事務所から、30の重点事務所を指定し
て、プロジェクトの形成から評価までを在外主導で行い(在外主管案件)、本
部はこれの支援に徹するという方式を導入した。また6つの地域支援事務所を
設立して、プロジェクト形成支援や会計等の管理業務支援を行うようにしてい
る。
(2)その他、1994年に出された人間の安全保障の概念を現場に適応できるよ
うにする。7つの視点を導入し、案件を人間の安全保障の視点からチェックす
る。モデル案件を導入する。典型的な人間の安全保障案件を形成し、共有す
る。
(3)効果・効率性。ODAでは何十年も言われてきたことだが、数値化して評
価することが新しい。また、迅速性はこれまであまり言われていなかったこ
と。ウォルフェンソン前世銀総裁が世銀に来て最初に言ったことが「スピー
ド」だったのは興味深い。津波等の自然災害への対応や紛争後の開発への切れ
目のない支援に当たって要請される。通常業務でも、ローリングプランを作る
こと等によって、迅速性を高めることは重要。変化が早い国際社会への迅速な
対応を重視する体制を目指している。
(4)17年度については、研修員受け入れ体制の強化。DAC等の様々な場で、
特に技術協力はサプライドリブンだと言われ続けている。日本の技術協力につ
いてはそのような批判はあまり当たらないのではないかと思うが、研修員受け
入れについて、途上国のニーズに一層合致したものにしていく必要がある。途
上国のニーズと受け入れ体制のマッチングを向上させたい。JICAのその他の活
動、典型的には技術協力プロジェクトへの統合、もっと言えば、プログラムへ
の統合を進めたい。
(5)もう一つ、NGO、大学等の市民団体との連携を図る。先ほどUNDPとの幹
部と話していたが、UNDPとの競合があるとすればCivil Society
Organizations (CSO)だと言っていた。JICAとしては、むしろこれらの組織と
の一層の連携を進めたい。
(6)調査研究、人材育成の強化。JICAの強みは現場を持っていること。
1954年以来の主としてアジアでの知識・経験の蓄積がある。今も積み重ねられ
ている。それがエピソードとしては語られても、十分、概念化・体系化・理論
化されてこなかった。現場から帰ってくる職員、専門家、その他の援助関係者
から情報を得て、調査研究の中で蓄積することを目指している。国際協力総合
研修所を中心にやっていこうとしている。

5.JICAは日本のODA全体の中でどのような位置を占めるか?

(1)JICAは「技術協力をするところ。ODAの実施機関」と言われる。それは
その通りであるが、実際には、技術協力と資金協力、さらには政策と実施とは
なかなか区別することが難しい。現場からのフィードバックがないと政策の立
案・改訂はできない。政策は政府、実施はJICAという仕分けになっているが、
一緒に考え、実施していかないと、うまくいかないのではないかと個人的には
感じている。
(2)一般会計ODA予算の20%くらいがJICA予算。技術協力は外務省(JICA)
以外にも多くの府省が担当。大雑把に言って外務省(JICA)が半分を、その他
府省が残り半分を担当。
(3)開発調査は、その結果が無償資金協力や円借款に繋がる技術協力。資金
協力との典型的な連携の例。

(4)二国間ODAの地域別実績。アジア重視だが、その割合は下がっている。
JICAの場合もそうである。JICAの場合はアフリカの割合が増えている。ただ
し、円借款が出にくいので政府全体ではそうとも言えない。2005年度でJICA予
算の20%がアフリカ向け。政府は今後3年でアフリカ向け援助倍増を明らかに
したが、JICAがどの程度増やしていくかについて、まだ結論は出されていな
い。
(5)特徴的なのは、中南米、大洋州の割合が高いこと。大洋州ではJOCV、中
南米は日系移民とのつながりによると思われる。中長期的には、その割合は減
少するのではないかと予想される。
(6)ODA関係者の数。政府その他の関係者のうち、半数以上をJICA職員が占
めているのではないか。アフリカに行くと、その比率はもっと高くなる。約
8割がJICA関係者と聞いたことがある。JICAは人の面で重要な位置を占める。

6.新しい援助潮流の中でJICAはどうしようとしているか?

(1)率直に言うと、技術協力というのは一番対応しにくい部分があるのでは
ないかと思う。戦略、基本方針を持って、事業を進めることが大事。国別事業
実施方針、地域戦略というものを作りながら事業を行うこと。また、アフリカ
の重視。それに応じた予算配分・人員配分を行うこと。
(2)二番目として、各ドナーが個々別々の目標・戦略をもって援助するので
はなく、共通の目標をもって、その達成に努力することが大切。ミレニアム開
発目標(MDGs)については、JICAとして何をすべきであるかを検討し、そのた
めの努力を行ってきた。お手元のパンフレットには、MDGsの実現と人間の安全
保障、capacity development及びインフラ整備とがどのような関係にあるかが
説明してある。なお、JICAとしても、インフラを重視しており、ガバナンス、
貧困、インフラを総合的に捉えたアプローチをとっていきたい。この点につい
ては、UNDPとも議論をしている。
(3)Poverty Reduction Strategy (PRS)体制への参加。第二世代が始まりつ
つある。UNDPは色々な考えをもっている。PRSPの作成及びその評価・モニタリ
ングの課程にJICAとしてできるだけ関与していきたい。アフリカでは、まだま
だ手薄だが、大使館と比べれば多くのJICA関係者が在勤しており、援助調整の
専門家もいるので、セクター別ドナー会合などの場にできるだけ出ていって、
意見を発信していきたい。
(4)新しい援助モダリティへの対応。効果的な援助の実施に向けてJICAとし
て何ができるか。一般財政支援についての政府方針とは別に、例えば、公共財
政管理のための技術協力は行っていきたい。
(5)ローカル・リソースの活用、すなわち現地調達や現地コンサルタントの
活用を進める。
(6)その他、プログラム化を推進して、プロジェクトが総体として効果が発
揮でき、持続可能な結果が得られるようしていきたい。
(7)専門家には、省庁推薦の専門家と公募による専門家とがあるが、最近で
は公募による者が約1700人のうち約700人を占めている。
(8)JICAが国際援助コミュニティに対して何が貢献できるか。バーグ報告
(1993年。UNDPが外部委託により作成)には技術援助に対する問題点の指摘と
解答が書かれている。自分も、読んでみて、違和感を覚えた。一番違和感を覚
えた点は「専門家・カウンターパート・モデル」は破綻していると批判されて
いた点。少なくともアジアにおける日本の技術協力では、破綻していないので
はないかと思った。途上国のオーナーシップ尊重による共同案件形成、利害関
係者間での合意形成、専門家・カウンターパートによる信頼関係、既存の組織
の活用、そういったことが日本の技術協力では行われてきたと考える。アジア
での経験がそのまま使えるわけではないにしても、アフリカ支援にも活かせる
のではないか。また、南南協力はそのための手段を提供することができるので
はないか。
(9)近年、重要とされるイシューに対し、いっせいにドナーが走っていく傾
向が見られる。日本として、重要と考えるセクター・課題に対して一貫した支
援を行い、援助コミュニティ全体としてバランスが保たれるようにすることも
必要なのではないか。

<質疑応答に続く>
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Yuka Nagashima (Ms.)
Human Security Unit
OCHA, United Nations

7月1日勉強会議事録(第三弾)

国連邦人職員会・国連日本政府代表部合同勉強会
新たな援助潮流への日本の貢献を目指して―JICAの課題と挑戦(第三弾)
JICA理事 小島誠二

質疑応答

(質問)JICAはどう変わったか? 外務省とJICAとの関係如何? JICAが独立
行政法人化したことで、外務省、各省庁、JICAとの関係はどう変わったか?
意思決定に際して、JICAの独立性はどうなったか?
(回答)案件の採択までは政府。実施はJICA。実施の仕方、つまり投入量と成
果の見積もりはJICAの仕事。JICAの在外事務所も参加する現地タスクフォース
ができていて、そこでの議論が案件の採択に大きな役割を果たすようになって
きている。JICAの在外事務所の推薦に基づく案件の採択率が高くなっている。
各省庁が関わることになっている制度は別として、実態はそのように変わって
きている。

(質問)実施のフレキシビリティについてお聞きしたい。予算の単年度制はど
うなっているか? 繰越は認められているか? 本部から在外主導へという場
合、在外事務所が独自に使える予算が増えたかどうか? UNDPでは現地でカン
トリー・プログラムを行う場合、現地の事務所長が決めないと進まない。
(回答)単年度制度に変化はない。ただし、ローリングプランを導入して予測
性を高めている。イギリスのNGOの調査によると、日本のODAは「予測性が高
い」と途上国に評価されている。在外主管案件については原則として在外事務
所が責任をもって行う。各省庁との関係等があって本部でやらざるを得ないも
のを除いて、在外事務所が行う。一定規模を超えると理事会での審議を経る
が、それ以外は在外事務所で実施できる。繰越は行われるが、それを減らそう
というのがJICAの取り組み。ただし、一定額の繰越は出てこざるを得ない。予
算は、まず地域部に配布されて、それが課題部や在外事務所に流れる。

(質問)国際機関との連携。この2、3年、JICAと世銀で連携を深くしたらいい
のではと感じている。世銀をみていると、英国のDFIDなどとは深い関係を持っ
ている。そこまでいかなくても他の国際機関と連携を強化する予定はあるか?
(回答)制度化された協議は過去3年間くらい途絶えていたが、今まさに世銀
や地域開発銀行、国連との連携を進めている。昔はプロジェクト・レベルでの
連携が中心であったが、今後はもっと政策レベルでの連携と調整が必要。
PRSPの作成・モニタリング、MDGsの実現等について、世銀は大きな影響力を有
しており、そういうところと一緒に仕事をしないと効果的・効率的な援助を行
うことができない。最近の債務削減の議論、国際開発協会(第二世銀、IDA)
増資のうちの30%のグラント化等については、JICAとしても関心を有してい
る。国際機関もJICAの意見・方向性を知りたいのではないか。ODAの基本理念
である人間の安全保障、capacity development等について、できる限り多くの
ドナーや途上国と共有していきたい。人間の安全保障という言葉を使うかどう
かは別にして、世銀もそのコンポーネント、アプローチ方法を共有しているよ
うである。

(質問)MDG達成への努力。MDGsの一つに人権があり、rights-basedアプロー
チを導入するのがUN内で進んでいる。ダムを建設するについても人権への配慮
や計画への参加の確保が必要。北欧やカナダではrights-basedアプローチを採
用しているが、JICAではどうか。
(回答)そのように呼ぶかどうかはどうかは別として、JICAの体制はそれに近
いものと思う。すなわち、環境社会配慮ガイドラインを2004年度から導入し、
プロジェクト案件が途上国の環境に悪影響を生じさせないよう外部の有識者の
参加も得た審査委員会で検討する体制をとっている。ジェンダーについては特
別なユニットを設けていて、ジェンダーと開発との関係を特別に見ている。マ
イノリティについてはどうですかという疑問があろうが、マイノリティに対す
る配慮は社会配慮に含まれる。北欧と実態において差はないと思うし、あって
はならないと思う。環境社会配慮を行うに際し、追加的な労力が必要となり、
JICAが色々な圧力に晒されることにもなろうが、環境社会配慮は必要である。

(質問)平和構築について。紛争予防。UNでも取り組みを進めようとして難し
いところ。業績の評価が必要だが、それが難しい。JICAではどうか。
(回答)JICAでは紛争後の復旧・復興支援は色々と実施しているが、紛争予防
の実績はあまりない。ただし、紛争後に、再発を予防する視点を入れた開発・
復興を実施するということは重要。JICAは貧困削減に資するプロジェクトに取
り組んでいるが、貧困削減が紛争防止に資するかどうかについては意見が分か
れる。和解の促進などについては、JICAとしても貢献できるのではないかと考
えている。緒方理事長も南アでそういうことを目的としたセミナーに参加し
た。異なる民族の人たちが一緒の職場で働けるような機会を設けることが考え
られる。しかしながら、JICAが直接紛争予防に関わることは難しい。強いて言
えば、ガバナンスの問題として、関わることができるかも知れない。地方政府
の強化や法整備(土地所有権の概念を確立すること)などが紛争防止に資すると
すれば、JICAとしても、その限りにおいて紛争防止に関わることができるだろ
う。やはり関与は間接的になる。紛争そのものに関わるツールとしては、紛争
のアセスメント調査があるが、JICAとしては、むしろ、紛争後、再発防止のた
めに何が開発援助でできるかを考えていきたい。

(質問)再来週、安保理のテーマ別会合で紛争と人道援助、平和構築といった
分野のディベートがある。アフガニスタンやイラクでの国軍の解体、新しい国
での国軍の創出などミリタリー絡みの問題、Disarmament, Demobilization and Reintegration (DDR)、法と秩序、シビリアンポリース、などを含む広い
課題。一部はPKOでもバイの援助でもやられていると思うが、総じて、日本は
あまり手を出さないという方針でやってきた。その結果、日本の実績は薄い。
JICAでどこまで取り組めるか。JICAの中でどのように検討されているか?こう
した分野へのJICAの取り組み姿勢や問題意識はどうなっているか?
(回答)難しい分野。JICAは警察の訓練を行っている。イラクの警察官を隣国
で訓練したり、退役軍人を再トレーニングしている。また、法整備支援等は行
っている。DDRの前の方は、難しい。JICAの中でイシュー別(課題別)検討を
行っており、平和構築についてどこまで肉薄できるか、ガイドラインを改訂
中。また、できることはできるだけ早くやるようにしている。このことは、
DDRの各コンポーネントを切れ目なく実施するためにも必要である。クリエイ
ティブに考えなければ行けないと思っている。
(質問)JICAと自衛隊の間で、将来的に平和構築分野でいろいろ連携できるの
か? あるいは警察との間は? 常任理事国になれるかどうかは別として、将
来的にこうした分野で日本としてはもっと踏み込んで必要があると個人的に考
えているが、JICAの役割は?
(回答)警察とは従来、連携関係がある。自衛隊との組織的連携はない。緊急
援助隊では自衛隊と従来共同して行っているが、平和構築分野ではない。取り
組むかどうかは政府が検討することではあるが、各国の取り組みや、こんなや
り方が可能ではないか、というアイディアをJICAとして出すことは可能であ
る。

(コメント)アジア開発銀行やUNDPにいて、政策と実施との関係については、
はたして連携すべきかと思っている。融資をしている組織と技術協力をする機
関で政策と実施とは異なり、またバイとマルチとでも政策・実施ともに異な
る。政策と評価は一緒にすべきだが、実施とは異なるのではと思う。学問的に
も面白いテーマではないか。政策は理解できないといけないが、立案まで実施
主体がやらなくていいのではないか。

(質問)JICAからマルチの機関へ人を派遣していると思うが、マルチから
JICAへの人の派遣はあるのか?
(回答)今のところ、UNHCR及びユネスコからは実績がある。ただし、世銀や
ADBなど融資機関からの出向はない。受け皿として、むしろ国際協力銀行
(JBIC)が適当かも知れない。UNDPからの実績はない。
(コメント)UNDPからの派遣、考えてみたい。
(回答)歓迎する。

(質問)アフリカ援助について。アフリカへの増強に対して、どこを削るのか?
(回答)JICA予算全体が増えれば、他の地域への予算額は変化しない。割合と
いう意味で言えば、アジア等の減少が考えられる。アジアの中所得国向けの円
借款が減っていけば、それに応じて、技術協力の割合が減っていくということ
があり得るかもしれない。中米は別として、南米の中所得国に関しては減って
いくことがあり得る。

(質問)バイでアフリカ向けを増やすというとき、歴史的にも経済的にも関係
が薄いアフリカに対して、日本の国益という観点で、国民向けの説明はどうな
っているか。
(回答)英国のブレア首相は「アフリカは良心の傷」、つまり人道支援の対象
だと言っている。アフリカを救うことは、世界が取り組まなければならない課
題になってきていると思う。それを無視して日本が国際社会で重要な地位を占
めることは難しいのではないか。それを国益と呼ぶかどうかは別として、国際
社会が一緒になって取り組まなければならない課題に、日本も取り組むべきで
あるということである。

(質問)途上国側には日本の経済発展の秘訣を知りたいというニーズがある。
技術協力に責任を有する政府でなく、商社・日本企業がそれを果たしてきたと
いう意見もあるが、JICAが果たした役割は何か?
(回答)民間企業等が貿易・投資を通じて果たしてきた役割の重要性は言を俟
たないが、日本のODA
も、民間による貿易・投資の環境を整備するため重要な役割を果たしてきてお
り、JICAもインフラ整備、技術移転等を通じてしかるべき貢献を行ってきたと
思う。

(質問)小泉首相が対中国ODA、そろそろ卒業と発言。どのような方針か?
(回答)円借款及び無償資金については結論が出ている。あとは技術協力をど
のレベルで行うかという話。中国には貧困が残っている。環境問題は日本に影
響をすぐ及ぼす。私見では、しかるべきレベルの技術協力は将来も続けること
が国益に適う。

(以上)

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Yuka Nagashima (Ms.)
Human Security Unit
OCHA, United Nations

2005/08/03

NY国連フォーラム 「フィールド・エッセイ」 第1回(1)

皆様、お元気でいらっしゃいますか。幹事の粒良です。

先日、誤ってお送りしてしまいました、「フィールド・エッセイ」を改めましてお送りいたします。第1回目は、本MLにもよく投稿されている、UNDPカンボジア事務所の小西洋子さんに書いて頂きました。

本企画「フィールド・エッセイ」は、フィールドでご活躍されている日本人の方に、フィールドでの主に国連の活動についてエッセイを執筆いただき、NY国連フォーラムのメーリングリスト・ウェブサイトを通じてこれを共有し、フィールドの現実についての理解を深めようというものです。

今回のエッセイは、2回に分けてお送りいたします。nyunforumの皆様におかれましては、ご感想などをお送りいただければ幸いです。

また、フィールドの国連機関に勤務されている方々で、本フォーラムの趣旨にご賛同いただき、エッセイを執筆してくださる方がいらっしゃいましたら、私までご連絡いただければ幸甚です。

粒良麻知子
Email: tsubura@zae.att.ne.jp

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 NY国連フォーラム 「フィールド・エッセイ」 第1回
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●小西洋子氏(UNDPカンボジア事務所)●

