2005/01/31

スーダンにおける地雷状況報告

NY国連フォーラムの皆様

こんばんは。
国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)のHPに『スーダンにおける地雷状況報告』が掲載されています。

以下、HPより
スーダンでは、2005年1月9日に政府と反政府勢力のスーダン人民解放軍(SPLM)の間で包括的和平合意が締結され、20年以上に及んだ内戦が終了しました。然しながら、内戦において埋設された地雷や不発弾などの爆発物は、死傷者を出し、難民の帰還や緊急的人道支援活動、ひいては耕地を奪い人々の生産活動の妨げになるなど、今もなお同国における復興支援活動の大きな障害となっています。

現在スーダンには、地雷対策活動を担当する政府機関である国家地雷対策事務所(National Mine Action Office)が国連関係機関(国連PKO局地雷対策サービス部:UNMASや国連プロジェクト・サービス機関:UNOPS等)の協力のもとに、「地雷による被害をなくす("To make Sudan Mine-free")」ために積極的な活動を行っています。今般、国家地雷対策事務所がUNMAS・UNOPSの協力の下に、スーダンにおける地雷状況を報告するニュースレター第1号(2005年1月英文)を出し、以下の活動について報告しています。

主要活動内容
― スーダン政府の地雷対策活動のキャパシティービルディング(関係機関の設立、人材の養成等)
― 円滑な人道的支援活動を援助するための緊急的地雷除去活動(*2004年までに約14万個の地雷等を処理し、約97,000平方メートルの土地を地雷処理)
― 地雷対策活動に関わる国内NGOの育成・支援
― 国内において地雷回避教育に携わる関係機関の育成・支援
― 地雷や不発弾による負傷・死亡者数の定期的モニタリングや、地雷犠牲者のリハビリおよび社会的・経済的復帰の支援

なお、ニュースレターを見たい方は、
http://www.unops.or.jp/doc/sudan.html
に載っておりますので、ご参照下さい。


立命館大学
国際関係学部国際インスティチュート所属(予定)

Youth Ending Hunger JAPAN
吉川 遼

2005/01/29

Sebastian Mallaby氏講演「The World Bank and its Enemies」概要

DCフォーラム、UNフォーラムの皆さんへ

コロンビア大学SIPA(在ニューヨーク)の中村秀規です。本日1月27日、ワシントンポストコラムニストで"The World's Banker"の著者であるSebastian Mallaby氏の世銀に関する公開講演が大学にて行われました。参加しましたので、個人的な質問への回答も含め、論点の幾つかをご紹介します。


--
演題:The World Bank and its Enemies: How the Left and the Right Conspire to Undermine Development

論点:
1.(世銀における)開発のトレンドと、安全保障からの開発への要請には緊張関係がある

開発の歴史を振り返ると、1950年代には開発途上国におけるファイナンシャルギャップを埋めるべく、ダム、道路、電力施設といった物理的なインフラストラクチャーへの投資が行われ、1960年代後半から1970年代前半には教育や保健衛生といった人的資本やsocialcapitalへの投資が重視され、1980年代に入ると、プロジェクトよりも大きな政策のレベルでの介入として構造調整やマクロ経済安定化政策が強調され、そして1990年代に入ってからは、経済のみならず政治的な事柄、つまり汚職や政府の統治能力が問題視されるようになった。良い統治を行っている国に選択的に援助を行い、援助資金が真に援助目的に使われることを目指すというわけである。

一方で9/11以降、安全保障の観点から貧困を問題視するグループは、failed statesにこそ開発の効果が及ばなければならないと主張する。

貧困の程度と、汚職や人権侵害の程度は相関していることが多く、どのように介入するかは難しい。汚職がある程度を越えたら援助を止めるという適切なポイントがあるはずだ。

大事なことは世銀のクライアントは「国家」でなく「人々」であって、援助対象国内における民主的な集団意思決定の仕組みを実現できるかどうかだ。貧困削減戦略(PRSP)はそのための試みの一つであり、英国開発NGOのOxfamを中心としたウガンダでの活動の成功がPRSP導入の発端となった。

インドネシアでは汚職の問題に対応するため、人類学者がローカルレベルで援助資金がいかに正当性legitimacyをもって使われるかが分かる仕組みを作って援助を行ったという事例がある。

本当に「人々」が開発への意志を抱いているかどうかについては、アフリカかアジアかラテン・アメリカかという地域差に関わらず、生活を良くしたいという願いがあると感じている。ただし実際に住んだ経験からも、アフリカでは特に、100年前後に及ぶ植民地支配によって元あった社会の仕組みが破壊されたために人々への負の影響が大きく、開発の難しさの一因となっているのではないか。