略歴:大学卒業(国際関係/国際法)後、日本およびカンボジアでボランティア活動に従事した後、イギリスにて社会開発の修士。JICE研究員としてJICA調査研究課にて各種国別・分野別援助研究会の事務局およびタスク(1998-2000年)、在フィリピン日本大使館経済班専門調査員として草の根無償を中心としたNGO支援および連携の促進、ODA広報等(2001-03年)。外務省、JICA、JBICで短期の仕事を経て、2004年9月よりUNDPカンボジア事務所のGovernance ClusterでGovernance Specialistとして勤務。

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カンボジアに着任して10ヶ月が経とうとしています。今エッセイを書いてみて、随分滞在しているのに最近来たばかりのような気がまだしています。

もともとは地方分権関連をやるはずだったのですが、ナショナルオフィサーのリクルートメントと重なったりして、現在、援助協調関連、情報アクセスと市民参加の促進、公務員制度改革(Public Administration Reform)、ICTと開発、マイクロファイナンスといったところを担当しています(担当分野は事務所のニーズやタイミングによって流動的です)。

来た当初はあまり仕事がなく、事務所で関連ペーパーを読み、マイクロファイナンス・イベントの調整を通じて事務所でのラインや仕事の仕方を学ぶという感じでした。11月にNY本部で短期研修を受け、その前後から、援助協調関連の引き継ぎを受け、ちょうど大きく動いていた調和化の流れになんとかついていく一方、UNDPが政府の援助調整機関(カンボジア開発評議会)に対して行っている支援プログラム[i]の年度評価の実施、2005年の活動計画づくりを政府機関に派遣されているアドバイザーと喧々諤々と行いました。私自身はこれまで調査やfundingする事業の審査・モニタリングを中心と仕事をしていたので、このように技術協力を実際に動かすのは新鮮かつ大変であり、まさにOn-the-job Trainingという感じでした。

2月にはローカルNGOが実施するICTを活用した障害者の雇用創出モデルの拡大支援[ii]の引継ぎを突然受け、同事業のスタディを精査・完成させるとともに、(同事業は本部が管轄する予算のため)NYとの予算の繰越のやりくりを行い、NGOに対しては事業終了の仕方を伝え、3月には事務所が外部委託する会計監査に突入(しかし、自分もよく分かっていないので、一生懸命UNDPの規則・手続きを勉強する)。その一方、よりガバナンス面を重視した「情報アクセスと市民参加の強化[iii]」という新規事業の立ち上げで、予算計画を立て、関係NGOと協議し、コンサルの公募を行い、同分野を勉強するとともにUNDP-APDIP[iv]が支援するIT政策にコメントし、公務員制度改革では、政府とドナー共同のテクニカルワーキンググループに参加して公務員制度問題について勉強するとともに、支援のための他ドナーとのコストシェアリングを検討するといった業務を行っています。

私はUNDPがマクロとミクロをつなげるところ、政策支援やアドバイスをしつつ、草の根で革新的なパイロットを実施しているのを魅力と感じて入ったのですが、こういったことをまとめるプログラム担当[v]についてみて、うまく頭の切り替えと時間の活用をすること、UNDPのモダリティ[vi]と手続きをよく理解し早く慣れること、またよく明示されていない事務所内の仕事の流れの把握とオペレーション担当とのコミュニケーションが重要だと感じています。幸か不幸か私はほぼ全ての異なるモダリティに携わり、調和化の流れでカンボジア政府のオペレーションガイドラインづくりに関わっているので、手続き面について実施と理論の両面から勉強させてもらっています。他方、透明性の確保の点から細かくオペレーション担当(調達・出納・契約等)が分かれており、担当者の役割や仕事の流れと必要手続き・書類を把握するのには、うちの事務所が交差点をはさんで4つの建物に分かれていることもあってなかなか大変でした。また、私が扱う事業のいくつかはハイレベルなイシューを含むため、バランスを保ちつつ事務所上司とアドバイザー両者を補佐・提言することが重要で、そのために情報収集・調整・専門分野の知識を深めるなど自己研鑽することが必要だと感じています。


((2)へ続く。)

NY国連フォーラム 「フィールド・エッセイ」第1回(2)

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 NY国連フォーラム 「フィールド・エッセイ」 第1回
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●小西洋子氏(UNDPカンボジア事務所)●

((1)の続きです。(1)で一部文字化けしてしまった段落も含めてお送りいたします。)

私はUNDPがマクロとミクロをつなげるところ、政策支援やアドバイスをしつつ、草の根で革新的なパイロットを実施しているのを魅力と感じて入ったのですが、こういったことをまとめるプログラム担当[v]についてみて、うまく頭の切り替えと時間の活用をすること、UNDPのモダリティ[vi]と手続きをよく理解し早く慣れること、またよく明示されていない事務所内の仕事の流れの把握とオペレーション担当とのコミュニケーションが重要だと感じています。幸か不幸か私はほぼ全ての異なるモダリティに携わり、調和化の流れでカンボジア政府のオペレーションガイドラインづくりに関わっているので、手続き面について実施と理論の両面から勉強させてもらっています。他方、透明性の確保の点から細かくオペレーション担当(調達・出納・契約等)が分かれており、担当者の役割や仕事の流れと必要手続き・書類を把握するのには、うちの事務所が交差点をはさんで4つの建物に分かれていることもあってなかなか大変でした。また、私が扱う事業のいくつかはハイレベルなイシューを含むため、バランスを保ちつつ事務所上司とアドバイザー両者を補佐・提言することが重要で、そのために情報収集・調整・専門分野の知識を深めるなど自己研鑽することが必要だと感じています。


他方、事務所運営で日本の組織と違って面白いと思うのは、office retreatとlearning sessionです。Office retreatは組織の運営見直しを行う機会を指し、数日、スタッフ全員が職場を離れてホテルで缶詰になって事務所業務の効率性向上やコミュニケーション改善のために組織の強みや弱みをいろんな側面から検討し、提言や行動計画をつくります。UNDPのように現地事務所にかなり権限が委譲されていて、事務所レベルで事業の形成・実施・フォロー・政策提言などを行っている場合、オフィサーの能力強化や組織内の迅速な実施体制が重要であるため、こうした現地組織の強化の機会が重視されているわけですが、それに加えて国際機関というマルチカルチャーで人事異動が多い環境での意思疎通の強化、カンボジアのように過去の経緯からナショナルスタッフがまだ十分育っていない中では、office retreatは事業実施の時間をとるけれども意義は高いと感じます。また、UNDPではマネジメントのサポートと見直しをするため、職員有志によるChange Management Task Forceづくりが奨励されており、私も参加して
昼食の時間にretreatのデザイン等をしました。

また、learning sessionは現在の代表のアイディアなのですが、毎週金曜午後に90分、現地を訪れている短期アドバイザーに専門分野やプログラムの説明をしてもらったり、各プログラム担当が研修結果を発表したり、新規分野・案件の発表とブレーンストーミングなどをしたりします。普段はお互い何をやっているのかよく分かっていませんが、こうした機会に他の担当のプログラムについて学んで議論したり、自分の分野や成果をまとめ発表するいい練習の機会になっていると思います。

(注)
[i] UNDP Support Program for Aid Coordination and Partnerships (2001-05)。実施主体はthe Cambodian Rehabilitation and Development Board at the Council for Development of Cambodia (CRDB/CDC)。
[ii] Using ICT in small scale business to create employment opportunities for disadvantaged groups in rural Cambodia。資金はThematic Trust Fund for ICT for Development(日本支援)による。スタディはon-line toolkitとしてウェブに掲載。http://www.un.org.kh/undp/ict4dToolkit/default.htm
[iii] Strengthening Access to Information and Civic Engagement through Community Information Centers (CICs)。資金はDemocratic Governance Thematic Trust Fund(NZ支援)による。
[iv] APDIP (The Asia-Pacific Development & Information Programme)はUNDPのITを専門とした地域プログラムでバンコクに事務局がある。
[v] UNDPでは事業担当をprogramと呼び、総務・契約・調達などを行う人々をoperationと呼んでいる。
[vi] ここで言うモダリティは日本ODAのような無償・有償・技術協力ではなく、実施主体によるもので政府機関主体(National execution: NEX)・NGO主体(NGO execution)・事務所直接実施(Direct Execution: DEX)の違いを指す。NEX・NGO実施の場合、プロジェクトマネジャーおよび実施は政府/NGO職員あるいは採用された調整担当になり、プログラム担当はプロジェクトのモニタリングを行う立場となるが、DEXの場合はプログラム担当自身がプロジェクト・マネジャーとなる。その他に、プログラム担当は事務所やknowledge networkでの担当分野の知識・経験の共有・提言、新規案件の開拓、他ドナーとのパートナーシップづくりとresource mobilizationが期待されている。

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エッセイ本文の転送・転載は禁止いたします。

粒良麻知子

2005/07/31

CAFTA米国下院議会通過

DC開発フォーラムおよびNY国連フォーラムの皆様

はじめまして。DC在住、ラテンアメリカ特に中米の民間セクター開発を専門としている菊地と申します。去る28日、米国下院議会をDR-CAFTA 自由貿易協定法案が、通過したので、同法案の内容、影響をまとめてみました。興味をお持ちの方は、目を通していただけますでしょうか。なお、添付したファイルのうち、CAFTA Summary は、米国貿易委員会のCAFTAレポート(202ページ)の要旨、CAFTAcomment1は、下記のコメントと同じものです。中米という地域的な問題をなるべくアジアに関心がある方にも、読んでいただけるものにしようと、腐心いたしました。


CAFTA米国下院議会通過

米国と中米5ヶ国および、ドミニカ共和国の自由貿易協定法案が、7月28日、米国下院議会にて、217票対215票の僅差で可決された。既に6月29日に同法案は、上院で可決されているため、8月一週に予定されている大統領の書名をもって、批准される。


I.今回の法案通過の意義

1)FTAA

米国議会貿易委員会のCAFTAレポートに指摘してあるように、米国にとっての今回の自由貿易協定は、発効したとしても、長期的に見て、大きな経済的な影響はないものと思われる。中米およびドミニカ(共)は、6ヶ国あわせて、米国にとって、輸出で12位、輸入で15位の相手であり、大きな貿易相手国ではない。しかも、既に80%の貿易品目は、各種の貿易優遇策で免税または、優遇税制のもと、米国に輸入されており、今回の自由貿易協定の影響は、一部の産業に限定される。むしろ、今回の協定は、FTAAを米国の主導権のもと、達成するための一歩としての意味が大きい。ブッシュ大統領も、この協定で「貿易」が、地域の生活を改善し、「民主化」に寄与し、ひいては、「米国の安全保障」に有益であるとして、議員を自ら、説得してまわった。

2)米国内の反対勢力対策

今次法案の主な反対勢力は、一部の農業品目輸出の盛んな州、および砂糖業界と労働組合であった。砂糖業界:オーストラリアやメキシコなど、一連の自由貿易協定において、強硬派と目されてきた砂糖業界は、米国のもっとも大きな政治寄付金拠出団体でもある。CAFTAレポートでも、砂糖業界を説得して、協定を受け入れさせるための記述が、多く散見された。実際、砂糖および砂糖加工商品の米国への輸入は、15年かけて、徐々に関税が下げられ、しかも、中米への割り当て量を課すというものであり、当面、米国砂糖業界は、保護される。労働組合:AFL-CIOは、CAFTAにより、米国内での労働が確保されないとして、FTAAおよび一連の自由貿易協定に表面上、一貫して反対を貫いてきた。しかし、米国の労働組合は、AFL-CIOにせよ、CALPERS(カリフォルニア公務員年金組合)にせよ、積極的に米国企業に株式投資し、ラテンアメリカを含む世界の金融市場にも投資しているため、表の反対表明ほどには、自由貿易による成長機会拡大に反対できない背景がある。そのため、組合内の強硬派と目されるトラッカーズなどの組合と指導部の間の溝が深まり、事実上、内部分裂していた。また、その一方で、AFL-CIOは、中米各国の労働組合と共同歩調をとって、CAFTAおよびFTAAに対しての圧力をかけることも、模索していた。しかし、これも、米国労働者の権利拡大を求めるAFL-CIOと、米国の労働者に比べ、劣悪な中米の労働者の労働条件の格差から、折り合いをつけることは出来ず、話は、具体的な進展を見せなかった。

3)対アジア(中国)戦略

7月28日、CAFTA法案が通過したことだけが、華々しく報道された。その一方で、中国貿易政策を厳しくモニタリングする法律が、通過したことも、目を留めておくべきである。CAFTAを通過させるために、中国への圧力を強めるということは、日本から中国への投資、及び、中国から日本製品の米国への輸出に対する牽制でもある。なお、FTAA締結目標とされている2005年という指標は、APECのボゴール宣言によるAPEC域内先進国の貿易自由化目標2010年に対して、より早い米州域内の自由化を達成しようということで、設定されている。


II.今後の課題

1)長期戦が予想される法案発効

今回、米国にて、CAFTA法案が、通過し、批准されることとなった。しかし、中米各国で批准されるまで、どのくらいの時間がかかるのか、いまだに不透明である。ちなみに、メキシコと中米北部三カ国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンデュラス)との自由貿易協定は、合意から発行まで、数年かかっている。今回のCAFTAが、FTAAを念頭においていること、また、貿易相手国が、メキシコよりも、はるかに影響力の大きい米国であることから、中米域内でも早く批准されるという見方もある。しかし、下記の社会的課題に対しての取り組みが、見られないと、長期戦も予想しうる。

2)NAFTAの残した社会的課題

NAFTAは、特に米国からメキシコへの直接投資増加をてこに、メキシコから米国への製造業の輸出を飛躍的に増加させた。そのことが、より、緊密なメキシコと米国の政策協力を促し、メキシコの信用力向上にも、寄与した。その一方で、メキシコの貧しい農業セクターは、米国の農産品輸出に対してなすすべなく廃業に、いたった。彼らは、大都市へのあてなき国内移動、または、米国への不法移民としての入国を選び、社会不安、失業率増大などを引き起こしている。既に、各研究機関のCAFTA分析でも、同様の社会的課題が、指摘されており、中米各国でCAFTAを批准するためには、政治家の政治的リスクを受け入れたリーダーシップが必要となる。各国のカトリック、学者などの有力なグループの反対に対しての説得も必要である。

3)対南米政策

FTAAを進めていくうえで、必要なメキシコ及び中米を自由貿易協定でまとめるのは、第一歩であり、今後、難しい南米の切り崩しが、待ち構えている。今年の米州機構(OAS)事務総長選では、最終的に南米の推すチリのインスルサ内相に鞍替えして、米国は、自国擁立候補が、敗れるという事態を防いだ。7月末の米州開発銀行総裁選は、危なげなくコロンビアのルイス・アルベルト・モレーノ駐米大使が選出されたが、チリとコロンビアを除く南米グループを切り崩す道のりは、平坦でない。


III.コメント

1)中米にとっての米国との自由貿易協定の意義

既に8割の米国への輸出は、各種優遇税制のため、恩恵を受けており、短期での目覚しい中米諸国にとっての影響は、ないと推定される。しかし、長期的には、米国からの直接投資をてこにした技術移転および輸出拡大が、期待されている。従来の優遇税制は、あくまでも米国からの一方的な恩恵供与であり、いつ米国議会で撤回されるかわからない不安定なものであり、投資誘致には、効果的でなかった。しかし、今回の協定は、二国間の取り決めであり、また、米国の駐米への関与を公言するものでもあることから、中米の信用改善に寄与するものとされる。

2)国際機関の協力

上記のような積極的な側面の反面、NAFTAにおけるメキシコ農民の生活が不安定になったことと、同様な問題が中米で起きるものとされている。そのため、世界銀行の中米ユニットでは、昨年、CAFTAの中米農業・水産セクターへの否定的な見解を発表している。しかし、今年6月のウォルフォビッツ総裁への交代により、「CAFTAは、教育、保健といった社会的側面に配慮し、農業セクターの競争力を高めることで、地域の成長に寄与する。」とし、CAFTAを成功させるために弱点とされた分野への援助を強化する方向に論調が動いている。

3)小国の開発戦略

中米のような小国が開発戦略を描く上で、どのように世界市場につながり、経営資源(技術、情報、資金、人材)の競争力を高めていくか、というテーマは、重要課題である。BRICSまたは、それに順ずる大国(例:メキシコ)と異なり、国際社会での発言力をもたない小国は、機動力を生かして機を見るに敏な政策決定を行うことが、数少ない武器の一つである。今回のCAFTAも、米国での批准を受けて、ボールは、中米諸国に渡った。批准を引き伸ばして、批准のための対価を高めるのもよいが、延ばしすぎて、機を逸すると、まったく外交カードとしての意味を失う。

2005/07/25

東京オフ会に出席して/援助は現場で起きている

NY国連フォーラム及びDC開発フォーラムの皆様、

オフ会幹事をしておりました国連フォーラム幹事の荒川と申します。

先日はお忙しい中、参加して下さった皆様、どうもありがとうございました!予想を大きく上回る数の方にお集まりいただいたおかげで、会が盛況に終わり、幹事の1人として、とても嬉しく思っております。この場をお借りしまして、ご協力いただいた皆様に私からも御礼の言葉を申し上げます。

一次会及び二次会ともに、肩書きや年齢などの壁を越えて、共通する関心の元に集まった方々が、活発な意見交換を行える場となっていたように思います。「壁」を越えて人を繋ぐインターネットの利点を生かした両フォーラムの活動の意義を改めて感じることの出来た一晩でした。

その一方で、私もよしはらさんや大島さんと同様、人と人が顔を合わせることや場を共有することの大切さを改めて感じました。顔を合わせたことで、参加していただいた皆様にはメーリングリストも、より身近な存在になったのではないでしょうか。

受付等をしていたため、残念ながら、全ての方の自己紹介を伺うことができなかったのですが、伺った方々の自己紹介はそれぞれの方の個性が出ていて、大変勇気付けられる印象的な自己紹介ばかりでした。特に、若い方々が、目を輝かせながら、ご自身について、語られていたことが心に強く残っています。

今後も定期的にニューヨークやワシントンDC以外の場所でも、このような機会を継続していけたら、新たな出会いや新しい価値観が生まれるきっかけにつながるのではないかと思いました。

末尾になりますが、一番最初に合同オフ会を提案して下さったワシントンDC開発フォーラム幹事の嶋影さん、大島さん、そして、両フォーラムの幹事を兼任されている粒良さん、どうもありがとうございました!
私自身もこれから開発を勉強する一人として、大変有意義な時間を過ごさせていただきました。本当にどうもありがとうございました。

今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

荒川麻衣子
ニューヨーク国連フォーラム幹事/ウェブ担当

東京オフ会に出席して/援助は現場で起きている

DC開発フォーラム、NY国連フォーラムの皆様

DC開発フォーラム・NY国連フォーラム合同東京オフ会の幹事を務めさせていただきました、大島千枝です。参加者の皆様におかれましては、お忙しい中ご参加いただき、誠に有難うございました。最終的に、1次会、2次会も含め75名以上(!)の大盛況となり、ご協力いただいた皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

ワシントンDCにいた頃は、その土地柄のせいか世代や組織を超えて自由に議論する機会が多かったのですが、日本に帰ってきてそのような機会がぐんと減ってしまい、少し寂しい気持ちがありましたが、今回のオフ会で志を同じくする方々にお会いできて、大変励まされました。よしはらさんがご指摘されたように、やはり、メールは遠く離れた人同士を結び付ける便利なツールではありますが、直接会って目を見て話さないと、真の信頼や共感や感動はなかなか生まれてこないのではと改めて感じました。

今回のオフ会は、社会人と学生が大体半々でしたが、紀谷さんがおっしゃるように実務者・研究者と若手の人たちをつなぐチャネルでもあったと思います。私は現在途上国開発とは関係のない銀行業務に関わっておりますが、将来どういった形で途上国に関わっていけるのかという新たな視点を発見できたり、皆さんの「夢」を伺って刺激を受けたりしました。

私自身、新たな出会いがあったり、久々の再会があったりと、大変楽しい時間を過ごさせていただき、直接的な人と人のふれあいの場の重要性を再認識しました。また、このような機会を設けられればと思っております。
改めて、ご協力いただきました皆様に御礼申し上げます。有難うございました。今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

大島千枝DC開発フォーラム/ラテンアメリカネットワーク

東京オフ会に出席して/援助は現場で起きている

みなさま よしはらけんご@外務省です。

小生の場合、胆石の治療のため、その日の前日退院したばかりでしたので、冒頭挨拶だけさせてもらって失礼しました。印象としては、老若男女含めダイヤの原石で、かつどん欲に自分を錬磨し続けているひとの集まりだという印象をもちました。ですので、話が長くなると言うことからポイント3つに自己紹介をしぼったのは妙案でしたが、最後をみていないのでうまくいったのでしょうか?

あと、紀谷さんが喝破されたように、ここはあくまで参入、退出自由のゆるやかな連合体です。ただ、ML上は本質論、高度な学術論になるとツリー(投稿に対する論争、問題提起)がぶらさがらなくなり、議論が続かない印象がありますので、オフ会はどんどんやった方がいいのだろうな、と考えます。小生は、ネットや衛星等高度な情報伝達の手段の活用も大事ですが、ひとを説得するのはやはり、ひとの五感に(食欲、目、鼻など)に訴えるものを介してだろうと考えていますので、大いに飲み、談じることが大事と考えます。

小生も、こどもが2歳弱ですので、前回は到底行けず、今回を逃すとオフ会に出るチャンスがないと、無理を押して参加してみた次第です。学生の方もそうでしょうが、結婚してこどもが出来ると会費は5千円をこえると出席にためらいが出ます。その点でも価格設定はよかったと考えます。

小生も、外務省では本省勤務しかありませんが、フィールドワークを重視しており、
地球環境課時代は、下手な自然保護官より現場を知っている、と環境省の方にも言って頂けるように最前線を徘徊していた次第です。 

冒頭だけ出席して印象めいたことだけですが。

(以上)

東京オフ会に出席して/援助は現場で起きている

DC開発フォーラム、NY国連フォーラムの皆様

在バングラデシュ日本大使館の紀谷@東京(一時帰国中)です。7月22日(金)夜に、DC開発フォーラム・NY国連フォーラム合同東京オフ会に出席させていただきました。

一次会60人以上、二次会35人以上の大盛況で、これまでメールでしか存じ上げていなかった多くの皆様とお会いすることができました。本オフ会幹事の大島千枝さん、荒川麻衣子さんをはじめスタッフの方々におかれては、企画・運営いただきどうもありがとうございました。また、両フォーラムの趣旨に賛同して、ご多忙の中ご参加いただいた多数の皆様こそ、今回のイベントを楽しく有意義なものとして盛り上げた主役だったと思います。

席上、JICAの戸田隆夫さんの司会のもと(以前DC開発フォーラムBBLでも司会を担当されていました)、DC・NYフォーラムの概要説明、吉村世銀副総裁兼駐日特別代表からのエールの言葉に続き、60人以上の出席者全員から、氏名・所属とともに、自分が実現したい「夢」の紹介がありました。

特に、多くの大学院生・大学生より、世界の貧困の問題に強い関心を持ち、ライフワークとして取り組みたいという「決意表明」があり、実務者としてこの分野で頭を悩ませながら仕事をしている私自身にとっても、大きな励みになりました。将来、このような人たちが、日本の、そして世界の開発問題への取り組みを担っていくのでしょう。

学生の皆さんの中には、中学生の頃から開発の仕事をしようと思い、学部からカナダの大学に入って政治学・開発学を勉強しながらNGOにも関わり、今回一時帰国中ということで参加された方、あるいは大学4年生で来春から青年海外協力隊に入って現場にまず飛び込もうと準備されている方など、それぞれしっかりとした考えを持って第一歩を踏み出されています。私自身、大きな組織の中にあっても、このような初心を持って仕事を始める人と、気持ちを共有していくことが大事だと感じました。

私からは、DC開発フォーラムの幹事の一員として、同フォーラムの概要説明をさせていただきました。2002年3月のフォーラム発足から3年以上が経ったこと、DCでのBBLが継続する一方でパリ、ロンドン、ジュネーブ、NY、途上国にも拠点が広がっていること、更には東京でもGRIPSやFASIDとの連携に加えて、今回のオフ会など参加者が徐々に増えていることを説明しました。

組織・場所・世代を超えて、「グローバルな開発戦略と、日本そして私たち個々人が果たすべき役割」について率直な議論を行い、刺激し励まし合い、行動につなげていくためのオープンなネットワークとして、今後とも本フォーラムは独自の付加価値を提供していけるのではないかと思います。

特に、人材育成という面で、第一線の実務者・研究者の問題意識や悩みを、若手の初学者の人たちに直接伝えるチャネルになると思います。逆に、若手の人たちには、このような機会を是非活用いただくとともに、単なる受益者にとどまらず、新たな発想で問題提起や情報提供をいただくことを期待しております。
幹事や他の参加者の皆様は、今回のオフ会に出席されてどのようなご感想をお持ちでしょうか?また、今後の活動のあり方についてどのようにお考えでしょうか?今後の本フォーラムの活動の参考のためにも、お時間がありましたら伺えれば幸いです。

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別件ですが、オフ会当日の昼に、FASID国際開発援助動向研究会で、「援助は現場で起きている-ODAの現地機能強化をどのように推進すべきか-」とのテーマでプレゼンテーションと議論を行う機会をいただきました。(ちなみにこのテーマは、「踊る大捜査線」で主役の青島刑事(織田裕二)が「事件は会議室で起こっているんじゃない。現場で起こってるんだ!」と叫んだ気持ちを、外務省経協局・現地機能強化班長の上田奈生子さんが汲み上げて使い始めたものです。)

プレゼンは、バングラデシュ現地での実務の視点と経験から、ODAの現地機能強化のあり方につき問題提起することを目的に、「現地で何が起きているのか」「現地でどのように対応しているのか」「構造的な問題は何か」「今後の具体策は何か」との4部構成で行いました。

今後の具体策については、(1)「政策」面では「内なる改革」への組織的な取り組み、すなわち決意の表明、関係者の巻き込み、担い手の明確化、成果の検証、(2)「人」の面では既存要員の能力強化と外部要員の活用、人こそが付加価値の源泉との発想のもとでの中長期的な育成戦略、(3)「情報」面ではインターネットの徹底的な活用、世界と日本の知恵の深化(内なるフロンティア)(4)「スキーム」面では情報の整理、簡素化・統合、予測可能性の向上について問題提起を行いました。

引き続いての議論では、人間の安全保障の実施面での課題、開発関連の日本の機関と国際機関の人事交流の重要性、NGOとの連携のあり方、現地で必要とされる人材の要件、要望調査の改善策、情報・知見の組織的な保持と活用(institutional memory)の必要性、中央と現地のマネジメントのあり方、ドナー協調が進展する中でのオーナーシップ強化の課題、外交と開発の関係などについてやりとりがありました。

本件にご関心がありましたら、冒頭パワーポイント・プレゼンテーション資料と関連席上資料へのリンクを、取り急ぎ次のウェブサイトに掲載させていただきましたので、ご覧いただければ幸いです。(追ってFASIDに議事録を作成いただける予定です。)http://www.kiya.net/articles.htm

また、現地機能強化については、本年2月に策定されたODA中期政策を踏まえつつ取り組みが進められているところですが、様々なお立場やご経験から、現状の問題点のご指摘や今後の具体策のご提案などありましたら、断片的なものでもお気軽にお教えいただければ助かります。今後の取り組みに極力反映させていきたいと考えております。

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更に別件ですが、7月25日(月)の昼にFASIDで、「グレンイーグルズ・サミットにおける開発問題」をテーマにBBLが開催される由です(講師:外務省経済協力局参事官・佐渡島志郎氏)。本フォーラムのテーマと深く関わっていると思いますので、ご参考までにお伝えします。

http://www.fasid.or.jp/chosa/forum/bbl/annai_132th.html


また、久しぶりの日本でテレビを見ていたら、23日(金)晩に、NHKスペシャルで「ナイジェリア石油争奪戦」という番組をやっていました。私自身15年前にナイジェリアに2年間勤務したこともあり興味深く見たのですが、石油収入が得られる一方で政府の汚職などのため貧困削減が進まなかった構造、石油を巡る米国とナイジェリアの戦略的関係、石油産出地域の不満による国内対立、政府首脳レベルの決意による汚職対策の進展振りなど、アフリカの開発問題の重要な諸側面をわかりやすく描いた良い番組と思いました。アフリカを巡る日本での議論も、このような多角的な視点からの理解と議論が深まり、更なる取り組みが進むことを期待しております。

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最後に、NY国連フォーラムの荒川さん、今回の幹事に加えてウェブサイトの立ち上げありがとうございました。阿部軍縮担当国連事務次長のインタビューも、早速写真つきで掲載されていて、まさにNYに拠点を置くネットワークならではの発信ですね。フィールド・エッセイの展開も楽しみにしています。

長い投稿になって恐縮です。読んでいただきありがとうございました。今後とも引き続きよろしくお願い致します。

<お知らせ>NY国連フォーラムウェブサイト

ニューヨーク国連フォーラム・ワシントンDC開発フォーラムの皆様

本日、東京合同オフ会にご参加いただきました皆様、大変おつかれさまでした。記念すべき第一回合同オフ会が皆様にとって有意義な会でありましたなら幸いです。吉村世界銀行副総裁におかれては、ご多忙の中、 ご足労いただき、誠にありがとうございました。この場をお借りして、改めて感謝の意を述べさせていただきます。この会を機に、両フォーラムの結びつきが一層、強化され、新たな動きが生まれる原動力となることを願います。

さて、今般、ニューヨーク国連フォーラムでは新たな活動の一端としてウェブサイトを立ち上げました。下記のリンクよりご覧ください。早速、 「お気に入り」にブックマークして頂けますと幸いです。

http://unforum.org

メーリングリストのアーカイブとしての従来のBlogに加えて、過去の勉強会の記録(近日掲載予定)を始め、メーリングリストと連動させた、新たな 企画を閲覧することができます。

1)国連フォーラム・インタビューシリーズ

国連を含む国際機関の活動に貢献してこられた方々、国際社会が直面する問題について深い知見を有する方々などに、これまでのご活躍について国連フォーラムが独自にインタビューを行います。

2)フィールド・エッセイ

国際機関のフィールド・オフィスで活躍されている若手の邦人職員の方々に、現地での活動の様子をエッセイ形式で綴っていただきます。

今後とも、国連フォーラムの活動展開にどうぞご期待ください。

ニューヨーク国連フォーラム幹事一同

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾

国連フォーラムの皆様、

こんにちは、OCHA人間の安全保障ユニットの長島由華です。ここ何日かひどく湿度が高かったニューヨークも、昨日と今日は少し落ち着いていて、なかなか気持のいい日です。
NY国連フォーラム・インタビューシリーズの第一弾。NPTという非常に大切かつ難しい問題でしたが、阿部事務次長がとても分かりやすくお話ししてくださったので、私のような完全なる門外漢も興味深く読ませていただきました。そして、インタビューの内容からは少しずれてしまいますが、読ませていただいて、門外漢なりにこんな事を思いました。

今のところ世界で唯一の被爆国である日本は、これからもその体験と核反対のメッセージを世界中の人びとに伝えていく努力を地道に続けていくしかないようですね。ただとても心配なのが、日本のその地道な努力が実を結ぶ前に同じような悲劇が再び起きてしまう可能性が、現在の世の中には十二分にあるという事です。そうならないために、私たちにはいったい何ができるのでしょうか?

以前、ワシントンDCの国会図書館で国宝展を見た事があります。そこにはベーブ・ルースの野球バットやスーパーマンの漫画と並び、ニューメキシコ州で行われた世界初の核実験後のキノコ雲の写真が展示されていました。それを見て私はものすごく驚きましたが、アメリカ人や他の国の友だちにその事を伝えると、「なにがおかしいの?科学的功績なんでしょ?」と正当化されてしまいました(まさしく長田さんのコメントそのままです)。それを聞いてさらに驚きましたが、それと同時に「ああ、被害者である日本人が直接伝えていかなければ、原爆の恐ろしさと苦しみは他の人たちにはなかなか伝わらないんだな」と痛感し、とても悔しい思いをしたのを覚えています。

例えば、私が小学生のときに読んだ『はだしのゲン』は今や各国語に翻訳されているようですし、これからも更にいろいろな媒体/方法を通じて体験談が受け継がれて行く事を祈っています。また、それらの努力が無にならないように、もっと積極的で世界的なキャンペーンを行っていく必要があるのかもしれません。そしてさらに、私たち自身が長崎・広島での歴史に関心を持ち続けて語り継ごうとしなければならず、だからこそ私たちの世代が歴史をしっかりと勉強し、感情論ではなく現在の状況も含めた総合的な視点で世界に伝えていかなければならないのでしょうね。

これからの世代と世界中にこの体験を伝えるために、NPTやCTBTそして核抑止などと平行して、もう一度歴史をさかのぼって勉強をしてみようと思わされた、インタビューシリーズの第一回目でした。

長島

「国連フォーラム・インタビュ ーシリーズ」第一弾

小谷さん、田瀬さん、長田さん、片桐さん、NYフォーラムの皆さんへ

コロンビア大学を修了し一時帰国中の中村秀規です。 貴重なインタビューとコメントの投稿をありがとうございます。

インタビューを拝読してまず、現在、実際に核兵器が国家、非国家それぞれのアクターによって使用されるリスクはどの程度あるのだろうかと考えました。インタビュー中に説明のあった、核不拡散と軍縮との、一方が進まなければ他方も進まない膠着状態を打破するようなインセンティブが生まれるほどは、認知されているリスクが大きくないのではないか、と考えました。一方で、冷戦後、とりわけ9/11以降、非国家主体への拡散が危惧されており、また「政治的道具」としての保有のみならず、報復として、または肯定的な価値を持った死の贈与として、使用それ自体を目的とした獲得も可能性としては否定できないかと思いますが、こうした実際の不確実さの程度がよくわからないと感じます。今後実際に核が使用されるまで、核の透明な管理に向けての動きが進まないのでしょうか。核拡散や核管理の不備が実際に核使用のリスクを高め、また非国家主体による破壊行為に対して少なくとも核を使用して応ずることはできないと、核保有国によって認知されうるなら、不拡散と縮減とを同時に進める可能性があるのではないかと考えました。

中村秀規

2005/07/20

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾

皆様、

ペンシルベニア大学の片桐と申します。長田様、小谷様、非常に有益なご投稿をどうもありがとうございました。長田様のご意見は私の専攻にある程度関連しているので、今回は短いですが珍しく議論に参加できたらと思います。難しい問題なので、部分的にですがお答えします。

長田様の第一の問題点である、文民統制の懸念は非常に良い点で、よく思われるのとは逆に、「実際は軍人が戦争に対してより注意深く、逆に文民が戦争に走りやすい」という考えに沿っています。確かにアメリカに核不使用の保障がない事、そして有事の懲罰メカニズムの欠陥は心配の種です。しかしながら国家のリーダーはほぼ常に理性的です。通常兵器の使用にも増して、核兵器の場合はなおさらです。一般的にブッシュならびに現政権の安保チームは核兵器の使用に関しては高度の理性を見せており、威嚇・抑止を目的としての「政治的道具のための核」と呼ばれる理由はここにあります。阿部国連事務次長のご指摘もここにあるのだと思います。

しかし話を一歩進めますと、実際アメリカのような国家が核を使うという状況を予想するのは非常に難しいと思われます(911で2000人以上の犠牲者を出し、不屈の自由作戦展開中にも現在のイラクでも小型核を使う機会が何度もあります)。いわゆる「政治的道具のための核」、「最後の手段としての核」という問題ではなく、核兵器は脅しとしての利用価値さえも疑われる武器として考えられると思います。その圧倒的な破壊力とそれに伴うコスト(外交的孤立、経済制裁、報復の可能性、評判など)を考慮する場合、軍事的な効果を除いて核兵器の政治力は最小限だと思います。このような理由から私は核使用に対して楽観的であり、問題視するべきなのは、より抑止の効きづらい通常兵器の使用だと思っています。

長田様の第二の点に関しては同感です。テログループの経営側を除く多くのテロリストエージェントにとってはアメリカの核反撃に基づく抑止は効果が低いでしょうし、この点で今後もアメリカは問題を抱え続けると思います。
>3.核廃絶後の核抑止体制と安全保障体制について、軍縮関係者はどのようなビジョンがあるのか興味を感じました。もし国家が核を持たない世界秩序が実現するとしたら、核兵器保有の防止と懲罰は現在よりも一層厳格かつ迅速になる必要があると思いますがどうでしょうか?