いずれにしても開発、安全保障、両方の側からの要請は、貧困国に対する拘束衣として、国内安全保障の実績に関する政治的圧力をもたらしている。

2.左派、右派双方の世銀に対する認識は誤解である

左派は、世銀が市場至上主義であって画一化された政策を援助対象国に押し付けているとして世銀を批判し、また右派は世銀が非効率な「公的機関」であることを理由として世銀を批判するが、これは正しい認識とは言えない。200人以上の世銀職員にインタビューを行ったが、もっときめ細かな認識を持ち、また貧困問題への真摯な関心をもって職務に取り組んでいるというのが印象であった。

世銀の能力はシティグループ(金融)とマッキンゼ-(経営コンサルティング)を組み合わせたところにある。また世銀は世界でもっとも効果的な多国籍資金管理者であると言える。実際にユネスコやHIV/AIDSのプロジェクトにおいても資金管理は世銀が行っている。

IMFがマクロ経済の安定を任務とし、またアジア金融危機において見られたように機動的/短期的な対応を行うのに対して、世銀は非常に幅広い事項を対象としており、また長期的な対応を行う機関である。一例として乳幼児死亡率の低下を取り上げてみても、保健衛生、栄養、水、母親教育、所得向上、マーケットや公共サービスへのアクセスのためのインフラ、さらにはインフレといったマクロ経済動向など、多様な事項が考慮すべき事柄として挙がってくる。

世銀内部の対立軸として経済成長優先か、貧困削減優先か、がある。一般論として経済成長なくして貧困削減もないと考えられているが、経済成長しつつ不平等度が増している場合などは問題だ。

世銀の運営に関する対立軸としてはスピード/効率性の優先か、説明責任の優先か、がある。現状では世銀の理事会の運営は説明責任に重きが置かれ、意思決定は遅い。この問題への対処は、内向きでなく外向きの経営を行う、というのが一つの方向性であろう。

反グローバリゼーションを唱える左派からの批判に関しては、ウォルフェンソン総裁の主導によりNGOの意見を聞く制度を設けたほか、ジョセフ・スティグリッツがチーフエコノミストであったときにはデモを行う人々に対して「彼等の意見はある程度当を得たものだ」とコメントしたことがある。

世銀の最大の出資国は米国であり、設立後一貫して米国が世銀総裁を選んできた。ウォルフェンソン総裁は元オーストラリア人だが、総裁になるにあたって米国籍を取得した。ヨーロッパ人総裁を立てる動きもあるが実現に至っていない。米国がグローバルな課題についてリーダーシップを取ることは、その国力が必要とされていることを考慮すれば一概に問題だとも言えない。

次期世銀総裁に望まれる資質は、1)開発についての知識・経験があること(開発の現場を知らない人は適切な判断ができない)、2)大きな公的機関の経営を行ったことがあること(民間出身者による改革断行も効果的だが、それだけでは公的機関である世銀の経営には不適切)、そして3)達意のコミュニケーションが行えること(世銀は批判者に囲まれている)である。

2005/01/26

世界銀行より(津波災害について)

NY国連フォーラムの皆様

世界銀行のHPにインド洋大津波暫定レポートがUPされております。ちなみに、インドネシアの被害は45億ドル相当だそうです。

世界銀行
http://web.worldbank.org
/WBSITE/EXTERNAL/COUNTRIES/0,,
contentMDK:20311413%7EpagePK:137040%7EpiPK:137042%7EtheSitePK:
136917,00.html



です。ご参照下さい。

Youth Ending Hunger JAPAN

吉川 遼

2005/01/23

スリランカ津波災害支援について(コロンボからの現状報告)

DC開発フォーラム、NY国連フォーラムの皆様

在バングラデシュ日本大使館の紀谷です。devforumでの中南米シャーガス病対策の成功事例の報告(地域固有の疾病対策も大変重要ですね)、またnyunforumでの吉原さんからの国連防災世界会議の臨場感あふれる実況中継など、楽しく読ませていただきました。どうもありがとうございます。

先週から、スリランカのコロンボに、津波災害支援の応援出張に来ております。被災地の現場には行く機会がありませんでしたが、多くの関係者からお話を伺ったほか、私も大使館で若干の作業を手伝いました。世界中の人たちの関心を集めたテーマということで、日本の支援がどのように進展しているのか、現状の一端を紹介させていただきたいと思います。お時間とご関心がありましたらご一読いただければ幸いです。

●医療チーム第2次隊帰国へ

今回の津波災害で、日本の国際緊急援助隊の医療チームは現地に一番乗りしました。(二番はイスラエルだったそうです。)緊急援助隊は、長年の経験を経て、緊急招集・現地入りのための人的・物的体制は、世界的にもかなり高い水準になっていると改めて感じました。