私は軍縮専門家ではありませんが、核廃絶後の世界が仮にできたとしても、考えられるのは国家が核とは別のいわゆる「絶対兵器」を開発、配備し、冷戦中見られた相互確証破壊が別の種によって維持され、結果として軍事均衡が守られる形になると思います。通常軍備による一部の国家の連合が核拡散レジームに介入し防止するという考えは理解できますが、ではそれらの間での紛争は核という(もしくは他の型の)絶対兵器なくしてはエスカレートする力が強まり、軍縮とは逆の、いわゆる軍拡の方向に向かってしまう可能性も考えられます。長田様が最後に仰られる「核にあふれた世界は危険ですが、核のない世界も厄介に思われます。」の点は理解でき、基本的に同感なのですが、核以外の兵器(通常兵器含む)でも軍事抑止を維持する事が可能だと思われ、長田様の懸念に対する答えとしては、強国が通常兵器以外の兵器を配備し抑止しあい、結果としてバランスが形成されると思います。

国際安保学に出てくる概念をここで一つ紹介したいと思います。Glenn Snyder という政治学者が出した案で、stability-instability paradox というのがあります。何を意味するのかというと、核戦争は常に相互確証破壊によって抑止されています(従って stability)が、通常戦争はその上限度を知らず、国家は核使用のレベルにエスカレートするまで通常兵器の使用は許される、従って通常戦争の可能性が高まる(従って instability、という逆説です。

これらの考えはいずれにしてもテロリストに対しては大した問題にはならないとは思いますが、彼らの打倒の為核は必要なく(そしてコストが高く)、通常兵器の大掛かりな使用が中心になると思います。

駄文失礼しました。

片桐範之

Warmly,Noriyuki (Nori) Katagiri, Mr.Ph.D. student, Dept. of Political Science University of Pennsylvania http://blog.drecom.jp/norinorimissile 

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾

NY国連フォーラムのみなさま。

田瀬@国連事務局・人間の安全保障ユニット

阿部局長におかれてはお忙しい中インタビューを受けて頂いてありがとうございました。また、軍縮局でインターンをされている小谷さんにおかれては記録をきちんとまとめて頂いてありがとうございました。「国連フォーラム・インタビューシリーズ」については今後もいろいろな方々にお話を伺って、これをMLと近々立ち上げるフォーラムのホームページで(こちらは写真入りで)紹介したいと考えています。

今回、第一段として阿部局長にお話を伺ったねらいとしては、「軍縮・不拡散」という国連の活動が、その内容が(こういう言い方は失礼かもしれませんが)地味で、時間がかかり、かつ一見して非常に難しそうなので、安保理改革やPKOなどの話と比べるとなかなか華やかな議論にならない、しかし極めて重要でなおかつ日本が大きく貢献している分野であるのでフォーラムで議論してみたい、ということがありました。阿部局長からは非常に明快なお話を伺うことができて、私自身たいへん勉強になりました。

長田さんからも興味深い投稿がありましたが、私は次のような感想を抱きました。私も軍縮不拡散については門外漢ですので誤解等があったらご指摘下さい。

1.まず、軍縮不拡散はほかのどの分野にもまして「辛抱強さ」が必要な分野だと思いました。多数決にすると分離する国が出てきちゃうのでコンセンサスルールを貫かざるを得ない、一方それで物事が動かないのでマルチラテラリズムそのものの信頼性が損なわれようとしている、しかしほかに機能する枠組みはおそらく存在しない、というジレンマの中で、自国の国益を守りながら国際的な規範を作り上げるのは本当に厳しい世界だと思います。開発や安全保障などいずれの分野においても「国連で行われている議論は無意味だ」といった批判がありますが、私は、時間がかかっても少しずつでも「ルールづくり」をすることが、10年後、20年後の世界の形を明確に変えていくものと信じています。その意味で、軍縮不拡散への取り組みは、厳しいですがやりがいのある活動だと感じます。

2.アメリカというのは不思議な国だと思います。民主主義の高い理想と自分のことしか考えない貪欲、すごくいい面と悪い面がそれぞれの両極端で共存していて、生活していても自分のポジションをどこに置くべきか、考えはじめると実はとても難しい国なのかもしれません。阿部局長はこれからどこかの国が核を使うとすればそれは非常に乱暴な独裁国家だろうと述べておられますが、私は次があるとすればやはりそれがアメリカである可能性は排除できないと思います。乱暴な独裁国家は核を使用することで生じる報復の結果を容易に想像できるでしょうからむしろ使わないのではないか、逆に長田さんのおっしゃる通り、米国の政治や世論には自国の安全を守るためには他の国の犠牲は仕方がないという風潮が確かにあるので、歴史が繰り返されるのではないかという懸念を感じます。

3.また、これも長田さんが言及されていますが、今後はテロリストをはじめとする非国家主体の存在が無視できなくなってくると思われ、そのことがアメリカを含む大国の立場に大きな影響を与えるんだと思います。原子力供給国グループのように、軍縮・不拡散の多数国間の枠組みにおいて、テロや民族紛争といった要因をシステミックに取り込んでいくことが今後ますます重要になってくるのだと思います(すみません、他にどのような取り組みがなされているかまったく知らないままに言ってます)。

4.日本はこうした難しい枠組みの中で相当に大きなリーダーシップを発揮してきていると感じます。ただ、日本の人々、特に若い人々がそれを知っているかというとそうでもなく、安保理やODAの華やかな議論にやや隠れてしまっている感があるように思います。特に安保理改革の議論においては、日本が軍縮不拡散分野で果たしてきた役割がもっとクローズアップされていいのではないでしょうか。

まとまりがあるわけでもなく駄文ですみません。また投稿いたします。みなさまのご意見が伺えればと思います。

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾


NY国連フォーラムの皆さんこんにちは。

 ラトガーズ大学の大学院の長田です。小谷さん、非常に興味深い投稿、ありがとうございました。ぼくは軍事問題は専門ではありませんが、いくつか思ったことを書かせていただきます。

1.阿部信泰国連事務次長のアメリカの核使用に対する態度についての評価ですが、アメリカ社会の軍事力行使一般と核使用についての認識はどのくらい楽観できるものなのか、疑問を感じました。その理由の一つはアメリカは軍事力のいわば「アウトソーシング」、一種の傭兵化を進めていることです。徴兵制を廃止して以後のアメリカ軍兵士の出身階層が貧困層に偏ってきていること、民間軍事会社(PMF)の利用を進めていることなどを思うと、アメリカのマジョリティが戦争を自身の負担としてとらえる動機は弱まっているのではないか、と思いました。ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツなど戦場に行ったことがない人々がイラク戦争を決定した、ということが、将来のアメリカの、戦場での現実を知らないタカ派による軍事力の乱用と疲弊を示唆しているように思われますが、どうでしょうか。ブッシュ政権は小型核兵器の使用についての研究も決定していますよね。また、多くのアメリカ人は依然として日本への原爆投下を正当化しています。原爆はアメリカの科学技術と物量の優位に基づく軍事的優越のシンボルとしてアメリカ人には受け止められぁw)€トいるように思います。

 要するに、アメリカ人の大半は自分達は戦場に行くことはないし、科学技術と物量で優越しているアメリカは原爆を落とす側で落とされる側ではない、という認識が強固で、そこには核の保有と使用を放棄する契機が弱い。これがどう変わるか、どう変えるかが鍵だと思います。

2.こうしたアメリカ側の認識は、核の小型化と小規模集団による核自爆テロの危険性が国民レベルで感じられてようやく変化するかも知れませんね。自分が死んでもいいと思っている相手にはアメリカの核抑止は効かないですから。情報化と共に大量破壊兵器の知識もオウムのサリンガスの知識のように必然的に非国家アクターに広まるでしょうが、その時一番狙われるのがアメリカだと思います。

3.核廃絶後の核抑止体制と安全保障体制について、軍縮関係者はどのようなビジョンがあるのか興味を感じました。もし国家が核を持たない世界秩序が実現するとしたら、核兵器保有の防止と懲罰は現在よりも一層厳格かつ迅速になる必要があると思いますがどうでしょうか?

 現行の国連システムやコンセンサス方式では迅速な対応は難しいでしょうから、通常軍備による一部の国家の連合が今以上に介入の度合いを強めることになるのではないでしょうか。「民主国家」の連合が戦争を抑止する、ということでしょうか。

 また、テロ組織を排除できない破綻国家へのてこ入れと介入のレベルも高まる必要があります。核にあふれた世界は危険ですが、核のない世界も厄介に思われます。

4.日本の役割ですが、自国の教訓とアメリカの認識のギャップをどうやって埋めるか、日本側からアメリカ側への原爆投下についての認識をどう改めさせるかについて、フォーラムの皆さんはどのような意見をお持ちでしょうか?

 日本は安保同盟の活動の一環として大量破壊兵器問題での意見交換を行って、核がアメリカに対して使われる危険性への認識をアメリカ側に喚起していくことはできると思います。

 以上です。長文失礼しました。


Tatsuya Nagata
PhD Student in Global Affairs,
Center for Global Change and Governance,
Rutgers, The State University of New Jersey, Newark

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾・パート4(最終回)

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾 ┃
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●阿部信泰国連事務次長 (軍縮局担当)●


ーーー昨日送信されたパート3からのつづきーーー


5.米国

Q.この分野でのアメリカのリーダーシップの重要性とは何でしょう?同盟国として

日本ができる役割とは何だとお考えですか?

A.今回の会議に限って言えば、アメリカはおそらく核不散、特に北朝鮮・イランが核計画を進める問題を止めようという政策目標があったと思うのですけれど、会議で何ができるのかを冷静に政治学の手法に基づいてシミレーションをしてみれば、その目標は達成できないという結論に達したと思うんです。コンセンサスルールですから
イランが反対をし、北朝鮮に同調する国なんかが反対したら何ら強い方針が出せないと読んだんだと思うんです。

同時に、逆にアメリカに対して核軍縮をもっと進めなさいという要求が出ることが予想されていたのですが、アメリカは国防省を中心に、今これ以上はっきり約束はできないという議論が非常に大きい。彼らも会議に臨むにあたってここは守らなきゃいけない、ここは取りたいという立場があったはずですが、分析してみると取る方は取れそうにない、そうなると守る方で譲ることはないという結論に至ったんじゃないでしょうか。現政権の中心的考えは、世界の民主主義・自由経済体制の維持にはアメリカが強くなければいけない、そのためには核も持たなくてはいけないというものなんです。ですのでそれを制約したり軍縮を進めようという議論については、今は気にし
ない方がいいという結論になります。今の核軍縮の状況を前に進めるためには、アメリカが考え直してくれないといけないですね。

しかし核兵器は非常に威力の大きい兵器で、どんなに小さく改良しても、相当の放射性物質による被害がでるわけです。そう考えるとアメリカのような文明国にとっては非常に使いにくい兵器なんですよ。しばらく前にNATO軍のコソボ空爆で、民間人が何十人と乗ったバスが誤って爆撃され被害が出た時にも、アメリカ国内でこういう攻撃はやめるべきだと大きな反響が出たんです。しかし考えてみると世界中にこんなに自国の戦争のやり方を批判できる国なんてそうないですよ。考えてみて下さい、太平洋戦争中の日本でそんなこと言ったらどうなりましたか?旧ソ連時代のソ連でそんなこと言えますか?

ですからいろいろ批判はありますけど、アメリカっていうのは人道的な問題、戦争による被害は最小減にすべきだという意見が非常に強い国なんです。そういう国であればあるほど核兵器が使えない。おそらくこれからどこかの国が核兵器を使うとなると、やっぱり非常に乱暴な独裁国家でしょう。今の共和党の政権は戦争を遂行するため悪いニュースは抑えようとしている。でも残りの半分の民主党はものすごく強く批判しています。少なくともそういうことができる国では核兵器はやっぱり使いにくいんです。私は、アメリカの長期的利益から言えば核兵器はなるべく使わないように、できるだけ早く減らすように、リーダーシップを取ったほうが賢明だと思います。そういう風にアメリカが考えを変えてくれれば軍縮・核不散分野で世界を引っ張って行けるしね。しかし今は残念ながらそういう考えが主流を占めていないんです。

日本は非常に難しい立場にあって、同盟国ですからアメリカの軍事力にも依存して防衛をする。その中には核戦力もあるわけで、今からそれを全面的に批判するわけにもいかないんですね。にもかかわらず、日本としてはやはり、国民の過去の体験、現在の世界情勢、それから先ほど申し上げた人道問題に関する先進国としての立場からすれば、やはり核はできるだけ減らして、しかもできるだけ早い時期になくす方向にもっていった方がいいんじゃないかという考えですし、それをアメリカに根気強く説得すべきではないでしょうか。そういった意味でも日本は、核実験禁止条約は早くアメリカも批准すべきだと常に訴えているんです。ですから同盟国であるけれど言うことは言うのが大事なんじゃないでしょうか。すぐには効果は出ないかもしれませんけど、長いこと言い続けるのが大事ですね。

(了)

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フォーラムに参加されている皆様からのご意見・感想等をお待ちしております。

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾・パート3

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾 ┃
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●阿部信泰国連事務次長 (軍縮局担当)●


ーーー昨日送信されたパート2からのつづきーーー

4.軍縮・核不散分野で国際社会の現体制が抱える問題

Q.近年のマルチラテラリズムの機能の低下が叫ばれていますが、その原因とは? 各国のNPTの信頼が、今回の会議の結果により揺らいでしまったと思われますか?NPT体制全体に直に崩壊の危険が高まったと言えるのでしょうか?軍縮を求める非同盟諸国対一国主義的なアメリカ対マルチを好む欧州などの対立の原因、コメントをお願いします。

A. 今回の会議が上手くいかなかったのは、非常に厳格なコンセンサス・ルールがあって、一国でも反対すると会議が進まなくなる、というのが大きな要因の一つでしょう。これはジュネーブの軍縮会議がなかなか進まないのと同じで、手続き問題決定すら全員意見が一致しないといけないのです。このコンセンサス・ルールを変えようという動きがありますが、変えるのにもまたコンセンサスでないといけないのでなかなか動かない。コンセンサス・ルールは軍縮問題のように安全保障という国家の存亡に関わる非常に重大な問題については、ある意味ではやむをえない面もあります。

軍縮は国家の防衛という主権の中心となる問題なので、もしコンセンサス・ルールを緩めて多数決で決めても、おそらく反対国は離脱してしまうでしょう。そうすると仮に核兵器をやめようという決議を2、3の国が反対したにもかかわらず多数決で通しても、これらの国は核を持ち続けるかもしれない。そうすると何の意味もないんです。ですからそういう国に結論に従ってもらうには、やはりプロセスに入れなくてはいけない、やはりコンセンサスが必要になるというジレンマにあるんです。そこをどう克服するかが非常に難しい問題です。
北朝鮮のように一度コンセンサスで決めても離脱してしまう国もありますが、現システムでは抜けちゃうとどうしようもないんです。そこをどうするか。一つ言えることは、こういうマルチラテラリズムでNPT会議をやって何も結果が出なかったのは物事の流れとしては当然しょうがないので、関心国だけが集まって何かをしようという動きが強まるのはもう避けがたいということです。拡散安全保障イニシアティブ(PSI)の推進は、会議が失敗した状況を踏まえるとまったく好ましくないとも言えない。この動きがNPTと同じ方向に進み、条約を補完し強化する限りは悪いこととは言えないですね。

他には原子力供給国クループ(NSG)っていうのがあります。これは基本的に原子力関連資機材・技術の輸出管理ですけど、テロリストを匿っている疑義のある国などには流さないように規制を強化する。これは基本的にはNPTの趣旨に沿うわけですが、現実には疑惑を否定する国にも輸出が制限される可能性があり、それらの国は核の平和利用の権利が侵害されると不平を言っている訳です。その辺りの線引きが難しくなってくるんです。現状は輸出側が正しいと思う所で線を引いているのですが、輸入する側も話しあいに加わって公正に線を引くべきだと言う議論があります。それはまさに今回の会議で検討すべき項目だったんですが、それを含めて何も結論が出ずに終わってしまった。そうすると、皆で集まって結論が出なかったんだから自分らでやるしかない、となる訳です。

だからといってNPT体制が崩れるかと言うとおそらくそうはならないでしょう。但し、あきらかに信頼は薄れるだろうし、NPTに入る意味を疑問視する声は益々強まるでしょう。例えばエジプトのような国はそういう考えをもっているんですね。「自分はNPTに入ったために色んな輸入輸出制限を受ける、IAEAの査察も受けなきゃならない。なのに隣のイスラエルは条約に入ってないから特には問題はないとされ、核も持っているらしいし、まったく野放しになっている」と、不満は強まる訳ですよ。それが、エジプトが今回の会議で非常に抵抗した基本的な原因です。

それから、例えば北朝鮮が条約を脱退し核兵器の開発を進めていると、周りの国が「何で自分たちは妥協しなくちゃいけないんだ」と考えるのは自然の成り行きでしょうね。そもそも北朝鮮のような国が核への道に進まないように自分らは非常に複雑なIAEAの査察等を受け入れているのに、一体それを受けて何の意味があるのかと思うでしょうね。だんだんIAEAの査察なんてまともにやってられないといった国が増えてくる。ですから非常にマイナス効果が大きいんです。

ただし、だからといって日本等の国が政策を変更して核兵器の計画を進めるかというと、おそらくそうはなりません。やっぱり日本国民の総意がなかなかそうならないでしょう。ですからいろんな危機が訪れると言われていますけど、かといってそれはエジプトにしたってじゃあ明日脱退を宣言して核軍備が進むかと言うとそうは簡単にいかないんですね。NPTはすぐには崩壊しないと思いますが、だんだん説得力・影響力が弱まるのは避けられないでしょう。

(パート4につづく)

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フォーラムに参加されている皆様からのご意見・感想等をお待ちしております。

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾・パート2

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾 ┃
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●阿部信泰国連事務次長 (軍縮局担当)●


ーーー昨日送信されたパート1からのつづきーーー


2.国連への外務省からの出向者として

Q.日本の政府関係者が国連の要職を務めることの利点は何だと思われますか?この分野に限らず政府職員を国連に送り込むことによって日本は自国の意図を反映できるのでしょうか?

A.軍縮の関係の交渉というのは基本的には政府間の交渉ですから、軍縮問題について議論をしたり理論を組み立てたりしているのは政府関係者が多いんですね。もちろんアメリカのように民間の研究機関が発達していてそこで研究している人もいますけど、そういう人も大体は政府で軍縮もやって時々研究機関にきてやっています。政府からまったく離れて知識や技術を身につけるのは非常に難しいので、国連も軍縮関連の担当者はそういう人材のいる所からリクルートしているわけですね。私もそういう意味で採用されたわけですけれども、一旦国連に入りますと国連のために働くわけであって日本政府のためではないので、私もそういう心掛けで仕事をしています。

日本から来てここで軍縮を担当をして割とやり易いのは、日本の軍縮問題に関する方針は国連の主流の考え方に近いからなんですよ。あんまり心の葛藤もなく悩まずにできるということは恵まれていますね。これが基本的に国連の主流とは違う方針の国から来た人だと非常に難しいと思うんです。いくら建前は国連としてやるといっても頭で切り替えないといけないですしね。

3.被爆60年、世界状況の激変、国際社会にとっての脅威

Q.広島・長崎の被爆者や戦争体験者の世代の高齢化を念頭に現在、軍縮・核不散分野で国際社会が直面する脅威に、国際社会は具体的にいかなる措置を取るべきだとお考えですか?