1月17日の夜に、医療チーム第2次隊が東部のアンパラから引き上げて当地を出発する前にお会いしました。被災直後の大きな外科患者は減ってきましたが、怪我が化膿した患者や内科の患者など、日本語・シンハラ語・タミール語の通訳を経由しながら、1日100人以上を効率よく治療できた由です。

夜はテントの中にベッドを敷き詰めて寝る形で、虫にも随分刺されてご苦労が多かったとのことですが、自ら志願して被災地の前線に立ち、現地の方のお役に立てる充実感を強く感じておられるようでした。

●80億円のノンプロ無償・交換公文署名!

同じく1月17日、スリランカに80億円、モルジブに20億円のノンプロジェクト方式無償資金協力の交換公文署名式が行われ、当地でも大きく報道されました。今回の一連の支援の中核であり、金額が大きいのみならず、迅速に緩やかな条件で調達できる内容の画期的なものだと思います。

今後、これを如何に効果的に執行していくかが大きな課題です。丁度17日の朝にJICA調査団が当地入りし、このノンプロ無償も活用した案件形成を打ち合わせたほか、18日、21日には執行に向けて先方政府とハイレベルの協議を早速行い、その間調達担当のJICSも交えて現地ODAタスクフォース会合を開くなど、大車輪で作業を進めています。

●ADB・世銀・JBIC共同ニーズアセスメントも進行中

また、前の週からADB・世銀・JBICの共同ニーズアセスメントが始まっていました。1月19日にはADB事務所でドナー調整会合が開催され、ADB・世銀・JBICから他のドナーに対して、進捗状況の説明が行われました。今後の実施段階では、他のドナーも運営体制に入ることとなりました。

当地では、世銀・ADB・日本の3ドナーで全体の8割を占めていますが、昨今の和平問題や今回の津波災害などで、バイのドナーも関心が高まっているようです。日本も主要ドナーの地位に安住することなく、世界の善意を活用する形で、今後とも援助調整を積極的に行うことが求められているように感じました。

●国際機関経由の無償のフォローアップ

別途、2億5千万ドルが、15の国際機関に拠出されました。このうち多くがスリランカで実施されます。その迅速・適切な執行の確保も大きな課題です。

1月18日にはUN-HABITAT福岡事務所の佐藤さん、19日にはユニセフ本部の久木田さんが大使館を来訪し、執行方針につき調整を行いました。また、当地の関係国際機関代表にも、適切な執行・報告等を行うよう要請しています。

●現地でのチームワークが大きな鍵に

今回、わずか一週間ではありますが、当地の関係者と一緒に働いて強く感じたのは、チームワークでした。

ある人は「役者が揃っていた」といっていましたが、須田大使・軽部公使・大西班長ほか館員の皆さん、そしてJICAの植嶋所長、JBICの江島首席はじめODAチームの皆さんは、ほぼ毎日顔を合わせて、上記の各種スキーム実施を手際よく進めていました。今回の津波災害では、立ち上がりから待ったなしの作業が続いた由ですが、モラルは極めて高く、強い印象を受けました。(それでも皆さんお疲れで、大変だったことと思います。)

私自身は今晩でダッカに向けて出発しますので心苦しい限りですが、今後、コミットした支援の効果的な執行に向けて、引き続きご活躍いただければ幸いです。また、今回の経験や成果が忘れ去られることなく、むしろ多くの人たちに共有され、このようなプラクティスが広がっていくよう、是非何らかの形で記録にとどめていただければ嬉しく思います。

余談ですが、今回の出張で様々な方と再会して、開発の世界の狭さを感じました。大使館の大西経協班長は、2年前のジャマイカでの調和化中南米ワークショップでお世話になりましたし、元InterAction(米NGO連合体)のRichard Forrestさん、JICA当地事務所で援助協調担当の守満さんとも、ワシントン以来初めて再会しました。ユニセフ本部の久木田さん、長崎大学(前外務省国際保健担当者)の國井先生も当地を来訪中ということで、久しぶりにお会いしま
した。JBIC本店バングラ担当の木村課長はスリランカもご担当ということで、こちらでもお会いしました。

今回の津波災害では、devforumやnyunforumの皆様も、様々な形で支援に関わられたことと思います。ご意見・ご感想や、各地からのご報告などいただければ幸いです。

在バングラデシュ日本大使館・紀谷拝
kiya@kiya.net

【ご参考】
日本のスマトラ沖大地震・インド洋津波被害支援
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/asia/
sumatra_tsunami.html