A.軍縮というのは兵器によってどんな悲惨な目に遭うかを知ることが出発点なので、原爆であれば被爆の結果を残し、世界のできるだけ多くの人に知ってもらう、特に政治に携わったり世界の指導者になる人には是非ともよく理解して政策を決めてもらうことが必要なんです。ですからNPT再検討会議でも日本からだいぶNGOの方が来られたし、展示もしましたね。ああいうことで条約の議論をする人々にも実際どういうことなのかよく理解してもらうことが非常に大事なので、この軍縮局もかなり精力的に世界各地のNGOや研究機関とも常に連絡をとって、いくつか協力してプロジェクトを進めています。それは今後とも続ける必要があります。

被爆体験世代が少なくなっている今、広島・長崎等でいろいろ文献にしたり画像にしたり記念館に展示したりと努力をしていますが、なかなか工夫しないと難しいのです。特に今は核実験は各国もうやめてますが、原爆水爆実験は当初は大気圏内でやっていたんですね。大きなキノコ雲ができて、しかも放射線物質が落下し望ましくなかったんですが、それによって人々はみな核兵器がどんなに恐ろしい物か目に見えていたわけです。ところがあれがその後禁止されて地下に潛ってしまって、今はインド・パキスタンなんかが実験しても地震が起こるだけですね。それ以上のことは人々は理解できない。そうなってくると、どれだけの害があるかを理解してもらう工夫をいかにするのかが非常に大事です。

それを踏まえた上で核を減らし核拡散防止をしなくてはならないのですが、9・11後はテロリストが核を使うんじゃないかと非常に危機感が高まっています。あるいは北朝鮮がNPTから脱退して核計画を進めているということがわかった段階で、またはイランに核疑惑が持ち上がった時に、拡散を止めなきゃいけないと。ところが拡散防止を今回の会議で議論しようとしてもなかなか各国はそれに乗ろうとしない。なぜかというと、軍縮がそもそも進んでないじゃないかという議論があって、それが進まないならば不拡散の努力にはこれ以上協力できないという国があるからなのです。

そういう議論は当初から予想されていたので、事務総長のメッセージの中に二つの問題両方に取り組むべきこと、しかもどちらかを片方の人質にとってはならないことをちゃんと入れたんですけどね、実際会議ではまさにそういう状況になってしまった。それが失敗の基本的な原因です。事務総長は今後ともこれを克服すべきだと訴え続けます。おそらく極端な国を除いたほとんど多くの国はそうはいっても核拡散を止めなきゃいけない、そのために協力すべきだと考えているし、核兵器保有国も増やすべきではないという考え方はあるのですが、それを明確に約束しなさいと迫られると皆ちょっと待って下さいとなるんです。そこをもう少し常識論に戻して、もう少し素直に努力できる環境をつくり直すというのが重要です。

(パート3につづく)

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フォーラムに参加されている皆様からのご意見・感想等をお待ちしております。

「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾・パート1

NY国連フォーラムの皆様

このたび、「国連フォーラム・インタビューシリーズ」という新企画を立ち上げました。第一弾は長文のため、4つのパートに分けて4日間にわたりお送り致します。

同インタビューシリーズが、フォーラムのディスカッションのきっかけになれば幸いです。

NY国連フォーラム幹事小谷瑠以

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┃「国連フォーラム・インタビューシリーズ」第一弾 ┃
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小谷瑠以:ニューヨーク在住 コロンビア大学


●阿部信泰国連事務次長 (軍縮局担当)●

略歴:あべ・のぶやす 1945年、秋田県生まれ。東京大学法学部中退後、67年外務省入省。軍備管理・科学審議官や在ウィーン国際機関代表部大使、駐サウジアラビア特命全権大使を歴任し、2003年7月、日本人としては5人目となる国連事務次長に就任。

国際社会の第一線で国連に関連するお仕事をされている方にインタビューする今シリーズ。記念すべき第一弾は、現在NY国連本部軍縮局にてご活躍の阿部事務次長に今日の軍縮・核不散分野について5月に約一ヶ月間開催された2005年核兵器不拡散条約運用会議(以下、NPT再検討会議)の結果も交えてお話を伺った。

私は阿部局長がトップを務める軍縮局にてこの夏インターンをしており、NPT再検討会議にも携わる事ができた。

核兵器不拡散条約は、アメリカ、ロシア(旧ソビエト)、イギリス、フランス、中国の5ヶ国を核兵器国、その他を非核兵器国と定め、究極的核兵器廃絶を目標としてこの2つのグループの役割分担を明記した多国間条約である。核兵器国は、核兵器の供与や開発製造の支援などが禁止され、核軍縮の義務が課されている。締約国である非核兵器国は核保有の権利を放棄し国際原子力機関(IAEA)の査察などを受けるかわりに、原子力の平和的利用の権利が与えられている。現在188ヶ国が締約しているこの条約は、1970年に発効されて以来、軍縮・核不拡散の礎として重んじられ、1995年5月には無期限延長が決定した。しかしこの条約の運用を検討する5年に一度の今会議は、3つの主要委員会全てにおいて実質事項に関する合意文書を作成する事が出来ず、事実上決裂した。

今会議では、本来は開会前に決定されるべき議題が、会議開始後の10日目にやっと決まった。この異常な遅れは、エジプトなどの非同盟諸国と西側諸国との意見対立の結果である。最終的には非同盟諸国が求めた論点が含まれない議題が同意され、それと共に非同盟諸国が幅広い議論が出来るよう示唆した議長宣言が出された。しかしその宣言の表現をめぐってもかなりもめ、その後も他の手続き事項がなかなか決定せず、結局実質審議が始まったは会議開始から18日目。更にそれからも私が担当した第一委員会では、各国の演説、作業文書の紹介、はたまた非難応酬で1日半が潰れた。この為実質論議及び最終文書の文言調整に当てられた時間は、第一委員会の例を挙げるとほぼ3日と極めて限られてしまった。第一委員会は委員長修正案を含む報告書に「合意出来なかった」と明記した上で本会議に報告し、会議の正式文書として提出し、表面上は決裂を回避した形をとれたが、他の委員会はそれさえも出来なかった。

ここまで最悪な会議は滅多にないと言われるほどの結果だったが、阿部局長は一貫して『この分野でやっていくには基本的に楽観的でないといけない』との立場を堅持されている。以下、同局長にさまざまな分野の問題についてお考えを伺った。

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1.軍縮局長の職務と役割

Q.通常の一日の業務の流れについて具体例を交えてお話しいただけますか?

A.今日を例として言いますと、まず出勤したら着信メールをチェックし、緊急を要するものから処理を始めます。それから今日は午前中1時間ほど事務総長室で政策委員会がありまして、そこで先月ほとんど成果なく終わったNPT再検討会議の結果をふまえて、9月の首脳レベル会議に向けて事務総長にいかに働きかけてもらうかを提言したり、他の参加者と一緒に議論したりしたんですね。これはいわば私の事務総長に対する政策的なアドバイスをする仕事の一つです。

それが終ってすぐ、軍縮局のスタッフと来年開かれる「検証に関する政府専門家会議」の出席者について相談をしました。これも一つの軍縮局の大事な仕事で、軍縮局が開く国連の会議、あるいは専門家の会議などをどのように組織するか計画を錬るんです。それが終ってすぐ地下の会議室で「国連小型武器トレーシングOEWG第3回会合」の議論を議長の隣でフォローしました。私はできるだけ会議に顔を出して動きを確認しながら、会議の大きな流れについて議長と相談します。

昼食後は会合にもう一度行きまして、会議がどうなっているかを見て4時にオフィスに帰ってきてから、国連軍縮局の軍縮センターの移転について、フィンランドの大使と相談する為にお会しました。基本的には軍縮センターといっても非常に小さな事務所で、独立維持は非常に経費もかかるしたいへんなので、アフリカセンターをトーゴから国連の事務所があるナイロビへ、現在ニューヨークにあるアジア太平洋センターをバンコクへ統合した方が能率的だということで、今検討しています。但し反対も出てくるでしょうし、意見調整をしようということで各国大使と相談しているわけです。

Q.大きな行事がある場合はどうでしょうか?NPT再検討会議での具体的な任務と役割は何でしたか?

A.NPT再検討会議のように非常に重要な会議になると私も一日中会議場にいます。そうすると先ほどお話したような局の運営の仕事は10時前か昼休みあるいは6時以降にします。期間中、会議そのものの事務局長は軍縮局ジュネーブ事務所のザレスキー氏を任命しまして、議長の隣にずっと座って議長をサポートして頂きました。その反対側に座って会議の全体の大きな流れについて議長と時々相談をするのが私の中心的な仕事でした。その他に、事務総長が初日に挨拶をしたんですけれど、会議が始まる前に事務総長室と議論をして、事務総長にこうこうこういう問題を取り上げてほしいと呼びかけてもらうよう用意をしたんですね。これも軍縮局の大事な仕事で、事務総長が会議やマスコミの前に出て軍縮問題について話すという時に、どういうプレゼンテーションをしてもらうかについて議論しアドバイスします。

(パート2につづく)

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フォーラムに参加されている皆様からのご意見・感想等をお待ちしております。

【リマインダー】 DC 開発フォーラム・ NY 国連フォーラム合同東京オフ会(7月 22 日(金) 19:00 ~)

ワシントンDC開発フォーラム・ニューヨーク国連フォーラムの皆様

DC開発フォーラム・ラテンアメリカネットワークの大島千枝です。先日ご案内させていただきましたDC開発フォーラム・NY国連フォーラム合同東京オフ会が一週間後に迫りました。現在のところ、40名以上の皆様から出席のご連絡をいただいております(実務者・研究者29名、大学院生・学部生14名ほか)。(一応の)締め切りは長い週末明けの19日中ですので、お早めにお申し込み下さい。20日には申込者に出席予定者リストをお送り致します。

まだスペースに余裕はありますので、皆様のご参加をお待ちしております。

大島千枝

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To: devforum@yahoogroups.jp, nyunforum@yahoogroups.jpFrom: "Chie Oshima" <osmc6095@yahoo.co.jp>
Date: Sun, 10 Jul 2005 01:44:42 +0900 (JST)
Subject: [devforum] 【ご案内】DC開発フォーラム・NY国連フォーラム合同東京オフ会(7月22日(金)19:00~)


ワシントンDC開発フォーラム・ニューヨーク国連フォーラムの皆様

DC開発フォーラム・ラテンアメリカネットワークの大島千枝と申します。ワシントンDCでは、先月DC開発フォーラム交流会が開催され、また、開発Happy Hour Clubも立ち上げられ、開発関係者がざっくばらんに情報・意見交換をする機会がより活発になってきたように感じます。また、ニューヨーク国連フォーラムも、昨年10月の発足後、メーリングリストでの議論、ウェブサイトの拡充など着実に発展し、今月も勉強会が開催されました。
日本でも、多数の開発・国連関係者が実務や研究に携わっていることから、今回初めて、ワシントンDC開発フォーラム・ニューヨーク国連フォーラム合同の東京でのオフ会を企画させていただきましたので、ご案内申し上げます。

合同オフ会には、東京近郊に在住・一時帰国中の幹事/アドバイザーも多数出席する予定です。現在のところ、バングラデシュ・モデルの紀谷さん、GRIPS開発フォーラムの大野泉さん、JICAの戸田さん、財務省の長谷川さんと玉川さん、紛争と開発ネットワークの里見さん、教育ネットワークの細谷さん、ニューヨーク国連フォーラムの中村さんと國京さんと荒川、ラテンアメリカネットワークの大島が出席予定です。また、吉村世銀副総裁兼駐日特別代表をはじめ、当地の世銀・国連関係機関事務所の方も参加される予定です。

組織の枠を超えて、開発や国連についてオープンに情報・意見交換を行う場、また新たな出会いの場として、是非ご活用ください。

          記

【日時】 2005年7月22日(金) 19:00~21:00
【場所】 伊太利亜居酒屋 Wansa Kansa 新宿 
*伊勢丹の向かいにあるセゾンプラザ5Fにあります。新宿三丁目駅(丸の内線)から徒歩1分、新宿駅から徒歩5分で、地下通路を通っても行けます。 
*お店の電話:03-5379-5580 
*ぐるなびのURL: http://r.gnavi.co.jp/g068208/(地図は上記のページをご参照下さい。)
【参加費】 お一人様 4000円、学生 3000円 
*4000円以内に納める予定です。

●本オフ会への出席をご希望される方は、7月19日(火)夕刻までに大島までメールにてご連絡ください。osmc6095@yahoo.co.jp
●会場の都合上、もし希望者が多い場合には、それ以前に締め切らせていただく場合もありますところ、ご理解いただければ幸いです。
●希望者を対象に、2次会の開催も予定しています。21時~23時まで1次会の会場付近で行います。こちらは飛び入り参加も歓迎しますが、予約の都合上、参加をご希望の方は大島までご一報いただければ幸いです。
●出席のご連絡をいただいた皆様には、2日前にリマインダーを兼ねて出席予定者リストをお送り致します。
●キャンセルをされる方は、前日の7月21日(木)正午までに必ず大島までご連絡下さい。

上記についてご不明な点や当日の運営についてのご提案等ございましたらご遠慮なくお知らせ下さい。

本合同オフ会にご関心のある方はどなたでも参加を歓迎しますので、皆様お誘い合わせの上お気軽にお越しいただければ幸いです。皆様のご参加をお待ち申し上げております。

東京オフ会企画担当
ワシントンDC開発フォーラム 大島千枝
ニューヨーク国連フォーラム 荒川麻衣子

2005/07/09

【ご案内】 DC 開発フォーラム・ NY 国連フォーラム合同東京オフ会(7月 22 日(金) 19:00 ~)

ワシントンDC開発フォーラム・ニューヨーク国連フォーラムの皆様

DC開発フォーラム・ラテンアメリカネットワークの大島千枝と申します。ワシントンDCでは、先月DC開発フォーラム交流会が開催され、また、開発Happy Hour Clubも立ち上げられ、開発関係者がざっくばらんに情報・意見交換をする機会がより活発になってきたように感じます。また、ニューヨーク国連フォーラムも、昨年10月の発足後、メーリングリストでの議論、ウェブサイトの拡充など着実に発展し、今月も勉強会が開催されました。

日本でも、多数の開発・国連関係者が実務や研究に携わっていることから、今回初めて、ワシントンDC開発フォーラム・ニューヨーク国連フォーラム合同の東京でのオフ会を企画させていただきましたので、ご案内申し上げます。

合同オフ会には、東京近郊に在住・一時帰国中の幹事/アドバイザーも多数出席する予定です。現在のところ、バングラデシュ・モデルの紀谷さん、GRIPS開発フォーラムの大野泉さん、JICAの戸田さん、財務省の長谷川さんと玉川さん、紛争と開発ネットワークの里見さん、教育ネットワークの細谷さん、ニューヨーク国連フォーラムの中村さんと國京さんと荒川、ラテンアメリカネットワークの大島が出席予定です。また、吉村世銀副総裁兼駐日特別代表をはじめ、当地の世銀・国連関係機関事務所の方も参加される予定です。

組織の枠を超えて、開発や国連についてオープンに情報・意見交換を行う場、また新たな出会いの場として、是非ご活用ください。

          記

【日時】 2005年7月22日(金) 19:00~21:00
【場所】 伊太利亜居酒屋 Wansa Kansa 新宿 
*伊勢丹の向かいにあるセゾンプラザ5Fにあります。新宿三丁目駅(丸の内線)から徒歩1分、新宿駅から徒歩5分で、地下通路を通っても行けます。 
*お店の電話:03-5379-5580 
*ぐるなびのURL: http://r.gnavi.co.jp/g068208/(地図は上記のページをご参照下さい。)
【参加費】 お一人様 4000円、学生 3000円 
*4000円以内に納める予定です。

●本オフ会への出席をご希望される方は、7月19日(火)夕刻までに大島までメールにてご連絡ください。osmc6095@yahoo.co.jp
●会場の都合上、もし希望者が多い場合には、それ以前に締め切らせていただく場合もありますところ、ご理解いただければ幸いです。
●希望者を対象に、2次会の開催も予定しています。21時~23時まで1次会の会場付近で行います。こちらは飛び入り参加も歓迎しますが、予約の都合上、参加をご希望の方は大島までご一報いただければ幸いです。
●出席のご連絡をいただいた皆様には、2日前にリマインダーを兼ねて出席予定者リストをお送り致します。
●キャンセルをされる方は、前日の7月21日(木)正午までに必ず大島までご連絡下さい。

上記についてご不明な点や当日の運営についてのご提案等ございましたらご遠慮なくお知らせ下さい。
本合同オフ会にご関心のある方はどなたでも参加を歓迎しますので、皆様お誘い合わせの上お気軽にお越しいただければ幸いです。

皆様のご参加をお待ち申し上げております。

東京オフ会企画担当
ワシントンDC開発フォーラム 大島千枝
ニューヨーク国連フォーラム 荒川麻衣子

2005/06/30

国連憲章の署名60周年

久木田さん

> いまさらでもないのですが、組織の強さはまず掲げ> る使命によって決まるといえますので、これを機に見直してみるのもよいのではない> > かと思い出してみました

経営学で言うところの「理念とビジョン」という考え方に近いと思います。使命感の元になる「よるべ」として。官民公私の成り立ちの別は問わず、組織体としての命がそこにある、という考え方は、立場を変えてさまざまな組織体に属した経験から言っても正しいと思います。

西田

国連憲章の署名60周年

西田さん、

コメントありがとうございます。いまさらでもないのですが、組織の強さはまず掲げる使命によって決まるといえますので、これを機に見直してみるのもよいのではないかと思い出してみました。特にその使命と自分の今の仕事との関係を明確に理解しておくことは、元気に仕事ができるかどうかに関わっているように思います。

ところで、こうやって60年前の文章を読んでみると、平和や戦争、人権や発展などそれぞれの言葉の意味もずいぶん変わっているのではないかと思います。60年前には50カ国が署名をしましたが、朝鮮戦争、冷戦の展開、アフリカの独立が続いた60年代、ベトナム戦争、ソ連の崩壊と冷戦の終結、開発や人権などの世界的基準の合意、経済発展の影の貧富の格差の拡大、地球環境の悪化と温暖化、など、この60年間の変化は人類史上もっとも急速であったはずです。(その間米国の伝統的な介入主義は変わっていませんが。)

国連加盟国も191カ国になり、<http://www.un.org/Overview/growth.htm> 国際社会を取り巻く現実も変わり、国連の組織や活動もそれにあわせて変わってきましたが、やはりこの節目に国連をより効果的な組織にするための大事な改革をすすめるべきだと感じます。ただ、それは数をあわせるというようなことではなく、今も変わらない、人間の尊厳や自由といった憲章の理想部分を達成するために効果的な国連改革であってほしいと思います。

ユニセフ 久木田

国連憲章の署名60周年

久木田さん、

国連憲章前文のご提示どうもありがとうございました。じっくりとまじめに読んだのは初めてかもしれません。

, and toestablish conditions under which justice and respect for the obligations arising from treaties and other sources of international law can be maintained, and to promote social progress and better standards of life in larger freedom,

このあたりがいかにも示唆的というか、どの立場で読むのかで意味合いが変わってくる部分ですが、justiceが何で、better standards of lifeが何なのか、とある国では理解が一様で疑いの余地すらないものが、別の国ではその夫々すら怪しいというギャップがあることを、皮膚感として理解できるようにはなったような気がします。
先日、Arab Pressのピエール・シャマス社主の話を直接聞く機会があり、共有のため開示させていただくと以下のようなことになります。

1)中東を中心に発生している自爆テロの「候補人材」は、早晩枯渇する。従い、自爆テロも例外を除いては終息する。
2)アメリカは、Stubbornな国である、それを形作っているのはWASPである。Neo-conは元来は左翼だが、宗旨替えをして現在の立場を取っている。現状優勢に見えるかもしれないが、しかしながら依然としてWASPの意思は最上位にあると見るべきである。それを読み解くキーワードはStubbornであること、に尽きる。彼らは一度受けた謗りは絶対に、絶対に忘れない。

筆近、ヨルダンからハイレベルミッションが日本に来ることになり、段取りに苦労していると言う第二者としての話はさておいて、業務の進捗から考えさせられるところの多い問いかけでありました、と言うふうにはご返答できると思います。

UNIDO東京西田

2005/06/27

国連憲章の署名60周年

ニューヨーク国連フォーラムの皆さん、

今日は国連憲章が1945年6月26日に署名されてから60周年の記念日です。ニューヨークの国連本部ではその式典がありました。アナン事務総長は、「この60年間国連は国連憲章の前文にある言葉を履行すべく努力してきました。21世紀には新たな脅威やチャレンジがあるかもしれないが、同時にこれまでにないチャンスもある。前文にあるように "better standards of life in larger freedom" が達成できるかもしれない。」と述べました。二度と戦争を繰り返さないと言う誓い、人権、尊厳、平等への信頼、公正と責務の維持、経済的・社会的進歩、もっと自由な世界での生活の向上など、今も課題は続いているように思います。10月には憲章発効60周年になります。この節目にふさわしい国連改革が進むことを願っていますが、粛々と仕事に取り組まなければとも思います。

以下国連憲章の前文を引用します。皆さんはどうお読みになりますか。

PREAMBLE

WE THE PEOPLES OF THE UNITED NATIONS DETERMINED

to save succeeding generations from the scourge of war, which twice in our lifetime has brought untold sorrow to mankind, and to reaffirm faith in fundamental human rights, in the dignity and worth of the human person, in the equal rights of men and women and of nations large and small, and to establish conditions under which justice and respect for the obligations arising from treaties and other sources of international law can be maintained, and to promote social progress and better standards of life in larger freedom,

AND FOR THESE ENDS
to practice tolerance and live together in peace with one another as good neighbours, and to unite our strength to maintain international peace and security, and to ensure, by the acceptance of principles and the institution of methods, that armed force shall not be used, save in the common interest, and to employ international machinery for the promotion of the economic and social advancement of all peoples,

HAVE RESOLVED TO COMBINE OUR EFFORTS TO ACCOMPLISH THESE AIMS
Accordingly, our respective Governments, through representatives assembled in the city of San Francisco, who have exhibited their full powers found to be in good and due form, have agreed to the present Charter of the United Nations and do hereby establish an international organization to be known as the United Nations.

ユニセフ 久木田

2005/06/23

在タンザニア大・専門調査員募集/一般財政支援と共通支援戦略

DC開発フォーラム、NY国連フォーラムの皆様

 在バングラデシュ日本大使館の紀谷です。今般、開発問題で数年来協力している同僚(といっても遠隔地ですが・・・)より、在タンザニア大の専門調査員募集につき代理投稿の依頼がありましたので、次の通り転送させていただきます。応募には関心のない方も、タンザニアでの援助協調の実情が詳しく記されていますので、是非ご覧いただければ幸いです。

 タンザニアと並んで、当地バングラデシュも援助協調が進んでいます。ただし、当地では一般財政支援は行われておらず、初等教育や保健分野のセクタープログラムにプールファンドが設けられている程度です(日本は保健分野で債務削減相当資金を10億円程度投入予定です)。

 政府の予算投入の優先順位付けは、その国の政治・経済・社会状況や公共分野のマネジメントにつき深い理解が求められるので、他のドナーと一緒にそのような「未踏の地」に足を踏み入れていくのは、なかなか勇気がいることだと思います。他方、それをしなければ話が進まず、そして最終的には成果を出して相手政府に引き渡すことを目指すということで、まさに体を張って頑張っていることと思います

 もう一点、共通支援戦略の現状も、興味深く拝読しました。当地では、世銀・ADB・DFID・日本の4ドナーで、共通国別援助戦略(Joint CAS/CSP/CAP)を進めている真っ最中です(日本の国別援助計画策定に際し、このような作業への参加は初めてと理解しています)。しかし、各ドナーのCASを廃止するという急進的なものではなく、PRSPを支援するために、まずは4ドナーで共通の成果マトリックスを作り、政府や他のステークホールダーとの協議を一緒に行おう、といったものです。

 それでも、内容や日程のすり合わせ等について、他ドナーと日本国内の間に立って、様々な苦労があります。DFIDは「これからは途上国自身のPRSPが中心になるのであり、国別援助計画はできるだけ軽いものにしていくのがDFIDの方針である」と述べる一方で、日本の国別援助計画は閣僚会議に上がるため、手続きも内容もかなりきっちり詰める必要があります。ただし、これは日本だけではなく、世銀やADBもそれぞれ理事会に上げる手続きなど、それぞれ大変なようです。

 「日本は(単独で)これをやりました!」というだけでなく、「相手政府や他ドナーと協力しての取り組みの全体像の中で、日本はこのような役割を担い、成果に貢献しました」という形に持っていければ良いなと思っております。皆さんは、援助協調について、どのような課題に直面していらっしゃいますでしょうか?
前書きが長くなってしまいましたが、募集内容は以下の通りです。

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(以下代理投稿)

皆様へ

在タンザニア大使館で経済協力班長をしております横林と申します。先週15日より下記の外務省ホームページで、当館専門調査員ポストの募集が行われております。http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/senmon/senko.html

詳しくは同サイトを参照していただければと思いますが、現場における業務内容につきよりvividな情報を提供させて頂き、少しでも多くの方々に応募していただこうと思いメールを書かせていただきました。なお、同ポストの応募締め切りは7月5日となっておりますので、下記のメールで関心を持たれた方はぜひ期日までに応募していただければと思っております。

1.タンザニアにおける援助協調の現状

 ご存知のとおり、タンザニアはサブ・サハラ・アフリカの中でももっとも援助協調が進んでいる国のひとつです。現在14のドナーが一般財政支援に参加し、世銀の借款によるPRSCも含めますと年間約5億ドルがタンザニアの貧困削減財政支援基金(PRBS:Poverty Reduction Budget Support)に投入され、政府とドナーが協調して、政府の改革プログラムの進捗状況をフォローしております。わが国も03年度以降ノンプロ無償の本体資金をPRBSに投入(約5百万ドル、全体の1%)するとともに、一般財政支援の効果を高めるために重要な公共財政改革プログラム及び貧困モニタリングの両バスケット・ファンドに資金を投入しております。

 05年7月より、第2次PRSPであるNSGRP(National Strategy for Growth and Reduction of Poverty)がスタートし、これまでの重点セクターへのインターベンションから、クロスカッティングな課題に対応した成果重視のプログラムとなっており、政府のパフォーマンスをどのようにモニターし、ドナーの対応をより協調させていく方途が検討されております。

 更には、パリ援助効果向上HLFの提言を受け、手続き及びモダリティー双方における協調を促進するため、各ドナーが策定しているCAS(CountryAssistance Strategy)等の国別援助計画を廃止し、すべてのドナーと政府が共同の支援戦略の下活動を行っていくJoint Assistance Strategy(JAS)の策定も進められております。このJASの下では、援助の7割以上を財政支援で、調達、評価等を国の既存のシステムを活用することとが求められており、日本はもちろんのこと多くのドナーにとって現場レベルでの改革が求められています。

 先般5月下旬には、当地において日英の援助協調の一環として、DFIDの次官及び外務省佐藤経済協力局長による共同訪問を実施し、財政支援に関する共同セミナーを行いました。

2.タンザニア援助における日本の支援体制

 大使館の経済協力班は班長の私を含めて5名(班長、出向者2名、専門調査員2名)ですが、他省庁から出向している2名については主にプロジェクト援助をフォローしてもらっていて、今回募集の対象になっている専門調査員には100%援助協調関連の業務を行ってもらっています。JICA事務所は、貧困モニタリング、公共財政管理プログラム、農業、教育の分野で企画調査員が派遣され、そのほか各所員が地方分権、道路、保健、農業、水等のセクターをフォローしています。わが国の現場レベルにおける体制としては恵まれている方だと思います。

3.募集ポストの業務内容

 現遠藤専門調査員にはPRBS、農業、公共財政管理プログラム、JAS等幅広くフォローしてもらっています。ドナー会合への出席、議事録の作成、コメントの調整、政策文書の作成等々同専門調査員に行ってもらっている業務は多岐に渡ります。現場における動きはきわめて早く、専門的な議論が行われているため、大変ではありますが、現段階でノンプロ無償の本体資金を使って財政支援を行っている唯一の公館としてタンザニア大使館でしかできない業務があるという意味では、やりがいのあるポストであると思っています。一方、現場における動きは刻一刻と変化しており、それに対してフレキシブルに対応していくためには、バックボーンとして開発学全般における知識と援助の現場における経験があることが望ましいと思っております。

4.今後の課題

 先般のアジア・アフリカ首脳会議において小泉総理が発表した向こう3年間における対アフリカODAの倍増に象徴されますように、今後どのようにしてわが国の対アフリカ援助を実施していくのか、これまでのプロジェクト援助のみならず、各途上国の援助戦略に沿ったプログラム援助にも積極的に対応していかなければならない状況です。残念ながらこの分野での日本の取り組みは大きく遅れをとっており、他ドナーと互角に対応する状況にはいたっておりません。だからといって手をこまねいているわけにも行かず、日本の考え方を示していきながらも、援助協調の流れにはしっかりと腰をすえて対応することがますます求められており、その意味では、当館の仕事は他では得ることができない最先端の仕事をすることができるのではないかと確信しております。

 長々と書いてきましたが、是非われわれと一緒に働いてみたいと思われる方は応募してみてください。よろしくお願いいたします。

Vacancy: Japanese Embassy in Tanzania

ワシントン開発フォーラムの皆様、NY国連フォーラムの皆様 (二度受け取られる方はお許しください)

空席募集のお知らせです。DAC事務局には直接関係いたしませんが、7月5日の締め切りが少々差し迫っているのにもかかわらず、あまり応募数がそろっていない、ということでお手伝いを承りました。(野口さん、灘本さん、先越して申し訳ありません)。

在タンザニア大使館の専門調査員の仕事を来年1月から始められる人を外務省が募集しております。以下、大使館の横林さんのメッセージを御覧になれば、要旨がおわかりになるかと思います。

ここでまた一言勝手につけ加えさせて頂きますと、私は2年前対日援助審査における現地調査の一環でタンザニアに参りましたので、少々この仕事と接点をもつ機会がありました。タンザニアは日本の援助協調が最も進んでいるモデル国のうちの一つとなっておりましたが、ドナー間やタンザニア政府に非常に高く評価されており、まさに評判通りでした。その中でも特に開発フォーラムでも時々投稿されてる現専門調査員の遠藤さんの功績は大きかったと思われます(他にもたくさんおられましたが)。

以前遠藤さんが「パーティも仕事の一環だと思って積極的に参加している」、と書かれておりましたが、援助協調とはまさにそういう一見つまらないところから始まるのが大事だと私は信じております。インフォーマルな場でピーナッツをかじり、ビールを飲み交わし、蚊に食われながらお互いに情報交換し合ってこそ、いろいろ誤解が解けたり協力する案が生まれたりするのではないでしょうか。

その遠藤さんの後任となると、期待が高いだけに一方でむずかしいかとも思われますが、逆に注目を浴びている仕事だけにチャレンジングで実りあるものかもしれません。この仕事を適切にこなせた人は将来国際的にもキャリアアドバンテージになるのではないか、と思いますので、是非多くの人が応募してみて(あるいは興味ありそうな人に声をかけてみて)欲しいなと思います。

部外者のくせによけいな事を申し上げてすみませんでした。

宮本香織DAC事務局

<メッセージ本文>

皆様へ

在タンザニア大使館で経済協力班長をしております横林と申します。先週15日より下記の外務省ホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/saiyo/senmon/senko.html)で、当館専門調査員ポストの募集が行われております。詳しくは同サイトを参照していただければと思いますが、現場における業務内容につきよりvividな情報を提供させて頂き、少しでも多くの方々に応募していただこうと思いメールを書かせていただきました。なお、同ポストの応募締め切りは7月5日となっておりますので、下記のメールで関心を持たれた方はぜひ期日までに応募していただければと思っております。

1.タンザニアにおける援助協調の現状 

 ご存知のとおり、タンザニアはサブ・サハラ・アフリカの中でももっとも援助協調が進んでいる国のひとつです。現在14のドナーが一般財政支援に参加し、世銀の借款によるPRSCも含めますと年間約5億ドルがタンザニアの貧困削減財政支援基金(PRBS:Poverty Reduction Budget Support)に投入され、政府とドナーが協調して、政府の改革プログラムの進捗状況をフォローしております。わが国も03年度以降ノンプロ無償の本体資金をPRBSに投入(約5百万ドル、全体の1%)するとともに、一般財政支援の効果を高めるために重要な公共財政改革プログラム及び貧困モニタリングの両バスケット・ファンドに資金を投入しております。 
 05年7月より、第2次PRSPであるNSGRP(National Strategy for Growth and Reduction of Poverty)がスタートし、これまでの重点セクターへのインターベンションから、クロスカッティングな課題に対応した成果重視のプログラムとなっており、政府のパフォーマンスをどのようにモニターし、ドナーの対応をより協調させていく方途が検討されております。
 更には、パリ援助効果向上HLFの提言を受け、手続き及びモダリティー双方における協調を促進するため、各ドナーが策定しているCAS(Country AssistanceStrategy)等の国別援助計画を廃止し、すべてのドナーと政府が共同の支援戦略の下活動を行っていくJoint Assistance Strategy(JAS)の策定も進められております。このJASの下では、援助の7割以上を財政支援で、調達、評価等を国の既存のシステムを活用することとが求められており、日本はもちろんのこと多くのドナーにとって現場レベルでの改革が求められています。
 先般5月下旬には、当地において日英の援助協調の一環として、DFIDの次官及び外務省佐藤経済協力局長による共同訪問を実施し、財政支援に関する共同セミナーを行いました。

2.タンザニア援助における日本の支援体制

 大使館の経済協力班は班長の私を含めて5名(班長、出向者2名、専門調査員2名)ですが、他省庁から出向している2名については主にプロジェクト援助をフォローしてもらっていて、今回募集の対象になっている専門調査員には100%援助協調関連の業務を行ってもらっています。JICA事務所は、貧困モニタリング、公共財政管理プログラム、農業、教育の分野で企画調査員が派遣され、そのほか各所員が地方分権、道路、保健、農業、水等のセクターをフォローしています。わが国の現場レベルにおける体制としては恵まれている方だと思います。

3.募集ポストの業務内容

 現遠藤専門調査員にはPRBS、農業、公共財政管理プログラム、JAS等幅広くフォローしてもらっています。ドナー会合への出席、議事録の作成、コメントの調整、政策文書の作成等々同専門調査員に行ってもらっている業務は多岐に渡ります。現場における動きはきわめて早く、専門的な議論が行われているため、大変ではありますが、現段階でノンプロ無償の本体資金を使って財政支援を行っている唯一の公館としてタンザニア大使館でしかできない業務があるという意味では、やりがいのあるポストであると思っています。一方、現場における動きは刻一刻と変化しており、それに対してフレキシブルに対応していくためには、バックボーンとして開発学全般における知識と援助の現場における経験があることが望ましいと思っております。

4.今後の課題

 先般のアジア・アフリカ首脳会議において小泉総理が発表した向こう3年間における対アフリカODAの倍増に象徴されますように、今後どのようにしてわが国の対アフリカ援助を実施していくのか、これまでのプロジェクト援助のみならず、各途上国の援助戦略に沿ったプログラム援助にも積極的に対応していかなければならない状況です。残念ながらこの分野での日本の取り組みは大きく遅れをとっており、他ドナーと互角に対応する状況にはいたっておりません。だからといって手をこまねいているわけにも行かず、日本の考え方を示していきながらも、援助協調の流れにはしっかりと腰をすえて対応することがますます求められており、その意味では、当館の仕事は他では得ることができない最先端の仕事をすることができるのではないかと確信しております。

長々と書いてきましたが、是非われわれと一緒に働いてみたいと思われる方は応募してみてください。よろしくお願いいたします。

2005/06/18

合同勉強会開催のお知らせ

来る7月1日(金)に国連邦人職員会、国際開発学会、そしてNY国連フォーラムの合同勉強会が開催されます。詳細は下記の通りです。

日時: 7月1日 6時30分
場所: 国連日本政府代表部大会議室発表者:小島誠二 (JICA理事) Mr. Seiji Kojima, Vice President, JICA
テーマ:「新たな援助潮流への日本の貢献を目指して -JICAの課題と挑戦- 」
内容: JICAは平成15年10月、独立行政法人化され、人間の安全保障を中心に据え、緒方理事長の下でいわゆるJICA改革を進めている。この改革を通じてJICAはどこに進もうとしているか。この改革は日本のODA全体にどのような貢献ができるか。 JICAは新たな援助潮流の要請にどう応え、MDGsの達成にどのように貢献しようとして いるのか。さらに、JICAはこの改革を通じて何を国際社会に発信しようとしているのか。このような点について情報を共有していきたい。