当地・景山綾子さんブログの現地津波被害情報
http://bohemian.exblog.jp/i8
スリランカ政府の津波対応ウェブサイト
http://www.cnosrilanka.org/

2005/01/21

国連の人事

NYフォーラムのみなさま
 すみません、最近同じタイトルで別のものを流したりしていますね。
疲労しているのでごめんなさい。
 さて、今度は変わって村上龍の金融を主とするウェブサイトがありますが、
その中で週に1回ペンネーム春具という方がエッセイを書いています。
今日の記事はおもしろかったので以下にリンクを張ります。
リンクフリーと同HPの冒頭に書いていましたので安心を。

http://ryumurakami.jmm.co.jp/recent.html

吉原健吾拝@外務省地球環境課

2005/01/16

国連防災世界会議

田瀬兄、そのほかみなさま。
 まずは回想映像の中で、これが一番わかりやすいと思いますのでご覧ください。
http://19950117.msn.co.jp/

よしはらけんご拝@外務省地球環境課



2005/01/12

人間の安全保障基金

NY国連フォーラムのみなさまへ。国連事務局人間の安全保障ユニット、田瀬です。

昨1月10日付でエグランド次長が各機関の長に通達を発し、日本が国連に拠出している「人間の安全保障基金」の運営方針が一新され、審査手続などが大幅に簡素化されましたのでご報告します。ややテクニカルな面もありますが、特に国連機関職員のみなさまにはご興味のある話かもしれないので、以下投稿いたします。

「人間の安全保障基金」は故小渕総理の時に日本の提案をアナン事務総長が受ける形で設置された国連の一般信託基金で、1999年3月からの累計拠出額は2億5480万ドル(日本単独)と、国連の中でも最大の一般信託基金です(詳しくは外務省のホームページをご覧下さい)。すでにこのうちの約半分が100以上の国連の事業に割り当てられ、世界中で脅威にさらされている人々を助けるために使われてきました。事業申請ができるのは、国連の財務規則に拘束されるいわゆる「国連機関」に限られています。

ところがこの基金、承認された事業の実績については文句なしに良い結果を出してきているのですが、事業が承認されるまでの審査過程について、これまで申請する側の国連機関からは「審査基準が曖昧で分かりにくい」「日本政府と国連事務局の言うことが違う」「審査に時間がかかりすぎて状況が変わってしまった」など、多くの点で批判がありました。実際、これまでは日本政府と国連事務局が別々に、かつ非常に厳格な審査を行なっていたため、時として申請から承認までに1年あるいは2年以上を要する場合がありました。また、日本政府と国連事務局の政策的な着眼点が違い、その違いがなかなか埋められない場合もありました。

緒方貞子さんが議長を務められた「人間の安全保障委員会」の結論(2003年5月)の中には、この基金を含めた国際社会の資源をより効果的・効率的に使うべし、ということが含まれています。そしてこれを受けて、国連とドナーである日本が協力し「人間の安全保障諮問委員会」という諮問機関を立ち上げ、やはり緒方さんに議長をお願いしました。この諮問委員会はアナン事務総長に対して「人間の安全保障」についての助言を行なうことになっていて、今回のこの基金のオーバーホール(分解修理)作業も、この諮問委員会の勧告を受けてなされたものです。具体的には、国連と日本政府が連携し、基金のルールを定める「ガイドライン」のサブスタンス部分を2003年11月に完全に書き換え、今回2005年1月には審査手続の部分を完全に書き換えました。

今回の運営方針改定の要点は、なんといっても「日本と国連事務局および国連機関が可能な限りすべての段階で共同で意思決定を行なう」ということかと思います。過去に、日本政府は基金を利用して日本外交特有の目的(国際会議での支援プレッジなど)を達成しようとしてきた側面がありましたし、国連事務局は事務局でこれは国連に信託された基金なのだから日本には口を出さないでほしい、とする面がありました。今回の改定では、こうした意地の張合いや対立はやめ、戦略的な資源配分から審査、実施に至るまで、日本と国連事務局および国連機関が可能な限り一緒に方針を決めていくべきだ、ということが前提となっています。審査機関も大幅に短縮される予定ですが、それ以上に、今後の日本と国連の関係を考えていく上で重要な側面があると思います。