参加ご希望の方は、6月30日(木)午後6時までにご氏名と所属先をynagashima@humansecurity-chs.org宛にご連絡ください。国連代表部の警備上、事前に登録された方でないと参加できません。また国連及び日本政府代表部職員以外の方は、6時20分に 866 UN Plaza (48th Streetの1st AveとFDRの間)に集合してIDを受け取ってからお入りください。

夏期インターンのためにニューヨークを離れておいでの学生の皆様も多いと思いますが、ニューヨークにいらっしゃる方は是非ご参加ください。

国連職員採用競争試験の実施要項

この度、2006年国連職員採用競争試験の実施要項が発表されました。募集内容については、国連競争試験ウェブサイトの英文募集要綱をご参照下さい。

国連競争試験:http://www.un.org/Depts/OHRM/examin/exam.htm
または外務省国際機関人事センターホームページ:http://www.mofa-irc.go.jp

※(国際機関人事センターのウェブサイトに一般的な応募用紙の記入見本があります。  
応募書類の記入見本: http://www.mofa-irc.go.jp/boshu/oubo_kakikata.htm

国際機関人事センター
-----------------------------------------------
Recruitment Center for International Organizations
Ministry of Foreign Affairs, Japan
2-2-1 Kasumigaseki, Chiyoda-ku, Tokyo 100-8919, JAPAN
Phone : +81-3-3580-3311 (Ext. 2841)
 +81-3-5501-8238
Fax : +81-3-5501-8237
E-mail : jinji-center@mofa-irc.go.jp
Website: http://www.mofa-irc.go.jp
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2005/06/10

ODAの質の改善と国際水準の確保を

フォーラムの皆様へ

初めて投稿させていただきます。IDBのラッセルと申します。
下の安西様の投稿にあります

>具体的には税制改革(tax baseの見直しやtax administrationの強化等-これも
>pro-poorであることが原則)が最優先課題ではないかと思います

と いう点ですが、原則的には賛成です。しかし、最近税制関係のプロジェクトに関わリはじめてわかったことは、発展途上国においては(少なくともラテンアメ リカの大半の国では)国民が「税金の取れる人」「取れない人」という二つのグループに分けられていること、後者(つまり貧困層)は一銭も税金を払っていな い(少なくとも直接税は払っていない)、というのが実情だということです。これは必ずしもpro-poorのポリシーに基づいてそうなっているわけではな く、技術的に国民の所得が把握できるシステムが出来ていないこと、基本的な住民台帳などがそろっていないこと、ブラックマーケットのみで経済活動している 貧困層が多いこと、などに原因があります。したがって、徴税率において優遇する、という方法は取れないことに注目すべきです(今現在0%なわけですか ら)。したがって税制分野においてはpro-poorの概念を導入するには富裕および中間層からの徴税をより透明性と効率の高い形に改革し、結果的に税制 の持つ資源の再分配機能を改善する方法が現実的であると考えます。

ラッセルまり子
米州開発銀行地域営業局第二(中央アメリカ、メキシコ、パナマ、ベリーズ、ドミニカ共和国、ハイチ担当)

人間開発か、経済開発か、ミクロとマクロの間

JICAタンザニア事務所で働いている山内です。

開発学の根本にかかわるメールのやりとりに教えられながら興味深く読ませていただいています。

メールを読みながら私は先週完成したばかりのPRS第2世代としてのタンザニアNSGRP(National strategy for Growth and Reduction of Poverty)の枠組みについて考えていました。

本NSGRPは第1PRSと同じく「国家開発アジェンダの中で貧困削減に焦点をおくための包括的政策枠組み」でありますが、名前の通り貧困削減に関する「経済成長」の役割が重視されています。
そこで貧困削減を達成するための3つの重要要素として、1.成長と所得貧困の削減、2.生活の質と社会福祉の向上、3.ガバナンスとアカウンタビリティー をあげ、前2者はそれぞれ貧困削減に貢献しながらまた相互に関係し、後1者は前2者を支え、もちろんそれ自身も貧困削減に貢献する構造になっています。
1.の中では成長が公平な分配を通して所得貧困の削減に貢献するとし、「成長の源泉(Sources of growth)」を人的資源、投資、貿易、援助などさまざまな要素をあげており、分配部分はBroad-based and equitable growth(裾野の広く公平な成長)としています。これは吉野さんがSPAからあげられていたShared growthのラインかな、と思っています。

しかし、国家予算の約半分が援助で賄われている国でどれほどインフラ整備や成長の源泉を模索できるのかというのが課題です。アフリカのような貧困国でどの ような開発計画をとるのか、それは本当に難しい問題ですがマクローミクロのバランスの中でまずミクロ面の貧困削減を目標としてそれにより重心をおきながら 考えていくことなのかなと思っています。

山内

2005/06/09

人間開発か、経済開発か、ミクロとマクロの間

皆さん、在NY、ユニセフの久木田です。

最初に訂正をします。  佐藤寛編1996アジア経済研究所刊の書名は「援助研究入門」でした。新旧開発パラダイムの比較については第8章 「開発援助と心理学」を参照してください。

植田さん、吉野さん、安西さん、コメントありがとうございます。

植田さん、

経 済開発と人間開発は深く関わっていますが、開発の目的を人間開発とするか経済発展とするかでは、大きな違いがでてくるのではないでしょうか。何のための開 発かという一番大切な部分で、「人間開発のために経済開発が重要だ」という見方と「経済の発展成長のために人間への投資が重要だ」という見方には、明確な 価値観の違いがありますし、それに伴う開発へのアプローチも、ODAのあり方も、その結果得られる成果も大きく異なります。「経済中心の開発」と「人間中 心の開発」という視点から展開してきた二つアプローチは、それぞれに様々な側面での整合性をとろうとするため、独特の開発パラダイムを形成しているように 見えます。下に数年前に作った対照表をつけます。先にも書きましたが、この対比については、いろいろな反論や賛同をいただきました。極端な比較だ、人間開 発にバイアスがかかっている、経済開発でも参加型をやっている、など。いかがでしょうか。

吉野さん、

明快でバランスのと れたコメントありがとうございます。私の知りたかったWolfowitzを迎えての世銀の様子も臨場感ある報告で感謝いたします。ところで、ひとつ気にな るのは、「(経済)発展か、貧困削減か」というときの貧困の意味なのですが、貧困の定義が人間の能力の欠如と収入の欠如をあわせたものであるとするなら ば、これを対比するのは変な感じがします。貧困削減を人間開発と同義に使っているという見方もできますが。私も明確に使い分けてはいないので、自問も含め ての点です。

さて、私もマクロとミクロの間をどう調整し、特にミクロの効果を上げることによってマクロにつなげていくか、そしてそのシナ ジーを出していくかが大事だと思っています。私は下の二つの新旧パラダイムの対比はミクロとマクロの二つの視点での開発政策の対比とも言えると思います。 そして、この二つの大きく異なるパラダイム間のインターフェースをどのように作っていくのかが今の開発実務家の課題ではないかと思っています。このような 極端な比較をしたのもそこにくさびを打ち込みたかったからだともいえます。「マクロ経済政策を住民参加型でやっています」、というようなあやふや、竜頭蛇 尾、羊頭狗肉の説明では、この溝をうめることはできないのではないかと思うからです。マクロに強い国際金融機関とミクロに強い国連機関とのインターフェー スをどうするのか、個人的にはそこに興味があります。DCとNYの間をどうつなげるか、財務と外務をどうつなげるかにも関わってきますね。

安西さん、ダッカ以来ですね。おひさしぶりです。

経 済インフラの重要性については、ILOの上田さんが分かりやすく書いていたように、私もわかるような気がします。しかし、やはり開発協力の点からいくと、 ミクロとマクロへのインプットのバランスが悪いと思います。ミクロでの比較的小さなインプットで効果を上げること、まずは人間が元気になることで、マクロ も景気がよくなるというのが本来の形ではないかと思います。マクロ政策での重要な点は、ミクロでの改善も吹っ飛んでしまうような、政策の失敗や変更をしな いことが重要ではないかと思います。


表1.開発パラダイム新旧対照表
─────────────────────────────────
...................................新パラダイム.........................旧パラダイム
.................................(エンパワーメント型)............(ディス・エンパワーメント型)
─────────────────────────────────
目 標........................... 人間開発、基礎社会開発....経済成長、経済開発
イニシアチブ................ 住民が問題解決のため ......援助側が外交政策や利益のため
オーナーシップ.............住民、途上国政府.................一部官僚や援助側
開発プロセスへの責任..住民の自己責任..................援助側の官僚と納税者に対して
協力機関との関係性......パートナーシップ、平等........援助側と被援助側、従属
協力機関の役割............対話と自助努力の促進.........一方的な計画の遂行
優先事項の決定............住民による民主的な決定 .....専門家による一方的な決定
計画作成.......................住民による発展的計画.........専門家による青写真の作成
対象へのアプローチ.......統合的、相互補完的.............セクター、分野別、垂直型
実施支援組織 ...............民主的地域組織、NGO........専門家、統制的中央組織
実施形態.......................参加型、自主的.....................外部主導型、
コストの負担...................自己負担、小規模融資.........インセンティブ、報酬
実施のペース ................住民のペースで ..................予算の実施期間にあわせて
事業の規模・対象...........小規模、広範囲....................大規模、特定地域に偏在
利用する資源.................地域の人材と資源.................外部の資金、資材と技術者
技術の選択と使用...........適正な地域技術の適用........高度な外部技術の移転
評価 ..............................住民により継続的、頻繁.......専門家により短期、一回
評価指標.......................人間的・社会的指標 ............物理的・経済的指標
環境との関係.................調和的....................................制御的
ジェンダーへの配慮........高い、主流化促進................低く表面的、全くない
形成される心理状態.......自立性、自尊心の向上..........依存性、無力感の増加
形成される行動類型.......積極的相互作用.....................受動的、疎外、孤立
貧富、地域差、性差........縮小.........................................拡大
能力構築........................高い.........................................低い
持続可能性....................高い.........................................低い
────────────────────────────────
(出所)著者作成:一九九七年国際開発学会発表論文「新開発パラダイム概念化への試み」を一部改訂。至文堂刊、現代のエスプリ「エンパワーメント」特集1998年第376号に掲載。

ODAの質の改善と国際水準の確保を

皆様、

「経済インフラ重視」に世銀の振り子が戻りそうだという点に関して投稿します。1970年代以降途上国の公共投資は軒並み減少傾向にあり、昨今のPRSP策定においても殆どの場合IMFとの事前合意により政府支出の枠が決められ、特に公共インフラ整備を制約することが多いと理解しています。MDG達成も視野に入れ、中長期的な成長と貧困削減を確保してゆくために、pro-poor growthを誘発するような(その意味で質の高い)公共インフラ拡充の必要性は高いはずですが、世銀がそのような方向へ重点をシフトしようとしているのであれば歓迎すべきことではないかと思います。ただ、その際の資金源ですが、ドナーによる支援を続けながらも出来るだけ途上国国内の資金調達を促してゆくことが重要であり、具体的には税制改革(tax baseの見直しやtax administrationの強化等-これもpro-poorであることが原則)が最優先課題ではないかと思います。

また、国内の資金調達という観点から付け加えますと、民間部門の資金調達促進も急務であり、貧困層の資金調達というと各ドナーはマイクロ・クレジット支援に走りがちですが、金融制度全体の整備や銀行の経営効率・透明性向上のためのサポート(それにより貯蓄の増加、貸出金利の低下等が期待できる)も同時に行ってゆくことが重要と思います。(ただ、税制、金融のいずれもcorruptionの巣窟であり、実際に技術協力を行う際のチャレンジは相当なものと思いますが.....)


安西尚子
(1998-2001: JBIC、2001-2003:UNDPバングラデシュ事務所等を経て現在政府開発援助コンサルタント)

ODAの質の改善と国際水準の確保を

在ワシントンの吉野です。

経済成長が必ずしも貧困削減につながらないこともあるということは大切なポイントであると思います。同時に、経済成長なくしては貧困も削減されないということも一般には言えましょう。特に政治経済的にはなかなか困難ではないでしょうか?

もちろん先進国であうと途上国であろうと、パレート最適な経済にあるわけではないので、その意味ではゼロ経済成長でも政策手段によっては貧困削減が可能であると思いますし、また勿論のことながら、貧困削減が必ずしも所得のみによって示せるものではありません。

ただいくら概念的には「成長」と「貧困削減」を対峙させて議論することができても、経済全体の政策レベルではone or the other といった話でも無くなっていると感じています。経済成長という政策目標を一つのベクトルであるとすれば、貧困削減という政策目標のベクトルは必ずしも正反対を向いているわけではありません。二つのベクトルの間は鋭角、ベクトルの和をとることによって、mutually reinforcingなものであるべきでしょう。また、植田さんがおっしゃっているとおり、長期的に貧困撲滅が経済成長に資するということも考えられます。

もちろん、「成長」と「貧困削減」の二者択一的な構図というのは、政策判断、あるいはドナーによる政策介入のマージナルな部分においては、あって当然です。しかし、総合的なレベルで議論するのであれば、いかに二つをミックスさせていくかということを、国レベルの開発政策を考える。

その意味で、成長と貧困削減の関係を考える際に、途上国を一つとして考えるのは、非現実的です。正に紀谷さん・須永さんがおっしゃっていたように、途上国各国の個別状況によって「成長」「貧困削減」の関係が意味することは変わってくるのだと思います。6月1日の就任初日に行われたWolfowitz新総裁による行内タウンホールにおいては、各地域のカントリー・オフィスとの間のビデオ会議リンクも張られており、バングラやらブラジルなどから、それぞれ管轄の「お国事情」を反映してのコメントが新総裁に向けられておりました。例えば、サブサハラ・アフリカと中所得国においては、経済成長が貧困削減にいかなる意味をもつのか、あるいは貧困削減が成長にいかなる意味をもつのか、またどのような政策介入がなされるべきか、ずいぶん異なるわけです。またアフリカの中でも相当ばらつきがあるわけです。(日本も旗振り役で活躍した新開発戦略では、包括的アプローチとともに個別アプローチというのがありましたね。)

さらに、私個人としては、「貧困削減につながる成長策」というマクロからミクロへ効果を下ろしていくアプローチとともに、「成長につながる貧困削減策」とでも申しましょうか、ミクロからマクロへ効果を押し上げていくアプローチも考えることが、開発実務者の間で考えていくことが大切だと感じています。これまでもマクロ・エコノミストが中心となり、前者のアプローチの分析・政策介入はなされてきましたが、これからは同時にセクター・レベルの専門家あるいはセクター・エコノミストにより後者のアプローチであるミクロ・レベルの成長・貧困削減を如何にマクロにつなげていくかという開発支援策にエネルギーを費やすべきだと思います。(この二つのアプローチの間にもconsistency、連携が必要なことは当然ですが。)

世銀のアフリカ局では、チーフ・エコノミストであるJohn Pageを中心に、「sharedgrowth」という言葉が今年に入ってから流行っております。1月のSPA(Strategic Partnership with Africa)でも新たな貧困削減へのアプローチとしてembraceされたようです。(i) Promoting the private sector, (ii) creating an "export push" and effective regional integration, (iii) managing natural resource rentsの3つをShared growthへの重要な要素と捉えています。ここで民間セクター振興といっても、工業のみならず、農業、サービス産業といった幅広い分野での民間セクターの振興です。現在、世界中において継続的に企業データ収集が実施されている世銀のInvestment Climate Assessmentsも、サブサハラ・アフリカにおいては、農業、そしてまさに貧困削減と成長の関係を握っているインフォーマル・セクターも徐々にカバーしていく方向です。(インフォーマル・Souces of Growthのidentificationから始まり、それを成長を実現すべき政策介入・支援が続くことを期待しています。つまり二番目のミクロからマクロへの押し上げアプローチです。

なお、最後に中村さんがおっしゃっていたように制度変更の順序とスピードを考慮して変更を行うことは非常に大切なポイントだと思いました。以前一緒に世銀で仕事をさせていただいた方が力説していた点ですが、スタティックでなくダイナミックな文脈での政策のオプション化を考える必要があるでしょう。

吉野 裕

ODAの質の改善と国際水準の確保を

IMFの植田です。

どうも経済開発と人間開発が違うものだという見方が主流のようですが、経済成長論や開発論の研究者であれば、経済の発展成長にもっとも重要なのは、主に教育と医療衛生の充実を通じた人間への投資であることに異論はないはずです。違いがあるとすれば、経済発展の観点からみれば、人間への投資と同時に、民間部門が資本蓄積をスムースにできるような制度や公共インフラの拡充も図るべきとなります。

植田

ODAの質の改善と国際水準の確保を

NY国連フォーラム、DC開発フォーラムの皆さん、

今週はユニセフの執行理事会が開催されており、私が忙しくしている間にこの議論も地球を一回りしてきました。中村さん、仲居さん、上田さん(お久しぶりです。)、紀谷さん、そして須永さん、コメントありがとうございます。

世銀がどこにゆくのかについてはもう少し様子をみないといけないのでしょうが、経済中心のアプローチをとるのか、それとも貧困削減に焦点をあてるべきかの議論は、やはり開発の中心議題として、先のよく見えないこの時期にこそ議論すべきであると思います。

話はちょっと遡りますが、私は、以前1997年に経済中心の「旧パラダイム」と人間中心の「新パラダイム」について日本の国際開発学界で発表したことがあって、それ以来この対比について考えてきました。この対比の仕方については、「経済中心のかつてのODAのアプローチが人々を非力化してきたのに対し、人間中心のアプローチは人々をエンパワーする」という議論でしたから、いろいろな反論や賛同を受けました。佐藤寛さんが編集したアジア経済研究所の「開発援助入門」の一章にこの対照表を入れたときも原稿の段階で他の審査者から丁寧な反論が出ました。現在の結論としては、これはマクロの視点からのアプローチとマイクロ・レベルの視点からのアプローチの違いであって、このふたつのアプローチの相補的な関係を作り出すアプローチが必要だ考えています。その意味で、成長も貧困削減も同時に見ないといけないという議論やPro-Poorの経済政策という考えともそう変わらないと思っています。

しかしこの問題の大事な点は、どちらがいいかというよりも、そのバランスの悪さにあります。日本のODAを例にとっていえば、日本のODAがいまだに経済インフラを中心とした部分に大半のお金を使っており、人間開発に直接結びつく、基礎保健、基礎教育、簡易の給水や衛生設備など「基礎社会開発」分野にほんの少し(DACの数値で2-3%)しか使っていないということです。MDGの大半は、これらの分野の改善によって達成されるわけですから、日本のODAではMDGにほとんどインパクトがないということになります。(これは、日本だけでなく、世銀にしても同じだと思います。二年ほど前に世銀のHuman Developmentのポートフォリオが五年間で10%から30%になったと世銀幹部が豪語していましたが、その割合が今後減ると言うことになると残念ですね。)

それでは、日本のODAをどうしろというのか、ということですが、それはあまり難しい話ではなくて、これら基礎社会開発分野への支援を少し強化すればよいのです。この分野に10-15%、できれば20%程度をつぎ込むことです。そうすれば、ODA予算の伸びがなくても、MDGの達成に大きく貢献できるといえます。これがODAの効果を高め、質を改善し、アフリカの問題解決に大きく貢献するということにつながります。たとえば、日本政府が先に発表した、「アフリカへ蚊帳一千万帳の支援をする」というのは、子どもと妊産婦の死亡率を低減してMDGに大きな効果があるだけでなく、世界のマラリア対策に先鞭を切ったいい例だといえます。この費用は6-8千万ドルくらいでしょうから、低コスト、高インパクトのいい例でもあります。

一方、GNIの0.2%を切ってしまったODAの総額は、国際標準からしても、日本人一般の人々の感覚からしても、お粗末なものだといえるのではないでしょうか。膨大な公共工事や防衛費などと比較しても、世界に貢献する国とは言いがたいでしょう。せめて、EU諸国と並んで0.5%くらいの水準に2010年までにもっていくべきでしょう。ODAは税金でまかなっているのですから、「国民の皆さん、年間400万円の収入から2万円をODAとして出して、世界の貧困をなくし、紛争を予防し、環境改善を進めて見ませんか?」と、問いかけてみたらどうでしょうか。「核戦争や紛争、テロ、環境破壊、感染症の蔓延などから日本を守り、世界に胸をはって暮らしませんか?」と問いかけてみてはどうでしょう。私なら即払いますが、皆さんいかがでしょうか。給料から天引きの人も、注文くらいは付けるのではないでしょうか。

折りしも政府の経済財政諮問会議が「骨太の方針」を出そうとしているときですから、ODAの質の改善と国際的な水準の確保を明確に入れてほしいですね。地球の裏側からいっても聞こえないかもしれませんが。国内の政治的、経済的優先事項をすべて検討した後に、残った予算でODAを考えるのではなく、日本国憲法の前文にあるこの言葉を骨太の方針に盛り込むのは、今をおいてはないのではないでしょうか。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

久木田

成長か貧困か、そもそも開発か?