私は、こうしたプロセスは、もっと大きな絵を考えるとき、日本ないし日本外交が避けて通ることのできない過程の典型だと思っています。すなわち、自分が主張する考えを国際社会で通用させようと思ったり他人にも信じさせようと思えば、ただ声高に主張するだけでは物事は動きません。そうではなく、一緒に考える仲間を増やし、あるときは自分の主張から一歩譲ってでもその仲間が「自らの意志で担がざるをえない」ように持っていく(すでに国連は人間の安全保障を一定程度自らのイニシアティブとして担がざるを得ない状況にあります)ことが、国際社会の規範づくりの上では重要な戦略だと思います。人間の安全保障に関し、(緒方貞子という巨人の力を借りた側面はあっても)日本はすでに国連事務局を取り込むことに大成功を収めています。今後、この支持を国連加盟国の間に広げていけるかという点に、真の外交の力が問われているとも言えましょう。

基金のこと、詳しく知りたい方はいつでもご連絡を。近々人間の安全保障ユニットのウェブサイトも立ち上がります(ユニット職員の長島由華さんが必死で作業しています)。また20日にはNYで、その後順次ジュネーブ(26日)、ウイーン(28日)、ローマ(31日)に国連機関向けの説明会を行なう予定です。私が参りますので、ご興味のある方はご連絡下さい。

それではまた投稿いたします。長くなってごめんなさい。

2005/01/10

ガバナンスと政策決定過程

NYフォーラムの皆さん、初めまして。田瀬さん、少しお久しぶりです。

ニュージャージーのRutgers大学でGlobal AffairsのPhDコースにいる長田達也と申します。田瀬さんの投稿がとても興味深かったのでそれについて書かせていただきます。
 現在ぼくはグローバルガバナンス理論に関連する地球温暖化レジームにおけるトランスガバメンタル関係について博士論文を書こうとして悪戦苦闘中です。まるでワケが分からないですね(笑)。もう少し(おおざっぱですが)説明させていただきます。グローバルガバナンス理論とは、国家中心、細分化されたイシュー中心の国際政治理論の限界を乗り越えるべく構築されつつある、非国家主体も含めた多様な主体による地球的秩序形成の実態の理解を目指す理論です。グローバル・イシューの叢生と冷戦終結後の新世界秩序の模索がその社会的・歴史的背景にあります。
 レジームとは特定問題領域で形成される公式・非公式のルールで、国際条約・合意とその運用に関わる慣習のことです。ここ20年余り国際政治研究の主要な対象の一つでしたが、地球秩序というのは細分化されたルールだけを見てもつかめませんので、限界があります。そこでより一般的なルールであるガバナンスという概念を使ってもっと大きく木だけではなく森を見ようということになるわけです。ぼくの場合は温暖化というのは多くの関係者を巻き込むの焦点なので、温暖化から地球秩序を見てみようというわけです。
 ここに、トランスガバメンタル関係が絡みます。和訳すると「政府横断関係」というところで、違う国の政府の役所や役人同士の(主として)協力関係のことです。役所や役人はそれぞれに担当する政策領域や課題があるわけで、政府内部でもそれぞれの所掌事項に基づいて意見が異なるので、国内の対立する政府関係者よりも外国政府の同様の課題をもつ省庁・役人と知識・問題認識・政策等での一致や(しばしば暗黙の、あるいは無意識の)共闘関係をもつ可能性があるということです。(これは超国家的な利権構造や腐敗にもつながる可能性がありますが、ぼくの研究対象ではありません。)グローバルガバナンスをこのトランスガバメンタル関係の視点で見ると、細分化された問題領域で一致する認識をもつ省庁や官僚が中心となって形成する国際レジームの集積体が現在の地球秩序の大部分を作っているということになります。そうすると、そうしたトランスガバメンタル・ネットワークがどんな認識をシェアしつつレジームを形成しているかは現在行われているグローバル・ガバナンスの評価にとって重要なポイントになります。

 こういった問題関心から田瀬さんの書かれた事を読みますと、非常に興味深いのです。国家の代表として交渉に参加する官僚のdecision takerとしての役割は、ただの御用聞きではなくて、(いい意味でも悪い意味でも)決定をぶんどる、という意味でのtakerにもなりうるということですよね。そうするとdecision takersの間で何が考えられ、信じられているかが国際政治を理解する 上でもっと知りたいところです。

 二つ目に興味を感じたのは、国際交渉に関与する人たちがどの程度までトランスガバメンタルな認識のネットワークやコミュニティを形成しているのか、ということです。各国政府関係者はどの程度まで他国の関係者との関係と築けているのか、または、相手国の国内事情を配慮して、自分が望ましいと考える外国政府関係者へのてこ入れを行っているのでしょうか。

 第三に、本来国内問題を扱っていたはずの省庁が国際交渉に出てくることが多くなった現在、外務省はどのような役割を果たしているか、にも興味を感じました。田瀬さんも書かれている環境問題でも調整の際、外務省は異なる専門知識を背景に衝突する経済・環境省庁をどのように調停しているのでしょうか?国家首脳・政治家・専門知識・関係団体などはどうからむのでしょう?

 以上のようなことについて考えさせられました。NYフォーラムに参加している皆さんはどう思われるでしょうか?

長田達也
tatnagata@hotmail.com
PhD Student, Center for Global Change and Governance                         Rutgers, State University of New Jersey, Newark

追記:グローバルガバナンスに興味をお持ちになった方は以下の文献をあたって見てはいかがでしょう。

Jon Pierre, ed., Debating governance      一冊で概観できます。おすすめ。
Rosenau, James, and Ernst Otto Czempiel, eds., Governance without Government 国際政治学   
Young, Oran, Governance in Global Affairs レジーム論からガバナンス論への展開
Young, Oran, ed., Global Governance    環境レジームからの知見
Rhodes,Understanding Governance      行政学のガバナンス

2005/01/06

フォーラム運営内規

フォーラム運営内規

第1条 名称
本フォーラムはニューヨーク国連フォーラムという。

第2条 使命
本フォーラムは、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている実務者、研究者、学生、メディア関係者など幅広い人々を対象として、国連についての知識を得る場、議論に参加する場、活動に参画するきっかけとなる場を提供し、さらに、議論の深化と発信を通じて、参加者にとって有意義な変化を引き出すことを目標とする。

第3条 活動内容
本フォーラムは、上記使命を達成するため、メーング・リスト、ブログ(blog)、勉強会、テーマ・グループ(特定のテーマについて集中的に議論/勉強する場)などを、既存の組織と連携しつつ、独自の付加価値を生み出すように運営する。(既存の組織:ワシントンD.C.開発フォーラム、国連邦人職員会、日本国際開発学会、国連日本政府代表部など)

第4条 参加者
フォーラムの使命および投稿規定への同意を条件として、誰でも本フォーラムの活動に参加することができる。

第5条 幹事会
本フォーラムの運営を担う幹事会を置く。幹事会は、幹事とコーディネーターによって成り立ち、運営の活動について、合議を元に責任を持った決定を行う。

第6条 コーディネーター
チーフ・コーディネーターとバイス・コーディネーターを設け、チーフ・コーディネーターを代表責任者とする。毎年国連の日(10月24日)前後に、フォーラムの使命を理解し、豊富なネットワーク、知識と経験にもとづいてフォーラムをコーディネートできる候補者をニューヨーク在住幹事の中から選び、幹事全員のメールまたは直接の選挙によって選ぶ。コーディネーターの任期は一年とし、また再選可能とする。

第7条 幹事
幹事の選任は、フォーラムの活動に関心と意欲を持った参加者の中から、幹事またはコーディネーターが推薦し、幹事会に諮ったうえで、チーフ・コーディネーターが決定し、委嘱する。任期は1年とし、毎年活動状況を審査のうえ、委嘱する。事情により欠員となった場合は、必要に応じて後継者を選任する。幹事として、メーリングリスト担当幹事、ブログ担当幹事、勉強会担当幹事、テーマ別担当幹事、運営事務担当幹事、ネットワーク担当幹事およびオフ会担当幹事を置く。各担当幹事は複数で担当してよい。幹事は原則としてニューヨーク在住者とする。

第8条 幹事会会合
幹事会会合は、二ヶ月に一度程度開催し、決定事項については、参加者に報告する。

第9条 年間活動プラン
幹事会はフォーラムの使命を遂行するための年間活動プランを作成し、それに基づいて活動する。毎年10月に活動プランのレビューを行い次期のプランを作成する。

第10条 参加者と幹事会とのコミュニケーション
参加者から幹事会への連絡の手段として、メーリングリスト管理者アドレス <nyunforum-owner@yahoogroups.jp> を使用する。幹事会から参加者への連絡の手段は主としてメーリングリスト <nyunforum@yahoogroups.jp> とし、ブログサイト <http://nyunforum.blogspot.com/> およびメーリングリストグループサイト <http://groups.yahoo.co.jp/group/nyunforum/> を補助的に用いる。

第11条 顧問
幹事会とは別に顧問を設ける。幹事会は、必要に応じてフォーラムの運営全般について顧問と相談する。顧問の選任は、国連についての長い経験と広範な知識を持つ人の中から選び、幹事会の同意を得て、チーフ・コーディネーターが委嘱する。任期は特定しない。

第12条 運営内規の改定
運営内規の改定は、広く参加者の意見を聴いた上で、幹事会の3分の2の合意をもって行う。

2005年1月6日

ニューヨーク国連フォーラム幹事一同

2005/01/05

模擬国連全日本大会の参加報告( 12/26 ・ 29 )