皆様へ、

 国連代表部経済部の須永です。当代表部で主催したシンポジウムで議論されたとがこのフォーラムで議論の的になって喜んでいます。このシンポジウムは、日本は9月の国連首脳会議に向けて安保理改革だけをやっているわけではなく、開発にも一生懸命取り組んでいることを示すことが目的でした。でも、ただ開発と言ってもMDGsなどは国連では飽きるほど議論されているので、新味を出すために、これまであまり注目されてこなかった、内陸国や小島嶼国、それから日本が得意としている南南協力などに焦点を当てることにしました。
 ステイグリッツ教授に私がお願いしたときには、特に注文はつけずに同教授の開発に関する考えを披露していただきたいと伝えただけでしたが、同教授は、期せずして、成長は必ずしも貧困層に裨益しない、援助は万能薬ではない、農業生産性の向上が必要、国際貿易における特恵措置の拡大が重要、知的所有権の問題や熱帯雨林の保護も重要と述べるなど、多岐にわたる論点に触れた上で、援助においてone-size-fits-allな考えは機能しないと最後の方でまとめていました。日頃、当代表部が述べていた論点(日本と考え方が違う点もありましたが)が取り上げられて、少々おどろきました。国連においてはミレニアム・プロジェクトのサックス教授が活躍しており、当代表部でもかなりの頻度で同教授と議論をしてきましたが、私は、同教授の主張がMDGSを達成するためには援助資金の量を増大しなければならないという点に焦点が当てられすぎていると考えており、今回のシンポジウムではステイグリッツ教授にお願いして、結果としていろいろな論点が出てきて良かったと思っています。このシンポジウムの模様はいずれ当地のForeign  Policy  Associationのホームページにも掲載される予定ですので、関心のある方はお読みください。
  ところで、貧困撲滅と経済成長の関係についてはいろいろな研究があり、私のようなものが語るには大きすぎるテーマですが、政策的な含意も多いと思います。私が携わった新ODA大綱においてもこの問題は大きな議論になりました。日本は東アジアの経験などをふまえて経済成長を通じる貧困削減を主張しているわけですが、ステイグリッツ教授が言っているような有力な反論(久木田さんのメールを参照)もあるわけです。でも最近では、英国のアフリカ委員会報告書も経済成長の必要性を認めているし、以前の貧困削減一辺倒から少しずつ流れが変わってきているような気もしています。因みに、この議論の政策的含意の一つとしては、日本の主張が正しいとするなら、インフラを重視して借款も投入する援助政策もある程度有効ということになるでしょう。ただし、外務省の経協局にいるときに、私が学者やNGOに同様の主張をしたらいろいろな反論に会いました。まさに紀谷さんが言うように国ごとに考える必要があって、one-size-fits-allな結論はないのかもしれません。
  話しは尽きませんが、当代表部のシンポジウムが契機となり、この古くて新しい問題がこのフォーラムで議論されたこと歓迎します。

2005/06/07

成長か貧困か、そもそも開発か?

DC開発フォーラム、NY国連フォーラムの皆様

在バングラデシュ大の紀谷です。ユニセフ本部の久木田さんからの投稿を機に始まった本件議論を興味深く拝読しております。NY・ジュネーブと来たので今度は途上国現地からということで一言コメントさせていただきます。(脱線ですが、最近世界各地から活発な意見投稿があって面白いですね。)

当地での実感としては、「成長か貧困か」ではなく、「成長も貧困も」大事であり、双方とも実現するための方策は、国ごとの創意工夫が重要、というものです。

成長と貧困の関係を分析し一般化・定式化することは、学術的に興味がある話ですし、途上国全体を十把一絡(じゅっぱひとからげ)に見なければならない国際機関・会議や先進国での議論にとっては重要なのかもしれません。また、そのような分析が、あるいは個々の途上国にとって新たな視点をもたらすのかもしれません。

しかし、個々の途上国を見た場合に、まず大切なことは、それまでの開発努力の成果と問題点を分析し、どのようにすれば最も効果的に中長期的な国民の貧困削減を達成できるかということではないかと思います。

例えば、バングラデシュの場合は、貧困層に焦点を当てた巨大ローカルNGOであるBRACの活動、同じく貧困層へのマイクロファイナンスを推進したグラミン銀行などがありますが、(都市国家を除き)世界最大の人口密度・1億3千万人以上の人口を養うには、輸出の8割を占める縫製業や新たな産業の開拓で成長を確保する必要があります。そのためには、電力・港湾・道路・橋等の大規模インフラや規制枠組みの改善等が重要です。

このような視点から、バングラデシュのPRSPでは、「成長、人間開発、ガバナンス」の3政策をベースに、国の社会的・経済的エネルギーを開花させる(Unlocking the Potential)ための触媒として、「雇用、栄養、母子保健、水・衛生、初等・中等・職業教育、警察・司法、地方行政」という7つの(中期的)戦略課題を掲げています。

成長と貧困の関係に関する美しい整理は、途上国毎の現実に適用した場合に雲散霧消してしまい、国毎に「まず何に取り組むべきか」というCritical Driversの発見こそが大事なのではないでしょうか。

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というのが開発の世界の議論なのでしょうが、ここで、6月6日に発表された財政制度等審議会の「平成18年度予算編成の基本的考え方について」という建議を見ると、次のようなラインになっています。

「6.政府開発援助

 ODAに対しては、国民より、その効果や効率性について様々な批判があり、その規模についても厳しい見方がなされている。会計検査院等からもODA事業の非効率な事例の指摘が数多くなされている。こうした国民の厳しい見方や深刻な財政状況に鑑み、これまでODA予算の縮減を図ってきたところであるが、極めて厳しい財政事情の下、今後も量重視から質重視へ考え方の転換を図りつつ、援助対象国の一層の重点化や援助手法の見直し等による、徹底した戦略化・効率化を進め、予算の縮減に取り組んでいくべきである。

 また、近年、国連分担金やPKO分担金等の国際貢献に関する財政支出が増加してきているが、厳しい財政事情に鑑み、これらの経費のあり方についても厳しく見直していく必要がある。」

http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/tosin/
zaiseia170606/zaiseia170606.htm


世界での問題の状況に一切言及がなく、国民の批判や会計検査院の指摘のみを引いて、極めて厳しい財政事情の下、予算の縮減を提案しています・・・

日本の開発関係者としては、開発政策研究の最先端の議論に参画しながら、他方でそのような事情にほとんど目を向けない人たちに対して、日本が開発問題の解決に向けて重要な役割を担う意義を説明していかなければならないという、厳しい二正面作戦を今後とも続けていかなければならないと思います。

このような中で、例えば「国内の更なる公共事業と海外援助のどちらが重要か」、また「国内の公共事業の無駄を省いて海外援助にまわすべきではないか」といった、国家予算のパイの配分に関する明示的な政策論議も行う必要があるのではないでしょうか。

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最後に情報紹介ですが、6月6日に東京でODA総合戦略会議が開催され、その資料がウェブサイトに掲載されました。対アフリカ支援、我が国のODAを巡る現状と課題、ガーナ・エチオピア・バングラデシュ国別援助計画等の関連資料を見ることができます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/kondankai/
senryaku/22_shiryo/giji_s_1.html


特に、ODA評価有識者会議による平成16年度評価結果の概要に記されている提言は、戦略的・効果的・効率的援助、援助能力の強化(事業の質の確保、援助スキームの改善・柔軟化)、ドナー協調に対する柔軟な対応、上位計画・行政能力向上に対する支援、MDG関連の支援の強化など、いずれも貴重なものです。(バングラデシュ国別評価の結果も盛り込まれています。)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kaikaku/kondankai/
senryaku/22_shiryo/shiryo_5.html


このように、東京で行われる会議の資料が翌日にはウェブに載るというのは大変ありがたいことです。(ちゃんと遠くで読んでいます!)

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以上、随分長くなってしまいましたが、今後とも、ML上で議論しつつ、私たち自身による具体的な行動につなげていくことが大事ではないかと思っております。皆様からの投稿を楽しみにしております。

世銀はどこへいくのか?

ジュネーブのILOにおります上田と申します。(久木田さんお久しぶりです。)つい最近国連フォーラムと開発フォーラムの存在を知り、皆さんの議論を興味を持って拝見しておりました。
開発の分野では影響力の大きい世銀だけに、(これはもちろん世銀に限りませんが)特にトップが変わることで優先分野の変更、それに伴っての機構改革が行われるのが通例となっているようなので、今回の久木田さんの報告と問題提起は私も大いに関心を持つところです。
さて、成長が必ずしも貧困をなくさないのは明らかですが、成長なくしては貧困をなくすことは、(少なくとも国内政治の面で)非常に困難ですから、いかに「貧困層にやさしい」成長(Pro-poor growth)を確保するのかということが課題でしょう。その為には、スティグリッツ教授のおっしゃることはすべて実行することが必要であって、もしもこれらが本当に「ワシントン・コンセンサス後のコンセンサス」となっているのであれば大歓迎ですが、実際どうなのでしょうか。(ワシントン地区の皆さんいかがですか?)
開発は生活が良くなる事だと(別に誰に言われようとあまりにも当たり前なことのようにも思えますが)確かロバート・チェンバースが定義しましたが、ここで敢えて成長側の議論をしますと、健康で教育を受ける機会があっても、その後で十分な収入が得られなければ教育・保健への投資も無駄になってしまい生活が良くならないばかりか、逆に次の世代の教育への意欲もそがれてしまいます。(実際、世界の多くの国で学校は出たけれど仕事が見つからないという若者がたくさんいます。ただ、貧しい若者は「失業」していられませんが。)収入を向上するためには、世銀の言う「投資環境」の整備が同時に必要です。「投資」という言い方で、お金だけ扱っているように(投資家だけのためだと)誤解される恐れはありますが、実際は政府の役割(ガバナンス)、貧困層など社会的弱者の参加、市場経済の下で経済活動をおこなうことに伴うリスクを軽減するためのセーフティーネットの拡充、教育・保健に代表されるような社会サービスの充実、自然環境との調和といったものは、貧富の差の拡大を最小限に抑えながらも成長を確保するために、人々の生活が良くなっていくために、すべて重要な要素です。
ただ、たとえば成長のためのインフラ整備を例としてみると、インフラ自体が良い悪いというよりは、どのようなインフラをどうやって整備するかということが議論されるべきでしょう。たとえば、山奥の村に住んでいる人たちにとって一年中使える道路がないと、経済活動はともかく、クリニックや学校に行くにも困難です。 また、地元の人たちの収入によりつながるような道路建設・維持が可能です。
御察しの通り私はILOに居りますので、収入を向上しないで(仕事を得ないで、あるいは作らないで)貧困をなくすことはできないのではないかと考えてしまいます。また、まともな仕事を得る(作る)ためには、権利、社会保護、参加ということが当然ことながら必要となりますが、こう考えるのは、もしかすると、ILOに長く居すぎる証拠でしょうか。

世銀の今後の行く末に関する議論は総裁の交代もありますが、世銀のOperations Evaluations Department の出しました2004 Annual Review of Development Effectiveness (ARDE) http://www.worldbank.org/oed/arde/2004/?intcmp=5111010からにも由来すると聞いております。この報告書では世銀の貧困に関する戦略は成長と社会面の二つの柱があって、この二つの相互関連に関する認識が薄かったという反省が書かれています。どんな組織でも内部の部局相互の協力を促進するのは大変に難しいものがありますが、今後世銀がどのように内部機構の問題に対応していくのか、もし、世銀が援助の分野を絞るのであれば、残された援助課題を他のどの機関が実行するのか、その為の資金をどう確保するのか、というより、ドナー国がどの様に資金配分を他の機関にもするのかといった課題につながっていきます。それから、世銀の動向いかんにかかわらず、世銀や他の開発銀行と国連機関との、そして、国連各機関同士の協力が必要です。この協力には政策自体の整合性を確保することと、現場での調整との両方が含まれます。
また、世銀などの開発銀行にあれだけのグラントの資金(トラストファンド?)が流れる一方で国連各機関への技術協力資金の流れが減少しているように思えるのはお金のない一国連機関に勤める者の僻みでしょうか。
上田 隆文

貧困削減か、経済成長か

ニューヨーク国連フォーラムの皆様、

UNICEFコンサルタント、兼、ニューヨーク国連フォーラム幹事の仲居宏太郎です。今回は、UNICEFのコンサルタントというよりは、国際人権法をつい最近まで勉強していた者として投稿させていただきたいと思います。

久木田さん、興味深いスティグリッツ教授の講演内容とコメント、ありがとうございます。貧困削減か、経済成長か? どちらも人間の発展にとって大切なので、たいへんに難しい問題であると思います。「援助は増やすべきだという議論をしました。援助は万能薬ではないが、援助がなければMDGsは達成できない。正しいフォーカスをすると同時に援助の量をもっと増やすべきだ。貿易上の特権を貧しい国に与えるべきだ。知的所有権の問題を見直すべきだ。武器の取引をやめるべだ。最後に、先進国は熱帯雨林の保持にお金を払うべきだ...」 私もスティグリッツ教授の意見に賛成です。
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私自身の立場からの結論から申し上げたいと思います。

私の意見としましては、仮に経済成長に重点を置くとしても、社会権規約(ICESCR)や児童の権利条約(CRC)のような国連の人権条約の立場から、見逃せない視点があるとおもいます。国際金融機関が貧困削減、または、経済的、社会的権利の保障を軽視する(例えば、生活水準・貧富の差、少数民族の経済的、社会的権利などの軽視、経済成長重視のための過度のPrivatisation、地域産業、貧困層を無視した度を越した貿易自由化の促進など)のは、上記の国連人権条約の義務と矛盾しているかのように思われます。

社会権規約や児童の権利条約は、締約国に国際的な援助及び協力を通じて、発展途上国をはじめとする国々の人々の経済的、社会的権利を実現に近づけるための努力をする義務を定めています(ICESCR 第2条 ・General Comment on the Implementation of the ICESCR No.3、CRC 第4条「国際的協力の枠内で...措置を講ずる」)。それ故、これらの条約の締約国であり、かつ、国際金融機関の意思決定に関与する国家はその意思決定に際して、これらの条約の義務に違反しないように相当な注意を払う義務があると考えられます。(ちなみに、日本、ドイツ、フランス、UK等は両方の条約の締約国です。残念な話ですが、アメリカはどちらの条約の締約国でもありません。)
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以下、特に社会権規約と国際金融機関に関して、より詳しい説明を加えたいと思います。

社会権規約とは?
社会権規約(The International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights -ICESCR) は、1966年に国連総会で採択され、1976年に発効した国連の条約です。2005年4月27日の時点で151カ国がこの条約の締約国です。この社会権規約は、世界人権宣言よりもより包括的な経済的、社会的、文化的権利を含んでいます。
例えば...
社会保障についての権利
家族、母親、児童の保護
生活水準についての権利
教育についての権利(無償義務教育など含む)
健康を享受する権利
人種、性、宗教、政治的意見等に基づく差別をせずに、上記の権利をはじめとする権利を各々の締約国は、必要な措置を講ずることにより漸進的に人々に対して実現していく義務を負っています。また、締約国は、国際的な援助及び協力を通じて行動をとる義務を負っていることもたいへん重要なポイントです。
(参照: http://www.ohchr.org/english/law/cescr.htm)
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それでは、国際人権法の立場から、なぜ、国際金融機関は社会権規約を念頭において行動すべきなのか? 私なりの法的な正当性について、1.国連憲章と世界人権宣言、2.社会権規約第2条のそれぞれを基礎にした議論をしたいと思います。(私が以前に書いたTerm Paperからの引用に若干の変更を加えたものなので英語になってしまいますが、どうか御容赦ください。)

1. "UN Charter Argument"

Today, almost all states are party to the UN Charter. Human rights provisions of the Charter as well as the Universal Declaration of Human Rights (UDHR) are binding on them, including members of Inter