NY国連フォーラムの皆様

早稲田大学2年の國京です。紀谷さんのご紹介で当フォーラムに入りまして早速投稿させていただきます。学生の投稿というのは少ないようですが、名だたる方達と問題意識を共有できる幸せをかみしめ、なんとか議論に貢献できればと思っています。

今回は先日紀谷さんのほうからご紹介いただいた、昨年12月26日から29日まで東京・池袋のホテルメトロポリタンで開催された模擬国連会議全日本大会の参加報告をさせていただきます。(*以下に述べますことは私個人としての説明や感想であり決して関連団体を代表していないことにご留意ください。)

模擬国連とは参加者一人一人が世界各国の大使となり、実際の国連会議で扱われている問題を話し合うことによって、国際問題の難しさや構造を理解すると共に、問題の解決策を探る活動のことです。ハーバード大学によって始められたとされ、世界各国では大学の授業の一環として取り入れられています。一方、日本では大学の授業としてではなく大学生のサークル活動として日本全国で行なわれています。

先日、行なわれた模擬国連会議全日本大会では大学生を中心に高校生、大学院生、社会人など約200名の方が参加し5つの(模擬)国連会議が設定されました。私はUNCTAD第11回総会「貿易と開発」にインド大使として参加し、一次産品・対外投資・出稼ぎ労働者・ODA・累積債務といった広いテーマの中でも特に「開発の中で貿易をどう位置づけるのか」「GATSの相互承認協定」「多国間投資協定」などの議論に大きく関わりました。

国際問題を考えるにあたっては「大使を模擬する」ことが現実的なアプローチを提供してくれていると感じます。自分個人の意見を持ちながらも国の状況を調べ、その状況に立脚した政策立案をし他大使と議論をかわすことで、国際問題の構造を「体験的に」学習し現実的な解決策を模索することが求められるからです。

また、模擬国連活動は政策立案の過程で情報のリサーチ能力を、会議中の議論や公式発言でプレゼンテーション能力を、会議中の議論や交渉でコミュニケーション能力を磨くことが出来ます。どのような状況であろうとも必要とされる「総合力」を磨けるのも模擬国連活動の特徴でしょう。

今回の全日本大会では私もインド大使として発展途上国をグループとしてまとめることがありましたが、その過程で、開発戦略に関した「途上国の差異」や「先進国との温度差」を体験的に学習することができました。国際問題をよりとっつきやすく、さらに体験までできる活動というのはなかなかないと思います。国連や国際問題を考えるにあたっては模擬国連活動の教育的効果や有用性は非常に高いのではないでしょうか。

話は変わりますがNYで毎春イースターの時期に合わせて開かれる模擬国連全米大会(National Model United Nations)にも毎年、日本から代表団が参加しています。今年は3月22~26日の予定で日本からの代表団はオランダを模擬します。最後に模擬国連に関するリンクとあわせてHPをのせておきますのでご参照いただけましたら幸いです。

それでは今後ともよろしくお願いいたします。

早稲田大学2年 國京

リンク
模擬国連委員会 http://www.jmun.org/
第16回模擬国連全日本大会 http://www.ajmun.org/04/top.html
模擬国連全米団2004年度派遣事業 http://nmun.web.infoseek.co.jp/index.html
National Model United Nations http://www.nmun.org/

2005/01/03

国連を目指す学生の増加

ニューヨーク国連フォーラムの皆様、幹事会の皆さま

あけましておめでとうございます

東京工業大学佐藤です。いつもこのニューヨーク国連フォーラムのメールを楽しく拝見しております。


私の所属する留学生センターでは、最近は留学生のみならず、将来国際的に活躍したい日本人学生のための支援や教育も手がけています。そのため、このフォーラムの情報で関連するものは、留学生及び日本人学生に、英語及び日本語のメールニュースで、転送させていただいております。


理工系の大学ですが、国連や国際機関、海外援助機関を目指す学生が、顕著に増加していることを感じます。


いろいろなご案内に、東工大の学生が応募する機会も増えると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。


2005年が皆さまにとって、充実した幸多い年でありますことを心よりお祈りしつつ。


東京工業大学佐藤由利子


2005/01/02

新年のご挨拶

ニューヨーク国連フォーラムの皆様

明けましておめでとうございます。

昨年10月24日、国連に興味を持った有志が集まり「ニューヨーク国連フォーラム」を立ち上げてから、2ヶ月が経ちました。その間、同様の関心を持った200人を越える方々に世界各地から本フォーラムに参加して頂き、順調なスタートを切ることができました。

2005年、国際社会は、インド洋での地震と津波による未曾有の被害や、イラクでの混乱、中東やアフリカでの紛争解決など大きなチャレンジを抱えての年明けとなりました。国連にとってもこれらの問題にどう取り組んでいくのか試練の時となりそうです。また、昨年のハイレベル委員会の報告書フォローアップやミレニアム+5、日本の国連加盟から50周年など、国連への注目度が益々高まる一年ともなりそうです。

今後も、ご参加頂いている皆様にとって有意義な議論の場を提供できるよう、本フォーラムを発展させていきたいと思います。今月末には、早速、ゲストを囲んだ第2回勉強会を開催する予定です。勉強会終了後には、交流会(オフ会)も予定していますので、詳細が決まり次第お知らせします。

また、去る12月18日、発起人一同が集まり、設立からの活動を振り返り、趣意書を改定するとともに、新たにメーリングリスト・ブログ投稿規定を設けました。本メール末尾に掲載しましたので、ご参照願います。また、本フォーラムをより効果的に運営するため、新たに幹事会を設置しました。今後は、幹事会が本フォーラムを運営していきます。

参加者の皆さんの積極的な問題提起や議論の展開、情報提供などをお待ちしております。

2004年1月1日

ニューヨーク国連フォーラム幹事一同

ニューヨーク国連フォーラム設立趣意書(2004年12月18日改定)

ニューヨーク国連フォーラム設立趣意書(2004年12月18日改定)

本フォーラムは、2004年10月24日、ニューヨークに在住する国連に興味を持つ有志により設立されたフォーラムです。

本フォーラムは、国連のことをもっと知りたい、国連の活動に貢献したいと考えている実務者、研究者、学生、メディア関係者など幅広い人々を対象として、国連についての知識を得る場、議論に参加する場、活動に参画するきっかけとなる場を提供し、さらに、議論の深化と発信を通じて、参加者にとって有意義な変化を引き出すことを目標とします。

このため、本フォーラムはメーリングリスト、ブログ(blog)、勉強会、分野別の活動などを行います。さらに、既存のネットワークであるワシントンD.C.開発フォーラム、国連邦人職員会、JASID(日本国際開発学会)、国連日本政府代表部などと連携し、それらとの間で相補性・相乗効果を確保しつつ、独自の付加価値を生み出していきたいと考えています。

本フォーラムへの参加はどなたでも可能です。どのような立場にあっても、個人の資格で、意見の多様性を相互に尊重しつつ、建設的な議論を行なえる方であれば、本フォーラムへの参加を歓迎します。また、本フォーラムの運営は有志が組織する幹事会が行なっていますが、これに世界中からさまざまな形で参画して頂くことも歓迎します。

本フォーラムが、国連に興味がある多くの方々にとって有益な議論の場を提供できることを心から願います。

2004年10月24日
ニューヨーク国連フォーラム発起人一同
2004年12月18日改定

発起人:荒川麻衣子、亀井温子、川守久栄、久木田純、須永和男、田瀬和夫、粒良麻知子、仲居宏太郎、中村秀規、長島由華、橋本のぞみ

代表責任者:須永和男(国連代表部)、久木田純(国連児童基金)、田瀬和夫(国連事務局)

メーリングリスト・ブログ投稿規定

メーリングリスト・ブログ投稿規定


ルール1:本フォーラムは、国連やグローバルな課題について関心のある方が、個人の資格で建設的な意見交換を行う場です。本フォーラムでの意見交換に当たっては、個人の多様な価値観・思想を尊重していただきますようお願い申し上げます。


ルール2:相互の信頼関係を確保し、率直かつ真剣な意見交換を行うため、本フォーラム参加者は氏名・職業等を明らかにしてください。


ルール3:本フォーラムのトピックスに直接関係のない意見の投稿やホームページの内容の紹介・転送を行うことはお控えください。


ルール4:本フォーラム登録者以外の意見を、まるごとそのまま代理投稿することはお控えください。登録者以外の方の意見を引用する場合には著作物の引用のルールを守れる範囲、すなわち自らの投稿文そのもののオリジナリティを損なわない範囲でお願いいたします。


ルール5:差別・セクハラ・中傷などの表現のある投稿はおやめください。


ルール6:新聞記事、通信社の配信などを何の付加価値もつけないまま、そのままの形で投稿することは原記事の著作権の侵害となりますので、お控えください。また記事の引用やリンク貼りについても、自らの投稿のオリジナリティを損なわない範囲でお願いいたします。


ルール7:本フォーラムのメーリングリストへの投稿内容については、フォーラムのブログサイトhttp://nyunforum.blogspot.com/に転載される場合があります。転載を希望されない場合には、投稿メールにその旨明記下さいますようお願い致します。



Click Here